Mybestpro Members

尾崎友則プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

相続した不動産、すぐ売れるとは限りません|売却前に必要な手続きとは?

尾崎友則

尾崎友則

テーマ:相続不動産

相続した不動産、すぐ売れるとは限りません|売却前に必要な手続きとは?



「相続した実家を売却したいのですが、どのくらいで売れますか?」

こうしたご相談をいただくことがあります。

不動産の売却というと、まず査定をして、価格を決めて、買主を探す。そんな流れをイメージされる方が多いと思います。

ところが、相続した不動産の場合は、その前に確認しておかなければならないことがあります。

それは、

「今、その不動産がどのような状態になっているのか」

ということです。

亡くなった親御様の名義のままなのか。

すでに相続登記が終わっているのか。

遺言書はあるのか。

相続人は何人いるのか。

誰がその不動産を相続するのか、ご家族で話がまとまっているのか。

さらに、建物の登記や土地の境界、家の中に残された荷物など、不動産そのものについて確認しなければならないこともあります。

そのため、

「売ることは決まっているから、すぐに売り出せるだろう」

と思っていても、実際にはそうならないことがあります。

私がこれまでお受けしたご相談の中には、最初にご相談いただいてから実際に売却するまで、約3年かかったケースもありました。

当初は、お父様からお母様へ相続し、その後売却する予定でした。

ところが、手続きを進めている途中でお母様も亡くなられ、二次相続となりました。

そこから改めて相続関係を整理し、そのほかにもいくつか確認や手続きが必要となり、最終的な売却までにはかなりの時間がかかりました。

もちろん、すべての相続不動産にそこまで時間がかかるわけではありません。

相続登記を済ませ、すぐに販売を始められるケースもあります。

ただ、相続はご家族の状況によって手続きが大きく変わります。

だからこそ、相続不動産の売却は、

「いくらで売れるのか」を考える前に、「今、売れる状態になっているのか」を確認する。

私は、まずそこが大切だと考えています。

今回は、相続した不動産を売却する際に、どのような確認や手続きが必要になるのか。

実際の売却現場で感じていることも交えながら、順番にお話ししていきます。


まず確認したいのは、今誰の名義になっているか


まず確認したいのは、今誰の名義になっているか


相続した不動産を売却するとき、最初に確認したいのが登記名義です。

親御様が亡くなられたからといって、不動産の名義が自動的にお子様へ変わるわけではありません。

亡くなられた方の名義のままになっているのであれば、売却に向けて相続登記を進める必要があります。

ここで、

「相続登記なら司法書士にお願いすれば、すぐ終わるのでは?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、相続人がはっきりしていて、必要な書類も揃い、誰が不動産を相続するのか決まっていれば、比較的スムーズに進むこともあります。

