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松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(まつばらまさあき) / 相続アドバイザー

株式会社中央プロパティー

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コラム

共有不動産が無断譲渡されてしまった場合の対応策とは

2018年7月23日

テーマ:よくある共有不動産トラブル

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 共有不動産

共有不動産にはさまざまなトラブルが発生する可能性があります。「無断譲渡」もその一つです。例を挙げながら、共有不動産の問題について見ていきましょう。

共有不動産が無断譲渡されてしまった場合の対応策とは

共有不動産を勝手に第三者に売却されてしまった

Aさん、Bさん兄弟は、父親の遺産である土地を相続し、2人の共有という形にしました。共有持分は、それぞれ1/2ずつです。

Aさんは、ゆくゆくはBさんの持分を買い取り、Aさんの単独名義とし、自分の子供たちに遺す考えでいました。

ところが、Aさんに隠れて、Bさんが相続した土地全部を自分名義に登記してしまいました。しかも、第三者であるCさんに売却してしまったのです。Aさんは、どうすればいいでしょう。

不動産登記の「公信力」について

法律には「公信力」という言葉があります。文字通り解すれば「公に信用を与える力」ということになります。

不動産の登記は「公に信用を与える力」を有していると思われるかもしれませんが、日本の法律では「不動産登記に公信力は無い」とされています。
言い換えれば「登記に記載されているものは100%信用できるものではない」ということです。そのため、「登記に記載されたものを信用して権利を取得したとしても、それは有効ではない」ということになります。

Aさんの事例では、Bさんが行った登記を信用して土地を買ったのは第三者のCさんです。しかし、Bさんの登記は無権利の登記です。Bさんが本来処分できるのはBさんの持分だけであるはずだからです。Aさんの持分についてBさんに売却の権利はありません。

こうした状態で第三者のCさんが所有権移転登記を行ったとしても、Bさんが売却した土地の1/2の所有者はAさんですから、Aさん兄弟が相続した土地全部をCさんのものにすることはできません。Aさんは移転登記の抹消を請求できます。これがAさんの対応策になります。

その結果、「Cさんの登記はAさんの持分に関する限り無権利の登記であり、登記には公信力が無いため、Aさんの持分に関する限りその権利をCさんが取得することはできない」ということになると考えられます。

登記の「対抗力」について

いま、登記には公信力がないということをお話ししましたが、登記には「対抗力」があります。
どういうものかと言えば、たとえばDさんが同じ土地を、EさんとFさんに売ったとします。つまり、二重売りです。

Eさんも、FさんもDさんに土地の購入代金として1000万円を支払ったとしましょう。そうなると当然、「土地はどちらのものか」ということになります。

この場合、土地は先に登記した人のものになります。Eさんが先に登記すればEさんのもの、Fさんが先に登記すればFさんのものということです。

不動産の名義変更を行っていない場合は第三者に対抗できない

Gさん、Hさんの兄弟が父親の貯金と土地を相続したとします。法定相続人はGさん、Hさんのみとします。貯金についても土地についても法定相続人としての持分はそれぞれ1/2ずつになります。

遺産分割協議はやや長引きましたが、結局、Gさんが土地を相続し、Hさんは預貯金を相続することで折り合いがつきました。Gさんは話し合いがついたことに安堵し、土地の名義変更を行わずそのままにしておきました。
すると、Hさんが自分の持分をGさんに断りなく第三者に売却してしまいました。Gさんとしては「話が違う!」と言いたいところですが、この場合どうなるでしょう。

民法909条では「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生する」と定めています。
また、民法898条では「相続人が数人あるときは、相続はその共有に属する」としています。

Gさんたちの例で言えば、父親が亡くなった時が相続開始日です。
その時には、Gさんたちは父親の遺産をどう分割するか決めていませんから、残された土地は、いったんGさんとHさんの共有ということになります。
遺産分割協議が終了することで、残された土地は相続開始時からGさんの単独所有であったということになります。

しかし、ここでGさんに問題があります。名義変更を行っていなかったことです。というのは、民法177条には、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」としているからです。

つまり、遺産分割によって他の相続人から持分(ここではHさんの持分1/2)を取得したGさんは、登記を備えておかなければ第三者に対抗できないということです。
Gさんは、Hさんが売却した相手である第三者に対して「Hの持分は実際は自分のものだ」と反論することができないわけです。
Gさんの事例に似たケースに対し、裁判所が下した判例から考えるとそうなります。

その背景には、「遺産分割協議が終了し、自分の持分が決定し、また、いつでも登記できる状態でありながら登記を怠った者を保護する必要性は高くない。むしろ取引の安全性を重視するべき」という判断があると考えられます。

この記事を書いたプロ

松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(株式会社中央プロパティー)

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