自分しか語れない唯一無二のプレゼン目指して、「体験価値」にフォーカス
英語プレゼン準備は、自己変革のプロセス
12月となり、当会最大のイベントである「英語プレゼン大会」が近づいてまいりました。
長年、この取り組みに関わってきた経験から断言できることがあります。
それは、このプレゼンが単なる「英語学習の成果発表」では決してない、ということです。
プレゼン準備の第一歩は、英語ではなく「日本語で自分の考えを言語化すること」です。
心の奥にあるもやもやした感情や思考を、いったん母語で言葉に落とすことで、心も魂も整理されます。
母語でさえ曖昧な考えを、別の言語で発信できるはずがありません。
だからこそ、まず日本語で自分の主張を丁寧にまとめることが不可欠なのです。
しかし、この「言語化」は簡単ではありません。
この段階で多くの生徒が苦戦し、日本の教育現場では「自己発信のための学び」がいかに不足しているか、改めて実感させられます。
たとえば、私が担当する中高クラスでは、生徒たちが自分の主張を順にシェアします。
思春期の生徒たちの想い、課題は様々です。
「本当の幸せの基準って何だろう?良い学校に行くこと?良い会社に就職すること?」
「二次元のキャラクターに恋をしている自分は、このままで良いのか?」
「舞台でダンスをしている時、非日常的体験をした。ダンスが持つ特別な力について伝えたい。」
「ぬくぬくとした心地良い今の生活。でも何かが足りない。そこから一歩踏み出したいと思った。その想いを言葉にしたい。」
などなど。
仲間からの意見を受けながら新たな“気づき”が生まれ、
主張が少しずつ変化・発展していき、表情が次第に明るくなる様子を見ると、
このプロセスは、自己を確立していく思春期にこそ不可欠だと強く感じます。
そして私は、
「英語学校」という形を借りながら、実はこうした“価値の交換の場”を提供したかったのだ と気づかされるのです。
さらに興味深いのは、こうして日本語で深めた内容を、個々の個性や英語レベルに合わせて英文に仕上げていく段階です。
同じトピックなのに、英文にすると、それぞれのメッセージがまるで別物のように生まれ変わります。
英語という「個を基盤とした言語」を通すことで、想いも信念もより力強く研ぎ澄まされていきます。
“This is who I am!”──「これが私だ!」という実感が、英語での発信を通して確実に進化していくのです。
試験のために覚えた単語は、試験後すぐに忘れてしまいます。
しかし、自分の切実な想いから生まれた英語の言葉は、心に深く根を張り、やがて“自分自身の言葉”として育っていきます。
そこにこそ、本当の英語学習の道があります。
9月から続けてきたプレゼン準備は、一人ひとりにとって
“self-transformation”──自己変革のプロセス だと言えるでしょう。
そして、舞台での発表は、
心の奥底に蠢いていた“自己”の解放の瞬間です。
ステージを終えて降りてくる彼らは、確実に「個の力」を高めています。
どうぞ、当日の成長した姿を楽しみにしていてください。




