共有名義不動産!トラブルが起こったときの解決方法

松原昌洙

松原昌洙

テーマ:よくある共有不動産トラブル

共有不動産に起こったトラブルの解決法について7つの方法を見てみましょう。

共有名義不動産!トラブルが起こったときの解決方法

共有不動産にはトラブルが生じる

「共有」とは、言うまでもなく、一つのモノを複数の人が持つことです。
一つのモノを1人の人が持っている場合、それをどう使おうと、あるいは、どう処分しようと、その人の考え一つで行って何のトラブルも起きません。しかし、「共有」の場合はそうはいきません。使うにしても、処分するにしても、複数の考えがあれば軋轢が生じる可能性があります。

Aさん、Bさん、Cさんが一つの土地を共有しているとしましょう。Aさんはこの土地を売りたいと考え、Bさんは現状維持を主張し、Cさんはこの土地を駐車場にしたいと考えているとします。しかし、3人の考えがバラバラではどうすることもできません。共有不動産については共有者全員の同意がなければどうすることもできないからです。

現状維持を主張しているBさんが、Cさんの駐車場案には同意できず、そういうことならAさの考えに与して土地を売却したいと考えたとしても、Cさんが同意を拒めば、やはり、この土地を売却することはできません。2対1になっても事は何も進まないのです。

共有トラブルから抜け出す解決手段・7つの方法

①全部売却
共有トラブルから抜け出す解決手段としては、「全部売却」があります。共有名義不動産を共有者全員で売却する方法です。

たとえば、上の例の場合、土地の持分をAさん、Bさん、Cさんそれぞれ1/3とします。協議を重ねた結果、Cさんも売却に同意し、その売却代金が3000万円とすれば、Aさん、Bさん、Cさん、それそれの持分に応じで1000万円ずつ受け取り、共有トラブルを終わらせるわけです。共有不動産のトラブル解決法としては理想的と言えるでしょう。

①全部売却

②土地の分筆
「分筆」とは、1つの土地を2つ以上に分けることを言います。登記簿上、一つの土地を「一筆」と言います。それを分けるので「分筆」と言うわけです。土地の分筆にも共有者全員の同意が必要になりますが、土地が広い場合、Aさんたちのようにそれぞれの考えが違っていても、それぞれの考え通りにできる可能性があります。

ただ土地の分筆は単純に面積を2つにする、3つにするというわけには行きません。単純な面積だけでは不動産評価が等しくならない場合があるからです。しかし、その点がクリアできれば、共有トラブルの解消につながります。

②土地の分筆


③一部売却
全部売却、土地の分筆もできない、という場合、「一部売却」という方法があります。自分の持分を共有者以外の第三者に売却する方法です。

共有名義不動産そのものを売却する、分筆するという場合には、共有者全員の同意が必要になりますが、その不動産に対する自己の持分のみを売却したい場合には、他の共有者の承諾や同意は必要ありません。

Aさんたちの例で言えば、Aさんは自分の持分だけを第三者に売却することで、Bさん、Cさんとのトラブルから離脱することができるわけです。

③一部売却


④持分移転
Aさんが売却する場合でも、現在の共有者の間に第三者が入るのは嫌だと考えた場合、Aさんの持分を、BさんかCさん、あるいは、二人に売却する方法もあります。これが「持分移転」です。

Aさんとしては共有名義不動産のトラブルから抜け出すことができ、Bさん、Cさんにとっては、第三者が入らないので安心という面もあるでしょう。

ただし、Aさんが「とにかくトラブルから抜け出せればいい」と考え、相場にくらべ著しく低い売値にすると、税務署から贈与とみなされる可能性があり、その場合、Bさん、Cさんに贈与税がかかることになります。

④持分移転


⑤持分買い取り
「持分買い取り」とは、Aさんたちの例で言えば、たとえばCさんが、Aさん、Bさんからそれぞれの持分を買い取り、共有名義不動産のトラブルに解決をつけるという方法です。

持ち分を買い取ることで共有不動産がCさんの単独名義になれば、その後は、Cさんの考え通り
事を進めることができます。

⑤持分買い取り


⑥持分放棄
「持分放棄」とは、共有者の1人が自分の持分を放棄することを言います。これには何の対価もありません。放棄された持分は、他の共有者に帰属します。Aさんたちの例で、たとえばBさんが持ち分を放棄すれば、共有不動産の持分がAさん1/2、Cさん1/2になるということです。

⑥持分放棄



⑦共有物分割請求訴訟
「共有物分割請求訴訟」は、共有名義不動産の分割について、裁判所にその方法を決めてもらうということです。裁判所は、共有者それぞれの希望、持分、共有物の利用状況、共有物の経済的価値、持分権者それぞれの資力等を考慮して決定を下します。

Aさんたちの例で言えば、たとえばAさんが「共有物分割請求訴訟」を起こしたとすれば、Aさんが「原告」、Bさん、Cさんが「被告」ということになります。

⑦共有物分割請求訴訟


共有名義不動産のトラブルが訴訟に発展するのは珍しいことではありませんが、兄弟姉妹、親族が原告、被告となって争うのは、やはり大変やるせない話です。

共有持分のよくあるトラブルについては、下記記事でも詳しく解説しています。
共有持分の実情~よくあるトラブル事例~

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松原昌洙
専門家

松原昌洙(宅地建物取引士)

株式会社中央プロパティー

遺産分割における共有名義不動産の自己持分のみの売買、仲介を取り扱う。複雑な案件でも、これまでの経緯や心情に配慮しながら取引を進める。買取とは異なり、「できるだけ高く売りたい」という要望にも応える。

松原昌洙プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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