【中小企業AI導入事例 第3回】職員1万人の組織を動かす——埼玉県庁DX推進支援の現場から

吾郷潤

吾郷潤

テーマ:中小企業のAI活用事例

AGO MARKETING株式会社 導入事例|自治体



はじめに

AGO MARKETING株式会社は、外部人材として埼玉県庁のDX推進に参画し、生成AI導入支援を担当させていただきました。職員約1万人という大規模組織において、どのようにAI活用を根付かせ、現場主体の変革文化を育てていったのか。本記事では、その取り組みの全体像をご紹介します。

課題:1万人の組織に、どうAIを届けるか

参画当初、最大のテーマは「1万人の職員に対して、どのように導入支援を進めるべきか」でした。全職員に一斉に研修を行っても、現場に定着しなければ意味がありません。

そこでDX推進窓口のご担当者と協議を重ね、まずはDX推進メンバーの選抜
から始めることにしました。「埼玉県庁をより良くしたい」という意欲を持つ有能な課長やその部下の方々をDX推進リーダーとして任命し、総勢30名を選抜。全体への一斉展開ではなく、変革の担い手を核にした推進体制を構築しました。

選抜メンバーには事前ヒヤリングを実施し、現在抱えている業務内容とそれぞれの課題を丁寧に整理。あわせて、埼玉県庁が進めるデジタライゼーションの現状を踏まえ、AI導入によって県庁が目指すべき指標を提示しました。

目指した指標:「効率化」の先にあるもの

私たちが提示した指標は、単なる業務時間の削減ではありません。

  1. AIで生まれた時間を自己学習に充て、職員一人ひとりの成長を促すこと
  2. さらに余った時間で、県民へのサービス向上を実現すること


AIで生まれた時間を自己学習に充て、職員一人ひとりの成長を促すこと
さらに余った時間で、県民へのサービス向上を実現すること

AIはあくまで手段です。「空いた時間で何をするか」まで設計してはじめて、組織の変革につながると考えています。

なお、埼玉県庁では情報漏洩を防ぐための独自ネットワークシステムを導入されており、AIツールもこの独自環境に適合した外部システムを採用。セキュリティを担保したうえでの活用体制を整えました。

キックオフ:期待と不安の両方から始まる

DX推進チームを集めたキックオフ会議では、「県庁を変えたい」という熱いメッセージをいただく一方で、「業務負荷になるのではないか」というネガティブな声も一部にありました。

こうした不安の声を無視せず、率直に受け止めることが定着の第一歩だと考えています。実際、この後の取り組みでは「現場の声を聴く」ことを一貫して重視しました。

また、AIを活用してDX推進の3か年計画を職員の方々とともに策定し、大野知事にも提出。トップから現場まで一貫した推進の道筋を描きました。

スモールスタート戦略:小さな成功をつくり、横展開する

各部署の業務を細かくヒヤリングし、「どこに最も負荷がかかっているのか」「どこから始めれば他部署にも応用できるか」を検討。小さな成功をつくり、そこから横展開して全体を効率化するという方針を定めました。

象徴的な事例:7日間の手書き作業をAIで変える

ヒヤリングの中で最も象徴的だったのが「四半期動向」の作成業務です。企業へのアンケート調査から市場動向をまとめるこの資料は、なんと7日間かけて手書きで作成されていました。

ここで重要だったのは、いきなりAIに置き換えるのではなく、まず制作者の意向を丁寧にヒヤリングしたことです。その結果、次の条件を守ることを前提にプロンプトを設計しました。

  • 特定企業の動向は記載しない
  • 全体の流れと、その理由付けがわかるコメントのみを抜粋する
  • ポジティブな声もネガティブな声も、両方そのまま掲載する


この条件のもと、職員の方々と試行錯誤を重ねてプロンプトを磨き上げていきました。特筆すべきは、その過程で職員の方から「こうすればもっと効率化できるのではないか」というアイデアやアドバイスが自発的に出てきたことです。外部支援者が答えを与えるのではなく、現場が自ら考える仕組みが生まれた瞬間でした。

この取り組みは埼玉県庁内でも表彰され、現在は他部署への横展開が進んでいると伺っています。

契約終了後にいただいた、うれしい言葉

契約終了後、ご担当者からこんなご連絡をいただきました。

「以前は大手コンサルティング会社に依頼していたが、成果物ありきで融通がきかず、支払った金額に見合う効果が見られなかった。吾郷さんに依頼したことで、実際に思った結果が出て、とてもやりやすかった」

外部人材として現場に寄り添い、伴走してきた者として、これ以上ない言葉でした。

この事例から得た、私たちの方法論

埼玉県庁様でのご支援は、AGO MARKETINGの支援スタイルの礎となりました。

  • スモールスタートで小さな結果を出す
  • 現場の声を聴き、現場主体で進める
  • 自発的に考え、進める文化をつくる


大きな組織を変えるのは、大きな計画ではなく、現場で生まれる小さな成功とそれを育てる文化です。

おわりに:このノウハウを地方創生へ

今後は、埼玉県庁様で培ったこのノウハウを地方の自治体や企業にも展開し、AIの民主化を通じた地方創生の実現を目指してまいります。

自治体のDX推進、生成AI導入にご関心のある方は、ぜひAGO MARKETING株式会社までお気軽にご相談ください。



AGO MARKETING株式会社|Art × Science で、組織の変革を現場から。

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Mybestpro Members

吾郷潤
専門家

吾郷潤(AI活用コンサルタント)

AGO MARKETING株式会社

サントリー、ユニリーバ、ディズニー、NECで20年以上培ったマーケ・データ分析・生成AIの知見を、中小企業向けに最適化。攻めと守りを両輪で回し、年間数千万円規模のインパクトを創出します。

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