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「在宅医療における“時間”の使い方」 ― 限られた訪問時間で何を見るか ― ― 在宅医療アラカルト⑤ ―

栗原憲二

栗原憲二

テーマ:在宅医療、薬剤師、配薬

富士市・富士宮市で在宅医療に携わっている薬剤師の栗原憲二です。

在宅医療において、「時間」は極めて重要な資源です。
 しかし、その時間は常に計画通りに進むとは限りません。

むしろ現場では、

予定は崩れるものとして組み立てる必要がある

と感じています。

本稿では、「時間」という視点から、在宅医療の実際を整理してみたいと思います。






時間は「固定されたもの」ではない


在宅医療では、

・訪問スケジュール
・配薬計画
・処方対応

を日々組み立てていきます。

しかし実際には、

・臨時処方
・急な体調変化
・医師からの指示変更

によって、

予定は頻繁に変更されるのが現実です。

特に臨時処方の対応は、優先度が高く、既存のスケジュールを大きく動かす要因となります。



優先順位の本質は「患者の必要」


では、何を基準に優先順位を決めるべきでしょうか?
 答えは明確です。

患者様の必要に応じることです。

・症状の変化
・服薬の緊急性
・生活への影響

これらを総合的に判断します。

ただし、もう一つ重要な要素があります。

それが、

患者様の生活習慣です。

中には、

・時間に非常に厳密な生活
・特定の時間でしか対応できない

といった方もおられます。
 こうした特徴を早期に把握することが、スムーズな在宅医療の鍵となります。



「余裕」を設計するという考え方


在宅医療では、時間と同様に重要なのが「余裕」です。
 特に配薬においては、

数日分の余裕を持たせることが基本となります。

目安としては、

・約5日程度の余裕

を持たせておくことが望ましいと感じています。

そのために、

・処方医へ疑義照会し日数を調整する
・早めの配薬計画を立てる

といった工夫を行います。



災害時を見据えた在宅医療


この「余裕」は、単なる効率の問題ではありません。
 災害時への備えという意味を持ちます。

地震などの災害が発生した場合、

・物流が止まる
・訪問が困難になる

といった状況が想定されます。

その際に、お薬を切らさないことは極めて重要です。

在宅医療は、「日常」だけでなく「非常時」も見据えて設計されるべきものです。



時間を使って「関係性」をつくる


一方で、時間は効率だけで測れるものではありません。

訪問の中で、

・世間話をする
・雑談を交わす

こうした時間は一見すると非効率に見えるかもしれません。

しかし、この時間こそが信頼関係を生むのです。

信頼が生まれることで、

・相談がしやすくなる
・本音が引き出される

ようになります。



薬剤師に寄せられる相談の意味


実際の現場では、医師ではなく薬剤師に相談が寄せられることもあります。
 これは一見すると珍しいことのように思われるかもしれません。

しかし、

薬が体に入ってからの専門は薬剤師である

という視点から考えると、自然な流れとも言えます。

こうした相談を受けられる関係性は、時間をかけて築かれるものです。



薬剤師は「観察と対話の専門職」である


薬剤師は日々、多くの患者様と接しています。

・1日40名以上の対応
・年齢も背景も異なる患者様

その中で、

・言葉
・表情
・動き
・反応

といった多くの情報を受け取っています。

薬剤師は無意識のうちに高度な観察を行っているのです。

そしてそれは、他の職種では中々得難い経験でもあります。



自分の専門性を自覚することの重要性


こうした能力は、しばしば見過ごされがちです。
 しかし、自分自身がその力を自覚することが重要です。

・なぜ違和感に気づけたのか
・なぜ変化を察知できたのか

これを言語化することで、専門性はさらに磨かれていきます。



まとめ


在宅医療における「時間」とは何か。

それは、単なるスケジュールではなく、医療を成立させるための設計要素です。

・変化に対応する柔軟性
・余裕を持たせる計画
・関係性を築く時間
・観察と対話の積み重ね

これらが組み合わさることで、在宅医療は初めて機能します。

時間は限られています。だからこそ、

何に時間を使うのか

という問いが、在宅医療の質を決めているのだと感じています。





■English Translation(タグ保持)

Time Management in Home Medical Care

― What Should We Focus on in Limited Visits ―
― Home Care À La Carte ⑤ ―

I am Kenji Kurihara, a pharmacist engaged in home medical care.

Schedules in home care rarely go as planned.



[[Table of Contents]]



Time Is Dynamic


Unexpected prescriptions and changes are common.

Flexibility is essential.



Priority = Patient Needs


Patient lifestyle matters.



Designing Margin


Maintain buffer medication (about 5 days).



Disaster Preparedness


Avoid medication interruption.



Time Builds Relationships


Small talk builds trust.



Pharmacist Consultations


Patients often consult pharmacists directly.



Observation Skills


Pharmacists are skilled observers and communicators.



Conclusion


Time is a design element of care.

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栗原憲二
専門家

栗原憲二(薬剤師)

ふじやま薬局

店舗は整形外科並びに内科、透析医院の処方の授受を受けているため、普段から幅広いお薬を取り扱っています。在宅では、個人宅並びに施設担当。富士・富士宮地区を幅広く車で訪問させていただいております。

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