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増子博昭

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増子博昭(ますこひろあき) / 不動産コンサルタント

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コラム

事故物件の定義とは。取扱と告知義務について。

2019年11月3日 公開 / 2019年11月4日更新

テーマ:不動産

コラムカテゴリ:住宅・建物

こんにちは。増子です。



「事故物件」という言葉ですが、以前はそれほど一般的では無かったのですが、最近は、すっかり定着しました。

不動産を買ったり借りたりするときに気になるのが「事故物件」の存在。

売る方や貸す方にとっても、慎重な扱いが求められます。

こういった事故情報は買い手や借り手を遠ざけてしまいますが、説明を怠れば買主と仲介した不動産会社に法的責任が発生します。

今回はそんな「事故物件」の定義について説明していきます。

事故物件の定義とは。


「事故物件」に該当してしまう不動産とは、どういった「事件」が起きてしまったものを指すのでしょうか。

殺人事件や何かしらの事故(火災や中毒など)による死亡、自殺が起きてしまった不動産は間違いなく事故物件です。

これらに関してはわかりやすいですが、最近では孤独死も事故物件として扱われるようになってきました。

孤独死の場合は病死のため、他殺や自殺・事故死と同様に事故物件扱いしてしまうはいかがなものかと思いますが、その場所で亡くなったという意味では同じ扱いにはなってしまいます。

また、孤独死の場合はどこまでその事実が近隣に周知されているか、どのような印象を近隣に持たれているかにもよって、深刻度は変わってきます。

孤独死した後すぐ発見された場合と、死後、しばらく経ってから発見され、警察が介入した様な場合とでは、買主や借主が受ける印象も異なってくるからです。

告知の線引きに規定無し。


事故物件の取り扱いに悩む最大の理由は、「事故物件は何年経過するまで告知しなければならない」という規定が無い事です。

どこまで説明するかは、事故の内容や経過した年数にもよって異なってきます。

売買取引においては、事故情報はほぼ買主に告知されます。

事故情報を知っていれば、その事故が例え数十年前であってもほぼ告知されます。

取引の中で物件情報確認書(告知書)というものを売主から買主に提出します。

その中には事件・事故・火災について知っているか知らないかを告知する欄があります。

事故情報について知っているけど伝えなかった場合は、告知義務違反になるため売主に損害賠償請求を行うことができます。

良心的な不動産会社であれば、売主に必ず告知を行うよう求めるはずです。

賃貸取引においても売買取引と同様に告知義務はあります。

賃貸取引の告知義務に関しては裁判での判例がいくつかあるので、その判例がひとつの参考になっています。

例えば、「自殺した部屋への最初の入居者には告知義務があるが、その次の入居者には特段の事情が無い限り告知する義務が無い」という判例があります。

また、「自殺から2年程度経過すると瑕疵とは判断されず告知義務を負わない」という判例もあります。

「事故物件は誰かが入居したら告知義務は必要ない」とか「告知義務は概ね2年まで」といった情報がインターネット上や雑誌等でよく見られますが、その判断の元になっているのが、この判例だと思われます。

しかし、告知義務を逃れるために短期で知り合いや不動参加者の社員を事故物件に入居させたり、事故内容が自殺では無く凄惨な殺人事件だった場合は、上記の判例が必ずしも適用されるとは限りません。

大家さんのように不動産に関わる方にとっては、明確なガイドラインを作って欲しいというのが本音でしょうが、実際はケースごとにいろんな状況を見ながら司法が判断している状況です。

過去の判例は一例であって、それを元に明確な線引きをすることはできないのです。

まとめ。


いかがでしたでしょうか。

「事故物件」の扱いは、売買に関しては瑕疵担保責任に心理的瑕疵も含まれるため、ほぼ告知されるようになっています。

しかし、賃貸物件に関しては事故があった物件でもその内容や経過年数によって、大家さんに責任が発生しないと判断されれば、告知されないこともあります。

ほとんどの方がそうでしょうが、事故物件は絶対借りたくないという方は、その条件を不動産会社に必ず伝えるようにしましょう。

不動産会社は玉石混淆である事を意識し、信頼できる不動産会社を選ぶことも必要です。

誠実に仕事している会社であれば、その年限が過ぎている場合でも、事故の事実を知っていれば教えてくれるはずです。

最後にはなりますが、部屋で事故が起きてしまった場合、大家さんも被害者であるという事を忘れないでいただきたいです。

大家さんにとっては大事な財産であり収入源でもあるため、このような状況で空室が続く事に本当に心を痛めています。

最近は事故情報を扱うサイトもありますが、それを面白おかしい話にするのではなく、また、必ずしも正しい事故情報とは限らないため、節度を持って情報と接するようにして下さい。

この記事を書いたプロ

増子博昭

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