コラム
自動車の売買契約書と印紙税の関係
2017年3月14日 公開 / 2020年4月29日更新
年末調整・事業をするにあたっても、生活においても、自動車は不可欠なものです。自動車の売買契約は、ほとんどの方が経験したことがあるのではないでしょうか。
自動車の売買契約は高額になることも多く、「これは印紙はいくら貼ればよいのだろう」と疑問に思う方も多いかもしれません。今回は、そのような疑問にお答えします。
印紙税は、印紙税法上において、その課税対象が定められています。その中の「課税物件表」の課税物件欄に掲げる文書(課税文書)に対して印紙税を課する旨規定しておりますので、「課税物件表」に掲げられている文書のいずれにも該当しない文書には、印紙税が課されないことになります。
それでは、個別に検討していきましょう。
「課税物件表」第1号の1においては、「不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書」が、同号の2においては、「地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書」が、それぞれ、課税文書として掲げられておりますが、本件契約書は、自動車という動産を売買(譲渡)の目的物とする文書であることから、第1号の1文書及び第1号の2文書のいずれにも該当しないと解されます。
印紙税法施行令26条1号においては、「課税物件表」第7号の課税物件である「継続的取引の基本となる契約書」の一類型として、「売買に関する2以上の取引を継続して行うために作成される契約書」が掲げられておりますが、本件契約書では、特定された自動車1台が目的物とされており、本件契約書は、上記にいう「2以上の取引を継続して行うために作成される契約書」に当たらないと解されるため、第7号文書に該当しないと考えられます。
「課税物件表」第15号においては、「債権譲渡又は債務の引受に関する契約書」が掲げられておりますが、本件契約書は、自動車を売買(譲渡)の目的物とするものであって、債権譲渡に当たらないため、第15号文書に該当しないと解されます。
以上のとおり、本件契約書は、課税物件表に掲げられている、売買(譲渡)に関する課税文書のいずれにも該当しないため、印紙税の課税対象にならない不課税文書と考えられます。つまり、自動車の売買契約書については、印紙を貼付する必要はありません。
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