満室の極意 「内見者のココロにぐっとくる、簡単な魔法」とは?

後藤一仁

後藤一仁

テーマ:不動産投資 マンション経営

先日 某新聞社様より、「2012年の賃貸住宅マーケットの見通し」や、昨今問題になっている「空室対策」についての取材を受けましたが、そのなかで「空室に悩む多くの大家さんたち」へ、簡単に実施でき、満室への効果が高い方法として、いくつかの「成功の実例」をご紹介させていただきました。

今回はそのなかから1つ、寒い季節の夜の内見時に特に効果を発揮する、簡単にできる満室への方法『ライティングによるラッピング』をご紹介させていただきます。(新聞は2012年1月23日発行号掲載ですので、マイベストプロ東京の読者の方にも、ぜひご紹介させていただきます。)

今回ご紹介させていただきますケースは、山手線のある駅から徒歩5分のところに賃貸マンション(賃貸部分5戸)を所有するオーナーさんからのご相談でした。私のところにご相談にお見えになった時点で、すでに1戸の空室期間が10ヶ月も経過していて、ターミナル駅にある歴史もありそれなりの規模の賃貸管理会社に募集を依頼しているとのことですが、なかなか入居者が決まらず、そうこうしているうちに、パタパタっと、あとの2戸も空いてしまい、「ローンもまだ残っているのに、どうしたらよいのだろう?」とのことで、かなり心配な面持ちでした。
「計3戸の空室をどうしても早く埋めて欲しい」というご依頼を受けました。

そこで、早速、現地調査後、電球が切れていて暗かった建物エントランスホールや廊下の照明をきちんと点灯させて明るくし、エントランス正面の横に「緑(観葉植物:ゴールドクレストなどのグリーンアレンジメント)」を配し、空室を私どもで「ラッピング」したところ、10ヶ月間決まらなかったお部屋にあっという間に優良入居者が決定し、その後すぐにあと2部屋も決まり、満室になりました。オーナーさんは安堵の表情とともに、とてもお喜びになりました。

その「簡単なラッピングによる方法」とは、それなりの工事費がかかるリノベーション工事を施したわけではなく、賃料を数ヶ月分無料にする「フリーレント」や、「礼金・敷金無料」などの一時金ディスカウントを行ったわけではなく、「ペットや楽器を可にしたわけではなく、賃貸仲介会社や営業担当者へ、通常以上の手数料を支払ったわけでもなく、もちろん賃料等を下げた訳でもない、あまりお金をかけない、基本的な方法でした。

それは、「光(ライティング)」です。
内見時にサプライズを演出する「ライティングによる空間のラッピング」です。

次の2枚の写真をご覧になって下さい。


上の写真は、通常よくある夜の内見時のお部屋です。
そして、下の写真が、同じ部屋にラッピングを施した写真です。
ラッピングを施すまでの時間は、慣れれば、一人で、ものの5分。
「 ライティング × 緑 × レースカーテン 」 でラッピングします。
大がかりにソファーやボード、家具などを入れる通常のモデルルームとは違い、材料を募集住戸に入れるものは、やや大きめの紙袋2つだけです。

小ぶりでセンスのよい照明器具を2~3個、床に置き、ブレーカーを上げると点灯するようにしておきます。これだけで、フワァッと足もとから柔らかな光が浮かび上がり、見違えるようになります。

そして、窓にはレースのカーテンを設置し、外の暗さやサッシの冷たさを視覚的に消し、コーナーに緑(観葉植物の造花:今であれば例えば「モンステラ」など)を置きます。場合によって、ぬくもりのあるクッションなどを置いておきます。
これだけで、嘘のように、イメージがよくなります。

この冬の時期、日が出ている時間も短く、会社帰りなど、寒くて暗い時間帯に内見する機会は多いことと思います。
夜の内見時にブレーカーを上げると、あらかじめ設置してあるいくつかのライトが点灯し、あたたかく内見者を出迎えてくれ、他にはないサプライズが待っているわけです。
もちろん、スリッパは必ず設置し、冬場はとくに暖かいタイプのものを用意しておきます。
冬場に他の物件を何件か見た後に、寒いところから、入ってきて、見る、ライティングの癒され演出に、思わず、「うぁー!ココ、いいー!」となるわけです。

ここで、気をつけなければならないことは、ライティングの電球の色は、白色ではなく、必ず、暖かなぬくもりを感じる電球色にすることです。 今は蛍光灯でも電球色をセレクトすることが出来ます。白色にすると、離れたところから見た場合、青白い光に見えることもあり、特に冬場は寒々しく見えてしまう可能性があります。

ライトは高価なものである必要はありませんが、センスの良いものがよく、入居希望者が希望した際はプレゼントするのもよいと思います。それでもフリーレントや空室が続くよりは経営的にプラスですし、入居者から喜ばれることによって、オーナー自身が精神的にもあたたかくなり、とてもよろしいかと思います。 また、観葉植物の造花は、安っぽいものはダメです。できれば質感の高いものを購入しておくと、空室に置くだけで、ホテルの一室のような高級感が演出できます。 インターネットやカタログ販売などで、写真だけで購入するのではなく、できれば、実際の商品を見てから購入することをおすすめします。

さあ、間もなく、2012年賃貸住宅マーケットにとって、最大の繁忙シーズンがやってきます。皆様も、「空室対策」を賃貸仲介業者任せにしないで、意外と効果のある「光(ライティング)」の恩恵にあやかりながら、ラッピングのサプライズで内見者のココロにぐっとくる感動を与えてみてはいかがでしょうか?

(不動産コンサルタント 後藤 一仁)

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株式会社フェスタコーポレーション

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