アイデアを商品化して起業をする方法
「起業したいけどアイデアがない」「何をもとにビジネスモデルを組み立てればいいかがわからない」など、先へ進めず足踏みをしている人は多いはずです。とにかく起業はしたいと、起業することだけは決めているが、アイデアがなく前に進めない人が陥る「起業難民」から脱出するには、どうすればよいのでしょう? アイデアがなくても起業するための方法をお伝えします。
多数存在する「起業はしたいがアイデアがない」人
東京商工リサーチの調査によると、年間で新たに設立される法人数は、2015年以降、毎年12~13万社という結果が出ています。また、人数で見ると、2017年の時点で起業者数は約477万人(総務省「平成29年就業構造基本調査」)です。
では、起業したいと考えてはいるが、起業に至っていない人はどれぐらいいるのでしょう? 中小企業庁の「小規模企業白書2019」によると、2017年の時点で、起業希望者は72.5万人、このなかから実際に起業に至ったのは16万人。つまり、56.5万人は起業を希望していながら実際には起業できていないことになります。
実際に起業していない理由の上位4つ
その理由を見ると年齢や性別によっても異なりますが、男性の場合、40代未満は「知識・能力に自信がない」、40代以上は「ケガ・病気のため」が最も多い回答です。女性の場合、40代未満は「出産・育児のため」、40代以上は「高齢のため」「探したが見つからなかった」が上位になっています。
この結果から、男性も女性も自身の体や子どもが大きな要因となっていることがわかります。しかし、40代未満の男性で最も多かった「知識・能力に自信がない」は、やりたいことはあるが、それを起業につなげるほどのアイデアが浮かばないとも考えられるでしょう。
自分だけがアイデアがなく起業できないと考えているのであれば、心配はいりません。多くの人がアイデアがないことで、起業したくてもできない状況であるのです。
誰も思いつかないアイデアがなくても起業は可能
やりたいことはあるが、起業するほどのものではない。そう考えてしまうのもある意味、仕方ないとは言えます。例えば、就職をしていれば、よほどアイデアに自信がなければ、退職してまで起業しようとはならないでしょう。
また、働いていなければ、なおさら安定を求めてしまいます。しかし、それはある意味、正しいのですが、「起業」という面から見た場合は必ずしも正しいとはいえません。その理由は次のとおりです。
誰も思いつかないアイデアがないと起業はできないと思っている
前出の調査で、1年間で新たに設立される企業は約13万社、起業する人も477万人という結果がでています。では、その477万人がすべて斬新で誰も思いつかないアイデアを持って起業しているかと言えば、そうではありません。
むしろ、ほとんどの人は既存のアイデアを使って起業しています。「誰も思いつかないアイデアがないと起業はできない」。まずはこの考えから改めなくてはなりません。
現職を辞めなくても起業は可能
起業するなら今の仕事を辞めなくてはならない。これも必ずしもそうとは限りません。例えば、「週末だけ仕事をする」「朝や夜だけ仕事をする」といった形であれば、今の仕事を続けながらでも起業は可能です。
いきなり退職して、背水の陣を敷かなくてはいけないと身構える必要はありません。そう考えれば、小さな起業は基本的にリスクはありません。
すぐに儲けが出なくてはいけない、と考える必要はない
起業したからといってすぐに儲けないと、倒産してしまう。そう考えて起業に二の足を踏んでしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし、自分以外の人を雇って始める起業でなければ、すぐに儲けを出さなくてはと考えなくても問題ありません。前述したように現職を続けながらであれば、軌道に乗るまでは儲けを考える必要はないのです。
起業ありきで行動を起こさなくても問題ない
起業するほどのアイデアではないと考えているのであれば、無理に最初から起業する必要はありません。
まずは、月5万円を目標に自分のできることから始め、それが実現したら次は月10万円、20万円と目標を上げていき、安定して儲けが出るようになった段階で起業すればよいのです。
実行できないアイデアはアイデアではない、形にすることから始める
起業をしたくてもなかなか実行に移せない人の共通点の一つとして、「起業」を重く考えすぎている点が挙げられます。ただ、そうはいってもお金を稼ぐ以上、既存の仕事をやるにしても、自分なりのアイデアがないと埋もれてしまうと思われるのではないでしょうか?
