「郊外の一戸建」と「都心のマンション」、資産価値が落ちないのはどちらか?
購入時点では、一生住むつもりと思っていたマンションでも、長い人生には事情が変わり、途中で、売却したり、貸したりする場面に出くわすことがあります。
それならば、途中で売却することになったときに、価格が落ちてしまうマンションではなく、できれば、価格が落ちないマンションにしたいものです。
では、どのようなマンションが将来、価格(資産価値)が下がってしまうのでしょうか?
次のような条件は売却時に価格を下げてしまう可能性があります。
□嫌悪施設に隣接している。バルコニーから嫌悪施設が見える。すぐ近くに嫌悪施設がある。(嫌悪施設とは、墓地、火葬場、高圧線鉄塔、ゴミ焼却場、ガスタンク、悪臭・騒音・振動などを発生させたり危険物を取扱う工場、下水処理場、火薬類貯蔵所、ガソリンスタンド、大気汚染や水質汚濁・土壌汚染の原因となる施設等や住宅地としての風紀が乱れる施設。また、大型車両の出入りが多かったり、騒音を伴う荷物の積みおろしが多い倉庫なども嫌悪施設となり得る場合があります。時々、不動産コンサルタントやハウジングアドバイザーのなかには、このような嫌悪施設に隣接する物件は価格が安いので、自分達が気にならなければ、お買い得物件であるというアドバイスをする方がいらっしゃいますが、自分達はよくても、次に買うか借りる方が気にする場合があり、「資産性」という観点からすると価値を下げてしまう可能性があります。)
□駅から遠い。(バス便。又は徒歩15分以上。)
□1階(表示が1階でも実際は中2階の高さがある場合や、バルコニーが道路と反対側でプライバシーが確保されている場合、プライバシーが確保された庭がある場合などは、1階でもよい場合があるが、1階というだけで、物件選びの対象から外される場合が多く、不利になる可能性がある。)しかし、1階でも、所有権のリモコン開閉扉付専用ガレージが2台付いている、通常の多数の区分所有者の集合ポストとは違う専用ポストや専用表札を掲げることができる(独自の住居表示を持つことができる)、プライバシーの確保された専用庭が100㎡以上付いているなど、かつての地権者住戸のようなプレミアムを持つ住戸の場合は1階でもよい場合がある。)
□全く陽が当たらない。開口部が一方向しかなく、北向きである。
□都心から遠い駅。不人気沿線。東京の中心まで乗り換えが多く交通不便な駅。栄えていない駅。商業施設がほとんどない駅。「駅力」がない。
□「街力」がない。街に銀行、商業、医療、教育などの基本的な施設がない又は少なく生活利便性が悪い街。発展していない。地元商店街にシャッターがしまっている空き店舗が多い。賃貸マンションに空室が多く、賃貸需要が少ない。
□歴史がない(以前は街自体が存在していなかった山林や原野、海の上など)場所に、人工的に大規模な街が造られた、いわゆる「ニュータウン」は注意が必要です。(新たに生まれた街は、開発当初は緑や道路がきれいに整備されていて良いのですが、手頃な価格から住民に一次取得層が多いということもあり、数10年後、住民達の子育てが終わり、子どもが独立し、親世代も高齢化してくると、人の転出から街の人口が減り、商業施設や医院なども撤退し、街全体が衰退していく可能性があり、衰退に伴い価格が落ちる場合がある。)
□バルコニーが幹線道路(大きな道路)に面している。(エントランスが大きな通りに面していてもバルコニーが反対側の静かな住宅地等を向いているケースはよい。)
□高速道路に面している。
□鉄道の線路に面している。
□買物施設が近くにほとんどない。スーパーがあったとしても、19:00くらいで終了してしまうなど、営業時間が短い。
□小規模すぎる。
□大規模すぎる。
□管理費・修繕積立金が高い。
□自主管理である。
□管理状態が悪い。
□月極駐車場、コインパーキング、古アパート、空き地、社宅などに隣接している場合は注意が必要。(こういった土地が買収されて高層建築物などが建ち、眺望・陽当たりなどがとれなくなる可能性がある。)
□工業系地域。(しかし工業系地域でも最新のショップ・公園などが配された大規模なニュータウンが形成されているエリアのタワーマンションなどは、短期的には価格が下がりづらいことがある。しかし、新しく創られた街の場合、20年、30年先まで、大型ショッピング施設や医療モールのテナントが入居しているかどうかはわからず将来的に衰退する場合もあるので注意が必要。)
□60㎡以上であれば2LDK以上の需要がほとんどのエリアなのに1LDKであるとか、80㎡以上であれば3LDK以上の需要がほとんどのエリアなのに2LDKであるなど、マーケットに対して、面積と間取があわない場合、買手がつきにくいことがあります。
□住戸内で他殺、自殺、変死があった。建物共用部で、他殺、自殺があった。
□建物が建つ前に、その場所が、重病者等を受け入れる病院・病棟であった、研究所等があった。
□個性が強すぎる外観・共用部・内装デザイン、色である。
□変形した間取り。
□エレベーターが無い。
□昔から、地震や水害などの自然災害の被害が起こりやすい場所。
□軟弱地盤、活断層がある、液状化が起きる、低地で水没する可能性があるなど、地震・水害被害想定マップやハザードマップ等で相当の被害が、予め予想される場所。
まだありますが、代表的なケースを挙げてみました。
特に、歴史的に地震、水害などの被害が大きかったエリアや、新たに大きな被害が予想されているエリアは、注意が必要です。
東日本大震災以降、湾岸タワーマンションをはじめ、新規分譲マンションは急遽防災対策を大幅に見直し、マンション自体に免震・制震装置や、24時間エレベーターを動かすことができる非常用自家発電装置、救急箱や生活用品を収納した防災倉庫などを設置するなど、防災対策を強化している物件が多くなってきておりますが、大地震が起きるその瞬間は、自分や家族がマンション内にいるとは限らないので、居住予定のマンションが存在する街の標高、地盤・地質、浸水・液状化想定などの安全性をぜひ確認しておくことをおすすめします。
今まで、売買契約締結前に不動産会社が行う、重要事項説明では、地盤や地質、浸水などの説明は強制で義務づけられていなく、地盤のよしあしが価格に反映することはあまりありませんでした。
しかし、今後は、地盤・地質が資産価値に影響する、安全性が価値を生む時代がくる可能性もあると思います。
どうか、安全な、また、将来、価格(資産価値)が落ちないマンションを手に入れられることをおすすめ致します。
(不動産コンサルタント 後藤 一仁)
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