40代からの起業でリスクを取らない方法とは?成功と失敗の分岐点
「起業のアイデアを思いついた。しかし、そのアイデアをどうビジネスモデルにし、マネタイズをしていくかについて、何をどうしたらいいかわからない」という人も多いのではないでしょうか?起業へ結び付けるためのアクションプランを紹介します。
起業アイデアを実現させるに必要なリサーチ
起業アイデアを実現させるために重要なものにリサーチがあります。なぜ重要かと言えば、リサーチを行うことによって、あなたの起業アイデアを欲する人、あなたの起業アイデアと競合する他のアイデア、あなたの起業アイデアの強みや弱みを明確にし、売れるようにするために必要だからです。
多くの企業も新しい事業を立ち上げたり、新製品を市場に投入したりする際にリサーチを行います。
その手法の一つに「3C分析」と呼ばれるものがあります。「3C」のCは、顧客を意味するCustomer、競合を意味するCompetitor、自社を意味するCompanyからきています。
「①顧客(Customer)」「②競合(Competitor)」「③自社(Company))を調査・分析することによって、市場の見込み客、競合他社の製品、自社や自社製品の強み・弱みを洗い出し、より有効な事業戦略や販売戦略を立てていきます。
もう少し具体的に見てみましょう。
例えば、Aさんがレストランの開店を考えたとします。Aさんは開店前に、自分のお店周辺にはどのような人がいて、どのような人を見込み客にできるかを調べるでしょう。これは3C分析の「①顧客(Customer)」の調査・分析にあたります。
また、Aさんは、自分のお店周辺にどのような店があり、競合となるお店は何を強みとして経営しているかを知りたいと思うでしょう。Aさんが気になるお店を見に行き、メニューや店内の様子を調べたとすれば、これは3C分析の「②競合(Competitor)」の調査・分析にあたります。
そして、強力な競合店があれば、Aさんは自分のお店の強みや弱みを検討し、対抗策を考えるはずです。自分の店の良さをアピールする対策を練り、競合店との差別化をはかるでしょう。これは3C分析の「③自社(Company)」の調査・分析にあたります。
以上、簡単ですがリサーチの基本を見てきました。この点をふまえ、次に起業アイデアを実現するための方法を見ていくことにしましょう。
起業アイデアの検証(一人でできるサイズか?)
起業アイデアを実現する方法と見ていく前に、ぜひ検証してほしいことがあります。
それは、あなたの起業アイデアが「一人でできるサイズかどうか」ということです。
というのも、起業アイデアを「ひらめいた」「これはいける」といった思いが強くなると、いつのまにかどんどん構想が広がり、気がつけば大きなビジネスサイズになり、アイデアの実現を妨げる場合があるからです。
例えば、ある商品の製造販売を思いついたとしましょう。その商品に自信を持ち「いける」という確信が生まれると、実際に動き出す前に販売代理店による全国展開を考えたり、FC(フランチャイズ)に実績がある会社との提携を検討したりして、ビジネスサイズが大きくなるということです。
また、最初は「旅館の集客サポート」という起業アイデアであったのに、いつのまにか大手旅行代理店との提携や集客サポートの学校の設立、さらに資格認定の発行というようにアイデアだけが一人歩きするというケースなども考えられます。
アイデアがふくらみすぎた結果、よく見られるのは、その大きさに当惑し、起業アイデアを放棄したり、あるいは見切り発車をして大きな損失を出すということです。
まず「一人でできるサイズかどうか」を検証しましょう。そして、まずは現実的なサイズからスタートさせましょう。
上にあげた例で言えば、その商品に関する製造の発注、広告宣伝、販売、代金の決済まで自分一人でできるサイズに落とし込んだうえで、ビジネスをスタートするということです。
旅館の集客サポートであれば、旅館との打ち合わせ、広告宣伝の企画立案、宣伝媒体の選択や手配などを自分一人でできるサイズからスタートすることが大切です。
販売代理店による全国展開というアイデア、大手旅行代理店との提携などを否定するわけではありません。そうした夢を描くのはいいのですが、アイデアをふくらませすぎると、何もできなくなってしまうのも事実です。
重要なお客さま・ターゲットの絞り込み
起業アイデアを「一人でできるサイズ」にしたなら、次のステップに進みましょう。ここで集中したいのは「お客さまを絞り込む」ということです。起業後、売上が伸びないことで悩む人は少なくありませんが、共通しているのはお客さまの絞り込みが甘いということです。
その原因の一つに「ターゲットを絞り込むと、それだけお客さまが減る」といった誤解があります。より広い範囲、より広い層にアピールしたほうが自分の起業アイデアを受け入れる人が多くなる、という発想です。しかし、実際はそうではありません。広い範囲、広い層へのアピールは、薄いアピールになり、購買につながらないのです。
