被団協ノーベル平和賞、非核の訴え英語で理解しよう!
政治家として手本にはならないが、英語話者としては良いお手本
ご存知のように様々な理由で、岸田政権の支持率は低下の一途をたどっている。
私自身も支持しかねる国民の一人だが、昨今の裏金問題より、岸田政権発足時の柱の一つだった「異次元の少子化対策」なるもののお粗末さに、元々期待はしてなかったものの、改めて失望している次第だ。
「始めから本気でないなら、そんな大層なキャッチをつけなさんな。」と、子育てをしてきた母親の一人として、納税者の一人として申し上げたいのである。
よって、首相が訪米時に米国議会で英語演説をしたのは知ってはいたがスルー(完無視)していた。
ところが、在日米国人知識人タレントのデーブさんやパックンが、「英語スピーチとしては、100点満点!」と大絶賛しているのをテレビで見て、その演説の動画をちょっと見てみようという気になったのだ。
すると、思わず、「Indeed!(まさに!)」と膝を打ってしまった。
「岸田氏は政治家として決してお手本とは言えないが、日本人の英語話者としては、大変良いお手本となる!」というのが英語教育専門家としての私の率直な感想だ。
そして、早速、私の担当授業で教材にさせていただいた。
岸田首相の米国議会演説、ノンバーバル表現が100点満点
ここでは、日米同盟をより強化するという、その政治的内容には全く言及しない。
また、米国人の敏腕スピーチライターが書いた(←政治演説に関しては、米国では慣例)という、当然最高レベルの英文についても触れない。
では、何がお手本となるのか?
それは、岸田首相のノンバーバル表現(非言語表現)である。
「英語を世界へ自己発信するための道具の一つとする。」ことをミッションとしている当会は、日本人が苦手なノンバーバル表現の練習に力をいれている、数少ない英語スクールだ。
ノンバーバルとは、要は言語外の表現で、ある調査では、対面でのコミュニケーションでは、話し手の印象の7割を左右するともいわれる。
年1回、年長から高校生まで本格的な英語プレゼン大会を開催する当会では、ノンバーバル表現は、良いスピーチをするためのスキルというより、「国際社会におけるマナーである。」
と毎回のレッスンで指導している。
具体的には、以下がポイントとなる。
*big and clear voice
(よく通る、大きな声で話す。文法以前に、ぼそぼそ話している人は日常生活でも相手にされない。)
*eye contact
(話し相手や観客とアイコンタクト、目を合わせながら話す。原稿や壁を見て話さない。)
*smile
(微笑みをキープして話す。でないと友好的でないと判断される。仏頂面で話すのは失礼にあたる。)
*gesture
(身振り手振りのジェスチャーをつけること。顔を上げ、身体を開き、体全体で想いを表現すること。)
*rhythm
(強弱をつけリズム良く話をする。一定調子は聴衆を飽きさせる。)
岸田首相は、少なくとも、以上のノンバーバルのポイントを見事に達成していた。
実は岸田首相は小3までニューヨークの小学校で学んだ帰国子女であったことを、この演説を聞いて初めて知ったのだが、「なるほど」と思った。
というのも、当会の柱である耳から入るフォニックス教授法も、上記のノンバーバル表現も、年長から小3までが学習の黄金期なのだ。
そもそも「お口は閉じて、手はお膝。」と育てられる日本の子どもたちが、笑顔をキープしながら、ジェスチャーをつけてリズム良くスピーチするなんて、自我意識が芽生える小学高学年あたりになると恥ずかしがってまともにできない。
そこで、生徒たちに、
「皆さんのように、小さいうちにフォニックスやノンバーバル表現を身に着けたから、こんなおじさんになっても、アメリカ議会で堂々と立派な英語スピーチができるんだよ。」
と岸田首相演説の動画を見せながら伝えている。↓
https://www.youtube.com/watch?v=egugoN6tlXg
感銘すら受けたスピーチ冒頭の岸田首相のユーモア
そして、岸田首相はこの演説で何度も米国議会場の笑いをとっている。
Don’t be square! (クソまじめになるな!)というスラングにもあるように、四角四面でなく、ユーモアを交えることが英語表現では肝であるが、その面でも、岸田首相の演説は見事なお手本であると言える。
特に、スピーチ冒頭で米国議会場全体の笑いと拍手を取った一言は、国際的に危機に瀕している民主主義を考える上で非常に深いユーモアだと思い、(それで岸田政権を支持するというわけでは全くないのだが)、国政を超え、ユニバーサルな意味で感銘すら受けた。
それについては、また次回お伝えしたい。
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