“意志”なきプロジェクトは、どこかで止まる。

成果主義や個の尊重が進む一方で、「自己責任」という言葉が、社員を追い詰め、助けを求めることすら難しくしている現場を、私は何度も目にしてきました。
自律と孤立は、似て非なるもの。
いま求められるのは、“共感”に基づいた支援型リーダーシップです。
マインドフルネス伝道師のガネーシャ尾上です。
今回は、「自己責任」という言葉の使われ方に潜む落とし穴についてお届けします。
「自己責任」の誤解
本来、自己責任とは「自分で選ぶ自由」とセットで語られるべき概念です。
自ら決断し、行動に責任を持つことは、健全な自立を育てる上で欠かせません。
しかし現実には、この言葉が「すべて自分のせい」と思い込ませ、自己批判や孤立感を助長してしまう場面も多くあります。
「スタートラインは人それぞれ」という視点
家庭環境、教育機会、経済的な背景──
人は誰しも違うスタート地点から走り出します。
それを無視して「結果だけで評価」「失敗は自己責任」としてしまうのは、とても乱暴なこと。
背景を見ずに自己責任を押しつければ、人は声を上げることを恐れ、やがて沈黙していきます。
「自己責任の呪い」が生む3つの影響
1. 過剰な自己批判
失敗をすべて「自分のせい」と捉え、自己肯定感が低下。
挑戦する勇気も削がれます。
2. 孤立感の増大
「助けを求めてはいけない」という思い込みが、人を孤独に追い込みます。
3. 精神的な負担
慢性的なストレスや不安が続けば、心の健康を脅かす結果に。
“共感と支援”がリーダーの鍵
共感する力を育てる
「なぜ今、苦しいのか?」という問いを、本人も周囲も持つことが大切です。
NVC(共感的コミュニケーション)の視点から、感情の奥にある“ニーズ”を見つけていくことが、支援の第一歩になります。
頼れるネットワークを持つ
「困ったときは助けていい」――そう実感できる環境づくりが、離脱や燃え尽きを防ぎます。
専門家に相談する
プレッシャーの根が深い場合、プロのサポートを受けることも大切です。
共感的に聴いてくれる存在がいるだけで、人は安心して前に進めます。
「頑張ること」と「ひとりで抱え込むこと」は違う
「頑張ること」と「ひとりで抱え込むこと」は違います。
リーダーもメンバーも、お互いの背景に耳を傾け、支え合う関係性の中でこそ、チームは本当の力を発揮できます。
もしあなたが今、「誰にも頼れない」と感じているなら――
それは“あなたのせい”ではありません。
そして、そこから抜け出す方法は、きっとあります。



