「起業準備の時間がない」という会社員が見落としている「往復90分」の使い方

新井一

新井一

テーマ:起業

「時間がない」は本当か?

――新井さん、今日は「通勤時間の活用」についてお聞きしたいのです。会社員の方から「起業準備の時間が取れない」という声をよく聞きますが、通勤時間はうまく使えるものでしょうか?

新井:使えますよ、むしろものすごく使えます(笑) 「時間がない」とおっしゃる方のほとんどは、実は時間があるのに気づいていないのですよ。毎日電車に乗っているわけですから。

――通勤時間を起業準備に活用するイメージが、なかなか湧かなかったのですが……。

新井:少し考えてみてください。往復90分の通勤時間は、月20日で換算すると月30時間になります。ウェビナー1本を企画・準備するのに十分な時間ですよ。これだけの時間が毎月あるのに、SNSやニュースを見て終わらせてしまうのは、もったいないですよね。

月30時間を積み上げた人の実例

――月30時間というのは、実感としてなかなか大きい数字ですね。

新井:実際に変わった方を見てきましたから。起業18フォーラムにいらした吉田さん(仮名・39歳)は、往復1時間20分の通勤時間を持て余していた会員さんです。「何から始めればいいかわからない」という状態でしたよ。

――その方はどんなことをされたのですか?

新井:「行きの電車でSNS投稿の下書きを1本書く」だけを3カ月続けたのです。たった15分ですよ。それだけでフォロワーが増え始めて、最初の問い合わせが来ました。「毎日15分だけ、下書き1本」というシンプルな習慣が、集客の起点になったわけです。

――たった15分でそういうことが起きるのですね。

新井:起きますよ。継続の力ですよ。「週末に2時間まとめてやろう」という人よりも、「毎日15分」の人のほうが断然成果が出るというのは、現場で何度も見てきました。「週末まとめて」は結局やれないのですから(笑)

行きの電車でアウトプット、帰りの電車でインプット

――行きと帰りで、使い方を変えた方がいいのでしょうか?

新井:変えた方がいいですね。帰りの電車って疲れているじゃないですか。そこで無理にアウトプットしようとすると、質が下がるし続かない。行きの電車でアウトプット、帰りの電車でインプットというのが基本的な考え方です。

――具体的にはどんなスケジュールがおすすめですか?

新井:たとえば、月〜水の行きにSNS投稿文の下書きを書く(15分)、木〜金の帰りに参考書や音声コンテンツでインプットする、週末どちらかに企画・構成を手帳にメモする。これだけで、コツコツと起業準備が回り始めます。

――週末まで使うのですか。

新井:週末は「まとまった時間を確保する」というよりは、電車内で思いついたことを整理するイメージです。「なくせない時間」を活用する発想ですよ。自分でどうこうできない移動時間だからこそ、後ろめたさなく集中できる(笑)

続けられない3つの失敗パターン

――通勤時間の活用でよくある失敗はありますか?

新井:3つあります。まず1つ目は、「動画だけ見る」パターンです。YouTube動画を見て勉強した気になるのですが、アウトプットが一切ないので起業準備には直結しない。「見た気になる」だけで習慣にもなりにくいですよ。

――インプットで満足してしまうわけですね。

新井:2つ目は、「疲れた帰りにアウトプットしようとする」パターン。疲れているからうまくいかないし、「今日も全然書けなかった」が積み重なって自己効力感が下がっていく。典型的な挫折パターンです。3つ目が、「毎日全部やるルール」を作るパターン。毎日SNS下書き・毎日インプット・毎日メモと決めると、どれかが崩れた日にすべてが崩れる。少ない行動量でも続けることが、最終的に大きな差を生みます。

スマートフォン一台で起業準備を始める

――ノートパソコンを電車に持ち込むのは難しいですが、スマートフォンだけで十分でしょうか?

新井:十分ですよ。メモアプリに「通勤時間専用フォルダ」を作って、そこだけで起業準備のアウトプットをする習慣を作ることをおすすめしています。フォルダを決めることで、「起業準備モード」に切り替えやすくなります。

――たった一手間で、集中力が変わるのですか?

新井:人間の脳って「場所や行動」と記憶が結びつきますから。「このフォルダを開いたら起業準備をする」という条件反射が根づくと、スッと集中できるようになります。拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』でも、準備期間の行動量が起業の成否を大きく左右すると書きましたが、帰宅後の疲れた状態よりも、通勤中の集中した15分のほうが質の高い文章が書けることが多いです。

――焦らずコツコツが、結局は最速ですね。

新井:まさにそれです。「毎朝15分、下書き1本」から始めてみてください。それだけで半年後には、取り組まなかった人と天と地ほどの差がついていますよ。

――今日は具体的なヒントをたくさんいただきました。ありがとうございました!

新井:こちらこそ、ありがとうございました。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

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新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

起業18フォーラムを運営。会社員向けに特化した〝再現可能〟な起業ノウハウで、26年間で延べ6万人の起業を支援してきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛けている。会社員のまま起業する方法を伝授するプロ。

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