もしトラ、どうなる?史上初、元米国大統領が有罪評決受けた件を英語でシェア。
しかも日本の若い世代ほど英語力低下
日本人は英語を「死語」にしようとしているのだろうか──、とフランスの有力誌の一つ「フィガロ」が今月特集を組みました。
イー・エフ・エデュケーション・ファースト社による最新の英語能力指数(EF EPI)によると、2024年、同指数の国際ランキングで日本は116ヵ国中92位。
地域別ランキングでも23ヵ国中16位と、アジア第2位の経済大国としては看過できない低さです。
しかも、この10年で日本の英語力を特に低下させているのが、若い世代(18歳から25歳)という結果もクリアになりました。ショックでしたが、「やはりそうか。」と納得しました。
当会では、これまで、国際イベントなどで、アセアンの高校、大学生と英語で交流する機会があったのですが、私はその度に、フィリピンやシンガポールのような英語が公用語である国はもちろんですが、そうでないベトナムやインドネシアの若者の英語力のレベルの高さに、驚き、危機感すら覚えたものです。
例えば昨年末、当会に、地元の高校の交換留学生として来日していた、インドネシアの高校1年生がたまたま当会の授業に参加しましたがその英語力には感銘を受けました(写真、真ん中の少女)。
ちょうど、目玉イベントの英語プレゼン大会に向けて、生徒全員がリハーサルの最中でした。
各自がプレゼンをクラス発表し、自己評価、他己評価をする際、そのインドネシアの高校生にも、英語で評価を述べてもらいました。
「テーマはそれぞれユニークで、発表する意義があると思う。だからこそ、最低でも、強調すべき箇所は、顔を上げて、ジェスチャーをつけて、原稿を一切見ないで、大きい声でアピールすべきだ。個人差はあるが、全体としてまだ、自身のプレゼンに対して十分な自信が持てていない印象だ。練習不足だと思う。」
と、この当会の生徒たちと同い年の、非英語圏から来た少女が浪々と英語で述べたのです。
「あなたのその英語力は、インドネシアの高校生としては一般的なの?」 と私が聞くと、
「まあ、私は英語は得意な方ですが、皆だいたい、これぐらいのスピーチ力はありますよ。」
とのことでした。
2年前に長野県飯田市で開催された、当会も共催したユース国際会議に海外からオンラインで参加し、流暢な英語で自身の意見を述べていたベトナム人大学生1年生(下記写真、真ん中の学生)にも、その際に彼の英語力の所以を聞いてみました。
「ベトナムの英語教育も以前は日本のように文法や読解が中心だった。でも、 2年前に国の主導で、スピーチ中心の英語教育に変化していった。中学や高校の授業で普通に英語でプレゼンが実施されるようになって、随分違ってきたと思う。」
と述べていました。
仏誌では、日本人の英語力の低さが、グローバル化が避けられないこの時代に、あらゆる領域で問題や齟齬を引き起こしていることを指摘していますので、下記、私の所見や経験も踏まえ、まとめてみました。
★主要な国際会議で、どこにでもわざわざ通訳を連れてくるのは日本の首相だけだ。
それは、先日の初のトランプ大統領と石破首相の日米首脳会議でも明らか。日本語であっても、せめてノンバーバル(非言語表現)でカバーして欲しいです。その点についても下記コラムで書きました。
↓https://mbp-japan.com/tokyo/globalkids/column/5184902/
また、当会のプレゼン大会を取材、AERAに掲載くださった、日本を代表する国際ジャーナリストの大野和基先生は、通訳を介する国際会談の損失を下記のように数字を挙げて述べていらっしゃました。
逐次通訳を入れると、30分の会談が12分くらいになりますね。
30分英語だけでやれば、400字で20枚分の会話ができますよ。
★謎の英語表記に愕然とする海外からの観光客
在日していたアメリカ人の友人が、日本の英語標識は間違えだらけだ!とよく嘆いていましたが、同誌でも、例えば、歩行者に転落の危険を伝える「この先危険、これ以上前に行かないで下さい」という標識は「The future is dangerous, don’t go any further(未来は危険、それ以上進むな)」となっていて、時に「詩的でさえある」という事例を挙げています。
★バイリンガルの日本人マネジャーを見つけることは極めて困難
これは私も実感します。実は日本の英語教育に真に必要なのは、完全に近い、日英バイリンガル、日本語と英語の両方の4技能がネイティブ並みであり、二つの言語の違いを明確に認識している人財です。
しかし、受験英語を教えられる日本人英語講師はたくさんいますが、英語を使えて話せる講師を見つけるのは、至難の業です。逆に、ネイティブの英語講師も、日本語は全く話せないという人がほとんどです。
この点に関し、同誌では、こう指摘します。
日本で働きたい、あるいは日本人と一緒に働きたいと望んだ場合、言葉の壁があるために、外国人は途方もない苦労が強いられることになる。
そして、その逆も然りで、「社長が英語でメールを一斉送信しても、従業員の3分の1は読むことができません」というある日本のGAFAの外国人幹部のコメントを引用し、このグローバル市場において、英語のできない日本人は雇いにくいとも述べています。
最後に、国際銀行協会(IBA Japan)のローラン・デュプスのコメントを引用し、日本自体は魅力に溢れた国で、日本人は労働力としてもとても優秀であるが、一つその魅力を妨げるものは、英語力、すなわちグローバルな識字率の低さだと指摘しているのです。
そして、この英語力の問題は、今後、日本がグローバル化に深く参与していくうえでの大きな壁になるだろうと結んでいます。
皮肉にも、世界広しといえども、これだけ英語に時間とお金を使い、英語が使えない民族は、日本人だけです。
しかしながら、同誌でも述べていますが、この状況に関し、日本政府は大規模な教育改革計画を行う様子は全くありません。
だからこそですが、「世界へ自己発信する英語力を獲得する」というミッションを胸に、私は、今日もこれからレッスンへと向います。