免疫介在性壊死性筋症(ミオパチー)が漢方で軽快 (2)
聞き慣れない言葉だと思いますが、東洋医学で弁証論治(べんしょうろんち)という言葉があります。
西洋医学と東洋医学では、以下のように治療に至るまでの過程が違います。
西洋医学
検査その他→病名診断→治療方法の決定→治療
東洋医学
四診→弁証(体全体のバランスの把握)→治療法の決定→治療(漢方薬の決定)
東洋医学独特の、お体全体のバランスの把握から治療法の決定までのことを弁証論治というのです。
よく、このような感じで質問をお受けします。「○○病に良い漢方薬は何ですか?」と。西洋医学では病名診断ができれば、自動的に治療法が決定でき、適切なお薬も処方できますが、漢方薬は症状や体質がわからなければ具体的な適合する漢方薬は決定できません。例えば、不妊症の相談なのに、食欲があるかとか、頭が痛いことがあるか、などを質問させていただくことがありますが、これらは病名診断をまず第一に考える西洋医学では全く不要な情報ですが、お体全体のバランスの把握のために必要なことであって、とても大切な情報なのです。
お体のバランスがどうなっているのかは、お体が熱い状態か、冷えた状態なのか、エネルギーが充足しているか不足しているか、潤いが満たされているか、お体が乾燥ぎみなのかなど、お体全体のおおまかな状況の把握に始まり、血液が汚れて流れが悪い、気の流れが悪い、五臓のうちのどの臓が弱いかなど、さまざまな把握をしたのちに治療法が決定されます。西洋医学で同じ病名が付いている方でも、お体が熱い状態の方であればほてりを冷ますように働く漢方薬が適合しますし、冷えた状態なのであれば暖める漢方薬が適合します。
東洋医学では、最初から、個人個人の体質はひとりひとり違い、体質には個性があると考えて、治療法もそれに従ってひとりひとり変わるのだという考えが基本にあります。川口漢方薬局では、相談においでになった患者さんから「私の弁証論治をしてください。」といわれるような時代が来れば良いなと思っています。
現在の漢方薬の使われ方はどうでしょうか?風邪を引くと葛根湯、生理不順に当帰芍薬散など、病名が決まると体質や症状に関係なく一律に同じ漢方薬が処方されすぎていませんか?こんな処方のされ方なら、効果も出ない場合も多いし、場合によっては返って調子が悪くなる場合もあると思います。