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栗原憲二プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

「在宅医療における“会話”とは何か」 ― 相互の語り合いとしてのコミュニケーション ― ― 在宅医療アラカルト⑦ ―

栗原憲二

栗原憲二

テーマ:在宅医療、薬剤師、配薬

富士市・富士宮市で在宅医療に携わっている薬剤師の栗原憲二です。

前回は「観察力」について整理しました。

今回は、その次の段階として、

「会話」

について考えてみたいと思います。

在宅医療において、会話は単なる情報伝達ではありません。
 それは、相互の物語が交わる場です。






会話は「相互の語り合い」である


会話とは、一方向の説明ではありません。

・伝える
・聞く
・引き出す

これらが組み合わさることで成立します。

つまり、会話とは「語り」と「語り」の出会いです。

そして在宅医療では、この構造を意識することが重要になります。



会話の4つのパターン


現場での会話は、大きく4つの組み合わせに分けることができます。




こちらが語りたいことがあるが、相手にはない

・服薬説明
・注意事項の伝達

→→情報提供が中心となる場面




こちらにも相手にも語りたいことがある

・相談
・症状の変化

→→最も情報量が多い場面




こちらは聞きたい、相手は語りたい

・生活の把握
・問題点の抽出

→→ここでは質問力が重要になります




双方とも語ることがない

・処方変更なし
・忙しい状況

→→最も難しい場面



この4つのどの状況にあるのかを、

瞬時に見極める力が重要です。



「語らせる技術」としての質問


特に③の場面では、相手に語ってもらうための技術が求められます。

そのために重要なのが、

・開いた質問
・閉じた質問

の使い分けです。

さらに重要なのは、

ある程度の「推定」を持って質問することです。

例えば、

「何か困っていることはありますか?」ではなく、

「最近、お薬の飲み忘れは増えていませんか?」

といった形です。

このように、仮説を持って問いかけることで、会話は深まるのです。



「変わりありませんか?」の限界


実際の現場では、「お変わりありませんか?」という問いに対して、ほとんどの患者様が、

「変わりありません」

と答えます。

これは、相手に負担をかけたくないという心理が働いているためと考えられます。

そのため、

・「最近」
・「ここ1週間で」

といったように、

質問を具体化することが重要になります。



会話は「気づき」を生み出す


会話の中で興味深いのは、患者様自身が話しているうちに、

・忘れていたことを思い出す
・問題に気づく

という現象です。

つまり、会話そのものが思考を活性化させるのです。

これは単なる情報交換ではなく、

認知を促すプロセスとも言えます。



「話したい」だけの会話もある


一方で、特に何かを伝えたいわけではなく、

・誰かと話したい
・話を聞いてほしい

という場面もあります。

これは医療的には無関係に見えるかもしれませんが、

関係性を支える重要な要素です。

こうした時間があるからこそ、本当に必要なときに、相談が生まれます。



会話は高度な知的活動である


ここまで見てきたように、会話とは単純なものではありません。

・状況の把握
・関係性の理解
・言葉の選択
・タイミング

これらを同時に行う、非常に高度な知的活動です。



まとめ


在宅医療における会話とは何か。

それは、

相互の語りが交わり、新たな意味が生まれる場です。

・どの状況かを見極める
・適切な質問をする
・相手の語りを引き出す

この積み重ねが、

医療の質を大きく左右します。

そしてその根底には、

人と向き合う姿勢があります。





What Is “Conversation” in Home Medical Care? ― Dialogue as Shared Narratives ― ― Home Care À La Carte ⑦ ―

I am Kenji Kurihara, a pharmacist in home care.

Conversation is not just communication—it is shared storytelling.



[[Table of Contents]]



Four Conversation Patterns

1.Provider speaks
2.Both speak
3.Patient speaks
4.Neither speaks

Recognizing the situation is critical.



Questioning Skills


Hypothesis-driven questions improve responses.



Limits of Generic Questions


Specific questions yield better insights.



Conversation Activates Thinking


Talking helps patients recall and reflect.



Listening as Value


Sometimes, people just want to be heard.



Conclusion


Conversation creates meaning through interaction.

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栗原憲二
専門家

栗原憲二(薬剤師)

ふじやま薬局

店舗は整形外科並びに内科、透析医院の処方の授受を受けているため、普段から幅広いお薬を取り扱っています。在宅では、個人宅並びに施設担当。富士・富士宮地区を幅広く車で訪問させていただいております。

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