音楽は政治を語るべきか?―グラミー賞から考える「効く問い」

豊田朋子

豊田朋子

テーマ:今週の授業(Global youth)

NHK紅白歌合戦で政治発言は可能か?


本日の授業は、政治と音楽が交差するテーマから始まります。

きっかけは、今年のGrammy Awards。
受賞スピーチの中で、Bad Bunny が移民政策について言及し、「We are not animals!」と語った場面が大きな話題となりました。ICE(Immigration and Customs Enforcement 移民税関捜査局)による厳しい移民取締りをめぐり、アーティストたちが声を上げたのです。↓

https://www.youtube.com/shorts/dfb_aJzzUHE

アメリカでは、アーティストが政治的メッセージを発することは珍しくありません。
しかし、日本の音楽番組、たとえば NHK紅白歌合戦 の舞台で、歌手が政府の政策を直接批判する姿は、なかなか想像しにくいのではないでしょうか。
この文化差こそ、今日の授業の核心です。

英語で背景記事を読み、事実を整理したあと、生徒たちに投げかける問いは、たった一つ。

Do you think musicians should
use their fame to speak about political
or social problems?
Why or why not?



とてもシンプルな問いです。
しかし、この問いは静かに、深く刺さります。

有名人は政治について語るべきか。
芸術と政治は分けるべきか。
表現の自由とは何か。
日本とアメリカではなぜ違うのか。
もし自分の“推し”が政治的発言をしたら、どう感じるか。


この問いは、正解を求めるものではありません。
むしろ、考え続けるための「針」のような問いです。

私はよく、良い問いを“鍼灸の針”にたとえます。
強く刺すのではなく、最適なツボにそっと置く。
すると、その刺激がじわじわと全身に広がり、思考を活性化させる。

今日の問いも、まさにそうです。
ある生徒は「有名人には影響力があるからこそ責任がある」と言うでしょう。
別の生徒は「音楽は音楽のままでいてほしい」と語るかもしれません。

どちらも正しい。どちらも未完成。
そしてその揺らぎこそが、学びです。

英語の授業で扱っているのは、単なる語彙や文法ではありません。
英語を通して、自分の国を外から見つめ、文化の違いを考え、立場を言語化する力を育てています。

政治を学ぶのではなく、
対立を恐れずに考える力を育てる。

音楽という入り口から、
生徒たちは世界とつながり始めています。

問いは小さく、しかし効き目は深い。
そんな授業を、これからも続けていきたいと思います。

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豊田朋子
専門家

豊田朋子(英語講師)

株式会社ダイバース・キッズ / Global kids英語会

文字と音の法則で学ぶ「フォニックス教授法」をベースに、日本の子どもに欠けがちな発信力をはぐくむプログラムを実施。本格的な英語プレゼン大会で成果を発表。専門訓練を受けたプロ講師たちが熱意を持って指導する

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