そこで、重要なのは実行できるアイデアを考えることです。
どんなに斬新で他にはないアイデアだとしても、実行に移すことができなければ、それはアイデアではなく妄想に過ぎません。もちろん、妄想を巡らせていった結果が実行できるアイデアとなれば、それでも構いませんが、実行しないうちはただの妄想です。
そこで、実行に移せるアイデアを考えるヒントを紹介します。
できることを小さくまとめる
まずは自分ができることをノートやメモ帳に書き出していきます。ポイントはどんな些細なことでも構わないので、とにかく思いつく限りできるだけ多く書き出すことです。
また、必ずしも仕事に直結しないものでも気にせず書き出していきましょう。そうしたちょっとしたことが、後々、起業の大きなヒントになる場合もあります。
人のマネをする
自分の周りで起業している人がいて、それが自分と目指しているものが近い場合、まずはその人のマネをしてみましょう。最初は先人のマネをすることで、さまざまな知見を得るのです。それがいつしか自分の力になりますし、自分なりのやり方を見つけるきっかけにもなります。
もし、自分の周りに起業している人がいなければ、ネットやテレビ、雑誌などで探すのもいいでしょう。とにかく、最初は人のマネをして、そこからオリジナリティーをつくり出していけばいいのです。
趣味を中心に検討してみる
自分ができることもあまり思いつかない、目指す先人も見つからない、そういった場合は、自分の趣味を中心に検討してみましょう。これも必ずしも仕事に直結しなくても構いません。
例えば、釣りが趣味という場合、プロの釣り師になるほどの力はないといった場合でも大丈夫です。ルアーをつくるのは得意、釣りの初心者に適切な道具を選択してあげられるなど趣味を中心に好きなこと、得意なことを考えてみましょう。趣味であれば楽しく考えられますし、そこから仕事につながるアイデアが浮かぶ可能性も十分にあります。
「起業」を念頭にアイデアを考えようとすると、どうしてもほかにない斬新なものを考えなかければ、と思ってしまいますが、とにかく大切なのは実行できるアイデアであることです。
そのためには、ここで紹介したように、自分の周囲に目を配り、身近なところから考えていくようにします。それが結果として、実行に移せるアイデアにつながっていくのです。
スキルシェアサイトでのリサーチ
ここまで、自分の周囲や身近なものから仕事につながるアイデアを考える方法を説明してきました。そこで、ここからはそのアイデアをより起業に近づけるための方法について説明していきます。
起業して成果を上げ、儲けを作っていくうえで最も重要なのは、その仕事が求められているのか、多くの人から需要があるのかどうかです。
ただし、まだ起業していなければ、どれだけ求められているのか、その需要を確認するのも難しいと思うでしょう。しかし、そういった心配はいりません。現在は起業していなくても、自分のアイデアがどれだけ求められているかをリサーチする方法があります。
それがスキルシェアサイトです。
先に進む前に、一つだけご説明させていただきます。読者様に誤解していただきたくないのは、「起業にスキルが必要と考えるのは誤り」ということです。スキルを活かして起業することは「数ある起業法の中の一部」であり、必ずしも資格が存在するようなスキルが必要という訳ではありません。
以下は、あくまでもスキルで起業する場合のリサーチ法ということで、ご理解ください。
話を戻します。
スキルシェアサイトとは、個人が持っているスキル(特技)や知識、情報を個人間でシェア(売買)するサービスを行っているサイトです。シェアを行えるスキル、知識、情報はパソコン操作、ライティング、企画書やプレゼン資料の作成、ビジネスマナー、マーケティング、Webデザインといったものから、時短料理、動画撮影、被服、香水つくりなど多岐にわたります。
スキルシェアサイトはいくつかありますが、どれも基本的には会員登録をするだけで簡単に利用可能です。まずは登録し、自分のスキルにどれだけ需要があるのかをリサーチするのに最適なサービスといえます。
