義援金に関する税務あれこれ
【事例】
株式会社Aは、創立以来、監査役の任にあった者が亡くなったことに伴い、外部からB氏を招請し、非常勤の監査役に就任させることになりました。
B氏に対する監査役の報酬については、B氏の意向もあって、月額給与及び賞与の支給に代えて、監査並びに取締役会及び株主総会等への出席のために出勤した日数に応じ、1日当たりの日当を5万円として計算し、1か月分をまとめて翌月20日に支給することとしました。
ところが、B監査役の出勤の日数が毎月異なるため、各月の報酬の支払額は一定ではなく、多い月で20万円を超える場合もあれば全く支払額がない月もあります。
このようなB氏への監査役の報酬を損金算入することはできるでしょうか。
【回答】
非常勤役員に対し、出勤に要する運賃、宿泊料等の支出に充てるものとして支給される日当等で、その出勤のために直接必要であると認められる部分については、給与課税されませんが、この「出勤のために直接必要であると認められる部分」を超える金額については、役員給与として取り扱われます。
そして、法人税法上、損金の額に算入できる役員給与は、〔1〕定期同額給与(毎月同額)、〔2〕事前確定届出給与(事前に確定額を届出)又は〔3〕利益連動給与(利益連動)のいずれかに該当するものに限られており、非常勤役員に対する給与についても例外的規定等はありませんから、お尋ねのケースのように非常勤監査役に対する日当(実費弁償的に支払われる旅費等を除きます。)も、これらの役員給与のいずれかに該当しない限り、損金の額に算入することはできないことになります。
そこで、定期同額給与への該当性についてみると、この点については、平成27年4月27日付の裁決において、類似の案件について定期同額給与には該当しない(日当が同額でも毎月同額とはみなせない、あくまで、毎月の実績で判断する)との判断がなされています。
したがいまして、非常勤役員に対する日当で、各月の支給額が異なるものについて、定期同額給与に該当するとされることは想定し難いものと思われます。
また、B監査役に対する給与は、出勤した日数分に応じた日当の額に基づいて算定されるというものであり、「所定の時期に確定額を支給する旨の定め」に基づいて支給される給与に該当しませんから、事前確定届出給与にも該当しないものと考えられます。
以上のとおり、お尋ねのB氏に対する給与は、定期同額給与及び事前確定届出給与のいずれにも該当しませんし、もとより利益連動給与にも該当しませんから、損金の額に算入されないものと考えられます。
ちなみに、B監査役に対する日当相当額を損金算入するためには、事業年度中の日当支払総額をあらかじめ見積もった上で、これを定額の月額給与に均して定期同額給与として支給する方法、あるいは、あらかじめ期首の取締役会等で「所定の時期に確定額を支給する旨の定め」を決議した上で、事業年度中の日当相当額を事前確定届出給与として一括支給する方法等をご検討いただくべきところと考えられます。