持分移転するときの手続き
「共有持分は誰に売却すればいいの?」
「共有持分の売却方法は?」
「共有持分を売却した後によくあるトラブルとは?」
共有名義不動産は、共有者間で不動産の活用や処分をめぐる意見が割れ、トラブルになるケースも多いため、自己持分を売却して解消したいと考える方もいらっしゃいます。
この記事では共有持分の売却先と売却方法について紹介します。また共有持分を売却した後のトラブル事例も解説します。
■1. 共有持分の売却先
共有持分の売却先は以下の3つに挙げられます。
1-1 共有者
共有持分を売却する先として最も多いのは共有者です。共有者に持分を売却することで、買い手側は持分割合を増やすことができます。さらに共有者が2名の場合、購入者のどちらか一方の単独名義にすることができるメリットがあります。
しかし共有者間で合意が取れていれば、問題ありませんが、売買条件で合意しないケースも多いです。
また共有者が複数名いる場合、持分を購入しても、不動産を活用する際は他の共有者から同意を得る必要があるため、購入することに大きな魅力はありません。さらにお金を出したくないという方も多いため、100%売却できるとは限りません。
1-2 共有持分の買取業者
共有者間で売買が成立しない場合は、共有持分の買取専門業者に依頼する方法もあります。街中で見かける不動産会社ではなく、共有持分専門の不動産会社に相談します。
共有持分は専門的な知識に加えて、権利関係が複雑化することから、街中にあるような一般的な不動産会社に相談しても断られるケースが多いです。
しかし買取専門会社に相談すれば、前向きに買取を検討してもらえます。ただし、買取業者はどの共有持分でも買い取るわけではありません。共有持分は法的なトラブルが絡むことも多いため、買取業者は事前に買取するメリットがあるのかを慎重に判断します。
例えば共有者が何人もいて他の方からも買取りするのが困難と想定できるケースや、そもそも立地が悪く不動産の活用用途が見当たらないなどの場合は買取自体を拒否することもあります。
1-3 共有持分の専門仲介業者
共有持分の専門仲介業者は、共有持分の購入希望者を売主に代わって探してくれるため、好条件で購入してくれる買主を見つけることができます。
買取業者と比べて、買い手が見つかるまでに少し時間は要しますが、売却価格は高額になる傾向があります。
また、売却後のトラブルも買取業者と比較して少ないため、共有持分を専門に取り扱う仲介業者と買取業者両方に査定を依頼し比較するのが良いでしょう。
■2. 共有持分を売却する方法
ここでは共有持分の概要と売却方法について紹介します。
2-1 共有持分とは?
そもそも共有持分とは、複数名で所有している不動産の所有権割合のことを指します。日本では不動産の所有者は全て登記簿に登記されており、それぞれ持分割合が定められています。所有者が1名の場合は単独名義となり、所有権割合は100%となります。
しかし複数名いる場合は以下の画像のように、1/2ずつ所有権割合を持ち合わせている場合があります。
共有持分がある不動産は共有名義となり、売却や建て替えなどの活用をする際は共有者全員の同意が必要となるデメリットがあります。
一方で、1人当たりの固定資産税や都市計画税の負担額の軽減や相続税の節税になるメリットもあります。
2-2 共有者に売却する
共有者の中で、合意が取れる場合は共有者間で持分を売買するのが良いでしょう。ネックになりやすいのは、売買価格についてです。購入する側に資金的な余裕がない場合、ほとんど譲渡に近いかたちで、持分を譲ることになります。共有状態を解消したいだけの目的であれば、それでも構いませんが、金銭的な対価を得たい場合は慎重に検討しましょう。
場合によっては、次に紹介する第三者への売却の方がメリットがあるかもしれません。
2-3 第三者に売却する
第三者に売却する場合は「専門会社に買取してもらう」もしくは「共有持分を専門に扱う不動産会社に仲介してもらう」流れです。
買取は、不動産を自社で安く買取り、第三者に高く転売する形態のことです。買取は買取業者が合意すればすぐに売却できる特徴があります。買取を依頼する場合、専門会社に物件情報や持分割合、共有者の情報などを確認してもらい、買取の可否を確認します。問題がなければ売買契約書を締結して買取してもらいます。
一方、仲介は投資家などの買主と売主を繋ぐ役割を指します。仲介は買主側を見つける必要があるため、多少時間がかかる一方で売買価格は高額になる傾向にあります。
■3. 共有持分を売却した後のトラブル事例
ここでは共有持分を売却した後のトラブル事例を3つ紹介します。
3-1 他の共有者からの嫌がらせを受けた
共有持分を売却したことで、他の共有者から嫌がらせなどを受けるケースもあります。共有者から同意を得ずに売却してしまうと「勝手に持分を売った」ということに対して憤慨することも多いです。その結果他の共有者から、さまざまな嫌がらせを受けることにもなりかねません。共有者は一般的に親子や兄弟、親族などの身内となるケースが多いため、今後の関係性にも支障をきたすことがあります。
3-2 買取業者と共有者がトラブルになる
持分を買い取った買取業者は、他の共有者に持分を売ってくれないか交渉します。共有状態では、不動産の活用に制限があるため、共有者全員の持分を買い取って、完全所有権の不動産にし、転売することを買取業者は目的としています。
そのため、強引な交渉によって共有者とトラブルになったり、買取業者が共有名義不動産の敷地内に立ち入ってきたりすることがあります。
3-3 共有物分割請求訴訟に発展した
共有者同士で協議が進まなかった場合、共有物分割請求訴訟を起こされる可能性もあります。共有物分割請求訴訟は、以下の通り民法258条で定められています。
共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
共有者同士で話し合いがまとまらなかった場合は共有物分割請求訴訟にて裁判所が下した結果に従わなければいけません。
そのため、場合によっては共有持分を失うことにもなります。不服がある場合は弁護士に相談し、裁判で争うことになりますが、もちろん弁護士費用なども発生します。さらに共有物分割請求訴訟は共有者であれば誰でも申立てすることが可能です。
しかし訴訟するとより共有者間の関係悪化につながりかねないため、最終手段として認識しておきましょう。
■まとめ
共有持分の売却先は「共有者」や「買取業者」「投資家」が挙げられます。最も早く売却できるのは共有者ですが、金額の折り合いがつかないケースも多いです。一方、買取業者や投資家であれば、共有者の同意を得ずに売却することが可能です。しかし共有者に知らせずに売却すると嫌がらせなどを受けることにもなりかねないため注意しなければいけません。共有持分を売却する際は、売却後のトラブルもフォローしてもらえる不動産会社に相談するのがおすすめです。
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