すぐに需要がなかったとしても心配はいりません。宣伝文を変えてみたり、違うスキルシェアサイトを使ったりすることで需要が生まれる可能性もあります。また、それでも需要がなかったとしても、まだ起業しているわけではないため、何のデメリットもありません。違うスキルや知識を生かせるアイデアを考えればいいだけなので、気軽に試してみてはいかがでしょう。
ほかに、自分が目指しているものと似たスキルをシェアしている人のサービスを購入してみるのもおすすめです。自分に何が足りないのかがわかり、次のステップにつながります。
スキル、経験の棚卸しをすることが重要
自分のスキルや経験、知識を起業へつなげていくためには、斬新なアイデアではなくても構わないと説明してきました。
ただし、既存のビジネスで起業する場合、同業の先人に勝つためには、何かしら「自分でなければならないポイント」が一つはあったほうがよいでしょう。そこで、既存のビジネスでも、そこに自分のアイデアを一つ加えるためのポイントを説明します。それは、自分の過去の経験、知見の見直し(棚卸し)です。
これまでの生活を振り返り、自分の過去の経験、知見の棚卸しをしてみましょう。自分ができることを書き出すと説明しましたが、それを組み合わせることで新たなアイデアが生まれないかどうかを考えてみます。
例えば、過去に「接客業を10年間やっていた」「ネットショップの運営を5年間やっていた」という2つの経験があった場合、これを組み合わせ、ネットショップの運用支援のなかでも、特に顧客対応を専門に支援する仕事はどうでしょう?
実店舗を持たないBtoB企業はエンドユーザーの対応経験がないケースもありえます。そうした企業に対し、自分の2つの経験が役に立つかもしれません。
自分ができることをとにかく数多く書き出す作業は、自分でも気づかなかったものを組み合わせることで「新たな価値」が生まれる可能性があるから必要なのです。
まずは1円稼ぎ、スキルを磨く
ここまでくれば、起業のためのアイデアが何かしら生まれていると思います。そこで、実際の行動に移していきましょう。この段階ではまだ、起業していなくても構いません。前述したようにスキルシェアサイトで自分のスキルを売るだけでも良いですし、面白そうなものを仕入れてメルカリで売ってみるだけでも十分です。ポイントは、とにかく自分の考えたアイデアを実行し、まずは1円を稼ぎます。
1円を稼ぐことができたら、次は100円、次は1000円を目指していきましょう。なお、1円の次がまた1円でも焦らなくても大丈夫です。重要なのは、とにかくアイデアを実行し、自分の成長を楽しむことです。
この時点で収益や儲けを考えると高い確率で失敗してしまいます。なぜなら楽しむことよりも儲けることが優先になってしまうからです。起業していきなり大成功することはありませんから、儲けばかりを追いかけていると続かなくなってしまいます。すぐにリターンが欲しい場合には、UberEatsでも、アルバイトでも、別の選択を検討しましょう。
楽しみながら続けていけば、自ずと収益もついてきます。良いお仕事を続けていくと、顧客が顧客を呼び、経験値が増えていきます。最初の段階ではとにかく楽しむことを第一に考えましょう。
まとめ
起業して自分自身の力で稼いでみたい、自由になりたい、家族と一緒にいたい。多くの人がそう考え、起業を目指しているのではないでしょうか。しかし、思いが強くなり過ぎると、それがプレッシャーになってしまい、実際に行動に移せなくなってしまう可能性もあります。
また、とにかく起業はしてみたいが、自分が何で稼げばよいのか、そのアイデアが浮かばないといった人も少なくないでしょう。
自分の力で稼ぎ、生活をしていくためのアイデアを生み出すのは簡単ではありません。しかし、心配はいりません。起業に斬新であったり、誰も考えつかなかったりするようなアイデアはいらないのです。既存のアイデアのなかで、楽しめそうなことを選び、そこにどれだけ自分の特徴を入れられるか、そう考えればアイデアはいくつでも見つけられるでしょう。
そして、インターネットが普及している今、起業をしていなくても、そのアイデアを試せる場所はいくつもあります。そうした場をうまく使い、自分だけのアイデアを起業に結び付けていきましょう。
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