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栗原憲二プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

「AI時代における在宅医療のゆくえ」 ― 在宅医療アラカルト④ ―

栗原憲二

栗原憲二

テーマ:生活、健康

富士市・富士宮市で在宅医療に携わっている薬剤師の栗原憲二です。

ここまでのシリーズでは、

・第1回:在宅医療は関係性である
・第2回:薬との付き合い方
・第3回:見えないリスク

について整理してきました。

そして今回は、

「AI時代において、在宅医療はどこへ向かうのか」

というテーマについて考えてみたいと思います。






AIは何を変えるのか


近年、医療の現場でもAIの活用が進んでいます。

・薬歴の整理
・相互作用チェック
・服薬スケジュールの最適化
・訪問ルートの効率化

これらはすでに現場レベルで実用化されつつあります。

AIの本質は、

大量の情報を統合し、一定の精度で判断を補助することにあります。

在宅医療のように情報が分散しやすい領域では、この特性は非常に大きな意味を持ちます。



在宅医療とAIの親和性


在宅医療では、

・患者ごとの生活背景
・服薬履歴
・経過の変化
・多職種からの情報

といった、複雑で断片的な情報を扱います。

このような環境では、

AIによる情報の統合と補助が、医療の質を底上げする可能性があります。



AI活用の鍵は「個別性」にある


ここで、実際の活用において重要になる視点があります。

それは、

AIは「個別の患者単位」で活用する方が効果的であるということです。

具体的には、

・患者ごとにAIの質問スレッドを分ける
・一人の患者について継続的に情報を蓄積する

といった方法です。

例えば、

・chatGPT
・Gemini

といったLLM(大規模言語モデル)を用いて、

患者ごとに独立した思考の履歴を持たせることができます。



経時的管理と共時的管理の統合


この個別スレッドの活用により、非常に大きな利点が生まれます。

それが、経時的管理と共時的管理の統合です。

・経時的管理:過去から現在までの変化を追う
・共時的管理:現在の状態を多面的に把握する

従来はこれらを別々に管理する必要がありましたが、AIを活用することで、両者を同時に扱うことが可能になります。

例えば、

・過去の服薬変更履歴
・現在の症状
・生活環境の変化

これらを一つの文脈として捉えることができるのです。



クラウド時代の記憶という強み


近年のLLMは、クラウド上で情報を保持する仕組みを持っています。

これにより、

・過去のやり取りの蓄積
・文脈の継続
・思考の一貫性

が担保されます。

人間の記憶の限界を補完する存在として、
AIは非常に有用です。

特に在宅医療のように、

・長期的な関わり
・細かな変化の積み重ね

が重要な領域では、

記憶を持つAIの価値は極めて高いと言えます。



AIが得意なこと/人が担うべきこと


ただし、AIがすべてを担うわけではありません。

AIが得意なのは、

・情報の整理
・パターンの抽出
・過去との比較

です。

一方で、人間が担うべきなのは、

・意味の解釈
・価値観の理解
・関係性の構築

です。

AIは「情報をつなぐ」、人は「意味を与える」存在です。



DXとAIの融合がもたらす未来


現場ではすでに、

・写真記録
・リアルタイム共有
・モバイル入力

といったDXが進んでいます。

これにAIが加わることで、

・情報の整理
・判断の補助
・リスクの予測

がさらに高度化していきます。

DXとAIの融合により、「考える時間」が確保されるのです。



専門職の役割はどう変わるのか


AIの発展により、専門職の役割は変化します。

「知識を持っていること」だけでは、それが「専門家」であることの揺らぎのない根拠とはなりにくくなっていると言えます。

これから重要になるのは、

情報を統合し、人間にとって意味のある形に再構築する力です。



「正しく畏れる」という姿勢


AIに対しては、

・過信しない
・拒絶しない

というバランスが重要です。

「正しく畏れる」
 この姿勢が、これからの医療には求められていると言えます。



まとめ


AI時代における在宅医療とは何か。

それは、「個別性を保ちながら、情報を統合する医療」です。

・患者ごとにAIを活用する
・時間軸と現在を同時に捉える
・人が最終的な意味を与える

この構造の中で、在宅医療はさらに深化していきます。

そしてその中心にあるのは、人と人との関係性であることに変わりはありません。




The Future of Home Medical Care in the Age of AI ― Home Care À La Carte ④ ―

AI is transforming healthcare.

But its true value lies in personalized use.




Individualized AI Use


AI should be used per patient.

Separate threads allow continuous, personalized analysis.



Integrating Time and Context


AI enables:
•longitudinal tracking
•real-time understanding

Temporal and contextual management become unified.



Cloud Memory Advantage


AI retains past interactions.

It supplements human memory.



Roles of AI and Humans


AI organizes data.
Humans create meaning.



Conclusion


The future lies in personalized, integrated care supported by AI.

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栗原憲二
専門家

栗原憲二(薬剤師)

ふじやま薬局

店舗は整形外科並びに内科、透析医院の処方の授受を受けているため、普段から幅広いお薬を取り扱っています。在宅では、個人宅並びに施設担当。富士・富士宮地区を幅広く車で訪問させていただいております。

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