例えば、ここにひとつの美容液があるとします。この美容液を「みなさまのお肌の健康のための美容液」とアピールした場合と「40代の肌におすすめの美容液」とアピールした場合では、どちらの方が届きやすいでしょう。「みなさまの」としたほうが広い範囲、広い層へのアピールですが、「40代の」と対象を絞った方がメッセージは届きやすくなります。
もう一つ、具体的な例を挙げてみましょう。ハーゲンダッツのアイスクリーム。アイスクリームは子どもも大人も食べますが、ハーゲンダッツは「子どもから大人まで広い範囲に提供するアイスクリーム」という販売戦略をとりませんでした。むしろ「大人が食べる高級アイスクリーム」とターゲットを絞った販売戦略を立て、高級アイスクリーム市場で圧倒的シェアを誇ることになりました。
お客さまを絞り込むことは、お客さまが減ることにつながるのではなく、お客さまを獲得することにつながるのです。物品(モノ)であれ、ノウハウであれ、あなたの起業アイデアを「誰に」売りたいのかを絞り、その人に向かってアピールすることが大切です。
理想のお客さまをひとりイメージするペルソナの設定
お客さまを絞り込む方法としておすすめしたいのが「理想のお客さま」をひとりイメージすることです。あなたの起業アイデアに「これを待っていた」と喜んでくれるのは、どんな人でしょう。
あなたの起業アイデアが「転職を考えている人とのスカイプによる面談」だとしましょう。この場合、あなたにとって理想のお客さまはどういう人でしょう。
「転職を考えている人」だけではいけません。その人は転職に際して何について一番、相談したいと思っている人でしょう。自分のスキルでしょうか、転職先での人間関係の構築でしょうか。それとも、面接時に相手に与える印象についてでしょうか。まず、理想のお客さまは「何を願っている人か」を明らかにすることが大切です。
また、その人はどんな業界の人で職種は何でしょう。現在の勤務先のポジションは役職者でしょうか、それとも一般社員でしょうか。年齢や家族構成はどうなっているでしょう。性別、年収など、この他にもさまざまな観点が考えられますが、多角的にひとりの「理想のお客さま」をイメージしてみましょう。
ただ、注意してほしいのは「理想のお客さま」をひとりイメージするとは、自分にとって都合のいい人物をイメージするということとは違います。
そうした方向に逸れないようにするには、身近な人で転職を考えたことがありそうな人に自分の起業アイデアを聞いてもらう、あるいは、実際に転職した人の状況を分析するといったことが必要になります。
4つのビジネスモデルの組み合わせでアイデアをブラッシュアップ
起業アイデアは4つのタイプに分類できます。
物品の製造販売や衣料品・日用品の仕入れ販売など「モノ」がビジネスの中心になる起業アイデアは「プロダクト系」になります。
また、上に述べた「転職を考えている人とのスカイプによる面談」のような起業アイデアは、自分が持っているノウハウの提供が中心になりますから、このタイプは「ノウハウ系」に分類されます。
そして、パソコンの修理・設定の出張サービスや販促バナーの作成、また、家の掃除やアプリ作成など、あなたのスキルを提供するビジネスモデルは「スキル系」です。
さらにもう一つ、趣味を同じくする人たちに交流の場(スペース)を提供したり、婚活パーティーによる出会いの機会(チャンス)を提供する「スペース・チャンス系」があります。
この4つのビジネスモデルは掛け合わすこともできます。たとえば「転職を考えている人とのスカイプによる面談」を例にすると、このノウハウ系のビジネスモデルに、転職を考える人が集う場の提供(スペース・チャンス系)、転職に関するノウハウを本にして提供する(プロダクト系)を合わせることができます。こうした掛け合わせは起業アイデアを充実させることにもつながります。
特徴・強みを明確にする
さて、起業アイデアの実現について「リサーチ」と「起業アイデアをひとりでできるサイズにすること」、そして「お客さまを絞り込むところ」まできました。次は、大きなお金をかけずにアイデアを実行するステップになります。
しかし、ここでもう一度、あなたの起業アイデアに磨きをかけましょう。それは「自分の起業アイデアに特徴はあるか」ということです。なぜなら、商品は特徴がなければ売るのが難しいのです。これはプロダクト系、ノウハウ系、スキル系、スペース・チャンス系のいずれのビジネスモデルであっても同じです。他とは違う「何か」が必要です。
では、どのようにすればいいでしょう。
先ほど「転職を考えている人とのスカイプによる面談」という起業アイデアを例に、理想のお客さまのイメージを求めてみました。その際、まず「何を願っている人か」を明らかにすることが大切とお話ししました。この点が明確になっているのであれば、そこに特化する、言い換えれば、それを専門とすることであなたの起業アイデアを特徴づける道筋が見えてきます。
