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内山瑛

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内山瑛(うちやまあきら) / 公認会計士

内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所

コラム

製品の修理依頼のキャンセルと印紙税の還付

2016年7月10日 公開 / 2020年4月29日更新

テーマ:税金

コラムカテゴリ:ビジネス

 事業活動をするうえで、印紙税も、不動産業などを除き、ひとつひとつは少額ながらも、ちりも積もればなんとやらで、コストも馬鹿になりません。今回はそのなかでも、契約をキャンセルした場合に、印紙税が還付されるか、という論点について、答えようと思います。

【質問】
A会社は、B会社から、C製品の修理依頼を受け、それを承る旨記載した請書(本件請書)に所定の印紙を貼付して、B会社に交付しておりました。
 今般、B会社の都合により、上記の修理依頼がキャンセルとなり(本件キャンセル)、B会社から、本件請書の返却を受けました。
 この場合、先に貼付し、納付した印紙税(本件印紙税)の還付を受けることができるか、お尋ねします。

【回答】
印紙税は、特定の契約や権利等それ自体を課税対象とするものではなく、これらの事項を証明する目的で作成された文書を課税対象とするものであり(文書課税)、印紙税の納税義務は、「課税文書の作成の時」に成立、確定し、課税文書の作成者は、当該課税文書の作成の時までに、当該課税文書に貼り付ける方法により、印紙税を納付しなければならないと規定されていることから、印紙税の納税義務の有無及びその範囲(印紙税の額)は、当該文書の作成時の事実関係に基づいて判断されるものであり、その後の事実関係の変動がその判断に影響を及ぼすことにはならないと考えられます。
 そして、上記にいう「作成の時」については、本件請書のように、「相手方に交付する目的で作成される課税文書」にあっては、「当該交付の時」と解されておりますので、上記1に照らし、本件請書の交付時に成立、確定した印紙税の納税義務が本件キャンセルという事実によって消滅することにはならないため、本件印紙税は過誤納金に当たらず、その還付を求めることはできないと考えられます。

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