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松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(まつばらまさあき) / 相続アドバイザー

株式会社中央プロパティー

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コラム

代表相続人が困る相続した共有名義不動産の固定資産税

2018年6月27日

テーマ:よくある共有不動産トラブル

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 相続 手続き

代表相続人の役割は、相続人を代表して役所や税務署、また、金融機関との連絡窓口になることです。相続代表者という言い方もあります。今回は、共有名義不動産の固定資産税にまつわるトラブルについて解説します。

代表相続人が困る相続した共有名義不動産の固定資産税

共有不動産は共有者すべてに納税義務がある

不動産を相続した場合、相続時には固定資産税はかかりませんが、相続後、続けて所有していれば固定資産税を支払わなければなりません。

相続した不動産を共有名義にした場合、共有者全員に固定資産税納税の義務があります。自治体のホームページを見ると「よくある質問」などに、「共有名義の固定資産税を持分に応じて、分割して課税できませんか?」という質問があります。

これに対する自治体の答えは、文言はさまざまですが、概ね次のようになっています。
(1)共有者それぞれの持分に応じて課税することはできない。
(2)持分に関係なく、共有者全員が連帯して全額を納付する義務(連帯納税義務)がある。
(3)納税通知書(納付書)は代表相続人に送付する。
(4)納税通知書(納付書)に記載されている課税内容を確認し、代表相続人を含む共有者全員
で協議のうえ、納付すること。
そして、これは「地方税法第10条の2第1項」の規定によることが示されています。

Aさん、Bさん、Cさん兄弟が実家の家と土地を相続し、共有名義にしたとしましょう。この場合、Aさん、Bさん、Cさん3人に固定資産税の「連帯納税義務」が生じます。連帯納税義務とは、Aさんたち「共有者全体」が「一つの納税義務者」になるということです。

そのため、Aさん、Bさん、Cさんそれぞれに分割して課税するということはできず、納税通知書(納付書)は代表相続人に送付されることになります。

代表相続人の決まり方

代表相続人は、多くの地方自治体が、概ね次の方法(優先順位)で設定しています。
1共有持分の一番多い人
2その不動産のある市町村に居住している人
3登記簿に記載されている順序が早い人

Aさん、Bさん、Cさんの持分が同じで、3人とも同じ市に住み、兄のAさんが相続した不動産を住んでいるという場合、一般的に、Aさんが代表相続人に設定されることになるでしょう。
ただ共有名義不動産の代表相続人の設定の仕方は各自治体によって違いがあります。

連帯納税義務とは

さて、連帯納税義務について、もう少し見てみましょう。たとえば、ある土地をDさんとEさんが2人で所有していたとします。持分は、Dさんが9/10、Eさんが1/10とします。この土地の固定資産税が10万円だとすると、Dさんは持分9/10なので9万円を支払う義務があり、Eさんは持分が1/10なので1万円を支払う義務があるということになるのでしょうか。

実はそうではありません。連帯納税義務とは、持分に関係なくDさん、Eさん、それぞれが10万円の納税義務を負うということです。先にお話したように、連帯納税義務は、「共有者全体」が「一つの納税義務者」になるということだからです。そして、どちらか一人、たとえばDさんが10万円を納付すれば、Eさんの納税義務はなくなります。どのように税金を分担するかは、共有者同士、「協議のうえ」決めるということです。

共有名義不動産の固定資産税からトラブルになることもある

共有名義不動産の固定資産税についてトラブルが生じるのは、上にあげたAさん、Bさん、Cさん兄弟の例のように、共有者の一人が相続した不動産に住んでいるという場合です。

Aさん兄弟の例で言えば、弟のBさん、Cさんから「住んでいるのは兄で、自分たちは住んでもいないのに、なぜ税金を負担しなければならないのか」という不満が出ることは十分、考えられます。実際、こうしたことから兄弟間に亀裂が入る例は少なくないのです。

この場合、弟のBさん、Cさんは、兄のAさんに対し、家の賃料に相当する金銭を請求することもできます。しかし、実際には事を荒立てたくない、あるいは、弟という立場にあるためそのことを言い出せず我慢しているというケースが多いのです。

また反対に、兄のAさんが固定資産税を全額負担し、弟のBさん、Cさんは、そのことにまったく関知しない、「住んでいる兄が払って当然」という態度でいると、これもいずれ問題になる可能性があります。連帯納税義務は弟のBさん、Cさんにもあるのです。

固定資産税の納付について各自治体が「代表相続人を含む共有者全員で協議のうえ、納付すること」としていることはすでにお話しました。しかし、自治体がこの「協議」が円滑に行くようサポートをするということはありません。すべては協議を行う当事者に任されています。そして、一度トラブルになると事は深刻になって行くのです。

もちろん、そのトラブルを解消する方法はいくつかあります。しかし、根本的には、トラブルを招かないようにすること、つまり、不動産の共有は避けるということに尽きます。どんなに仲の良い親族同士でも不動産の共有はトラブルの元になりやすい性質を持っているのです。

この記事を書いたプロ

松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(株式会社中央プロパティー)

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