例えば、理想のお客さまが一番、願っているのが「面接時に相手に与える印象について」であれば、「転職を考えている人とのスカイプによる面談」に「面接時に好印象を与える応対話法」という特徴づけを行うことができます。
また、そこからさらに特徴を絞り込むことも可能になります。つまり、「理想のお客さまが何を願い、それにどのように応えようとしているか」ということを明らかにしていくわけです。
これはプロダクト系、スキル系、スペース・チャンス系の起業アイデアにも当てはまります。
あなたの起業アイデアが、「自分のターゲットとなるお客さまが望んでいることを叶えることができるのか、お客さまが抱えている課題を解決することができるのか」といった視点から突きつめ、あなたの起業アイデアならではの特徴・強みを明確にしていきましょう。
商品力・発信力・信用力を高める
次はいよいよ起業アイデアを実際にビジネスとしてスタートさせることになります。そこで大切になるのが起業アイデアをマネタイズする、つまり、収益が上がる形にしていくことです。ここでは「商品力」「発信力」「信用力」という視点から見ていくことにしましょう。
1:商品力「商品のつくり込み」
まず商品や提供するサービスの作り込みです。あなたの起業アイデアを「買える状態」にする作業です。
起業アイデアのビジネスモデルによって違ってきますが、まず、提供する商品の仕様を決めます。商品の製造販売であれば色・形・デザインなどの決定です。
ノウハウ系、スキル系、スペース・チャンス系では、サービス内容、時間(例:面談時間30分)などを決めることです。その他、納品の形態(いつ、どこで、どのように)、また、調達方法、告知方法、受注方法、納品方法、請求方法などを決めていきます。
ただ、ここは実際にやってみないとわからないことが多い部分です。あなたの起業アイデアと似たようなことをしている人から商品を購入し、どのような形になっているかチェックして参考にするとよいでしょう。
あるいは、あなたの商品やサービスを友人や知人に購入してもらい、購入方法の「あそこがわかりづらい」、決済について「これはどういうこと?」など意見をもらい「買いやすい状態」にしていくのもよい方法です。
2:発信力「ネットからの発信」
ビジネスはまず知ってもらうことから始まります。あなたの理想のお客さまに近い人たちに、あなた自身や商品の存在を知ってもらいましょう。
その方法としては、ネット上での発信が近道です。まず、あなた自身とあなたの商品の存在を知らせるホームページを持つことをおすすめします。
マッチングアプリやSNS、ブログなども発信の場として効果的ですが、あなた自身のあいさつ、商品の特性、住所・電話番号・営業時間・地図・FAQなど最低限の情報を伝えるホームページがあることは、あなたの起業アイデアに興味を持った人にとっての安心材料になります。この安心感は次の「信用力」とも関わりますが、商品を手に取ってもらう上で欠かすことはできません。
3:信用力「ビジネスの基本」
最後に信用力です。ビジネス上の信用は、実績を積み上げることで得ることができるものです。地道に一つひとつの問い合わせ・受注に応えて行きましょう。
信用力は商品やサービスの品質とも関連します。商品やサービスの品質向上にも常に努める必要があります。
ただ、現在のようにインターネットが普及していると、ネット上の評価やレビューからの情報も信用力に影響します。正確な評価、参考になるレビューもありますが、発信力が高まると、悪意のある評価やレビューを書き込まれるリスクも高くなります。これはあなたの信用に関わるものであり、売り上げへの影響も考えられます。
ネット上の悪意のある評価やレビューは、実生活上で誰かに悪口を言われた場合とは違ったダメージがあります。そのために落ち込むこともあるかもしれません。
しかし、その点は織り込み済みのものとして、悪意のあるレビューに立ち向かう覚悟も必要です。あなたの理想のお客さまに向かってあなたの商品を発信し、満足してもらうように努め、着実に信用を高めて行きましょう。
なお、販売プラットフォームや決済システムの信用も大きく関わってきます。例えば、Amazonでの販売であれば、同サイト・企業自体の信用が高いため、安心して購入できるということです。
まとめ
起業アイデアを思いついたら、どのようにリサーチを行い、どのようなステップを踏んで商品化していくかについて見てきました。
大切なことは、まず自分の起業アイデアを「一人でできるサイズかどうか」検証することです。そして、お客さまを絞り込みます。この絞り込みが甘いと起業後、苦労することになりますから十分に検討しましょう。
さらに自分の商品の特徴を明確にし、商品やサービスを収益が上がる形につくり込みます。
これらは、起業家としての一歩を踏み出し、成功を勝ち取っていくための大切な工程です。
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