一方で、実際のご相談ではそうでないこともあります。

例えば、ご兄弟が3人いて、まだ誰が不動産を相続するのか決めていない。

遺言書があるものの、内容をきちんと確認していない。

相続人の中にすでに亡くなっている方がいる。

何年も前に相続した不動産を、そのままにしている。

こうなると、まず相続関係を確認し、必要に応じて遺産分割について話し合うところから始めなければなりません。

そのため私は、相続不動産の売却相談では、

「相続登記は終わっていますか?」

だけではなく、

「相続人はどなたですか?」

「遺産分割のお話はされていますか?」

「この不動産は今後どうされる予定ですか?」

といったところまで確認するようにしています。

相続登記は、単に不動産の名義を変えれば終わり、というものではありません。

特に売却を予定しているのであれば、今後どうする予定なのかを司法書士にも伝えたうえで、相続登記を進めることが大切だと思います。


相続登記といっても、状況によって進め方が違います


相続登記といっても、状況によって進め方が違います


相続登記には、誰の名義にするのかという大切な問題があります。

遺言書があり、その不動産を相続する人が指定されている場合。

相続人同士で話し合い、遺産分割協議によって誰が相続するのかを決める場合。

法定相続分による共有となる場合。

それぞれ状況が違います。

ここで私が大切だと思っているのは、相続登記だけを切り離して考えないことです。

その不動産を今後も所有するのか。

売却する予定なのか。

ほかの相続財産はどうするのか。

売却した場合、その代金をどのように扱う予定なのか。

こうしたことによっては、司法書士だけでなく税理士などへの確認が必要になる場合もあります。

ですから、最初から売却する予定があるのであれば、司法書士へ相続登記を依頼するときに、

「この不動産は相続後に売却する予定です」

と伝えておくことをおすすめします。

私たち不動産会社も必要に応じて司法書士や税理士などと連携しながら、売却までの流れを確認していきます。

一見すると手間がかかるようですが、最初に方向性を整理しておいた方が、結果的にスムーズに進むことがあります。


相続人の確認だけでも時間がかかることがあります


相続人の確認だけでも時間がかかることがあります


相続登記を進めるためには、誰が相続人になるのかを確認しなければなりません。

ご家族の中では、

「相続人は子ども3人だから分かっています。」

という場合でも、手続き上は戸籍などを集めて正式に確認していく必要があります。

さらに、相続が発生してから長い間そのままになっている不動産では、話が複雑になることがあります。

登記名義が亡くなったお父様ではなく、さらに前の祖父母のままになっている。

相続人の中に、その後亡くなられた方がいる。

相続人が全国各地に住んでいる。

普段ほとんど連絡を取っていない親族がいる。

こうした場合には、現在の相続人が誰なのかを確認するだけでも時間が必要になることがあります。

そして、相続人が増えれば、それぞれの意向を確認する必要も出てきます。

「みんな売却に賛成だと思っていた。」

ところが実際に話をしてみると、

「私は残したい。」

「その価格では売りたくない。」

という意見が出てくることもあります。

だからこそ、

「売ることが決まってから調べればいい」

ではなく、少し早めに相続関係と登記状況だけでも確認しておくことをおすすめします。

時間が経つことで相続関係がさらに複雑になってしまうこともあります。


相続登記が終わっても、すぐ売れるとは限りません


相続登記が終わっても、すぐ売れるとは限りません


相続登記が終われば、ようやく売却に向けて動きやすくなります。

ただ、ここからは不動産そのものの確認が必要になります。

長年ご両親が住んでいた実家などでは、売却することになって初めて分かる問題もあります。

例えば、

建物の一部が未登記になっている。

増築した部分が登記に反映されていない。

土地の境界標が見当たらない。

隣地とのブロック塀がどちらの所有物なのか分からない。

物置や植木などが越境している。

古い抵当権などの登記が残っている。

こうしたことです。

ご家族が住んでいる間は特に問題にならなくても、第三者へ売却するとなれば確認が必要になることがあります。

境界を確定するために測量を行えば、隣接地の所有者との立会いが必要になることもあります。

建物の登記に問題があれば、土地家屋調査士への依頼が必要になる場合もあります。

つまり、

相続の手続きと、不動産を売却するための準備は別のものです。

また、相続した実家には家具や家電、衣類、仏壇などがそのまま残っていることもあります。

「全部片付けてからでないと相談できませんか?」

と聞かれることがありますが、必ずしもそうではありません。

荷物が残っていても査定や現地確認はできます。

むしろ、先にすべて処分してしまう前に一度見せていただいた方が、その後の進め方を考えやすいこともあります。

私は、

「相続登記が終わったら相談してください」

ではなく、相続登記を進めている途中でも、不動産の状態を確認しておくことをおすすめしています。

並行してできることを進めておけば、結果として売却までの時間を短くできる場合があります。


税金の確認は、売却してからでは遅いことがあります


税金の確認は、売却してからでは遅いことがあります


相続した不動産を売却するとき、もう一つ忘れてはいけないのが税金です。

「税金のことは、売れた後に考えればいい。」

そう思われるかもしれません。

しかし、相続不動産の場合は、売却する前に確認しておいた方が良いことがあります。

例えば、一定の要件を満たした相続した空き家を売却した場合に利用できる、いわゆる「相続空き家の3,000万円特別控除」があります。

この制度は、相続した空き家なら誰でも利用できるわけではありません。

建物の築年数や利用状況、売却時期など、さまざまな要件があります。

また、売却の方法によって確認しておかなければならないこともありますので、該当する可能性がある場合は、契約前に確認しておくことが大切です。

そしてもう一つ、意外と重要なのが、亡くなられた方がその不動産を取得したときの資料です。

昔の売買契約書などが残っていれば、売却時の税金を計算するうえで大切な資料になることがあります。

実家を整理していて古い契約書や領収書が出てきても、

「昔のものだからいらないだろう。」

とすぐに処分しないでください。

一度内容を確認しておくことをおすすめします。

また、相続税を納めている場合には、一定の要件を満たせば相続税の一部を取得費に加算できる制度が利用できることもあります。

税金について判断が必要な場合には、税務署や税理士などに確認しながら進めることが大切です。

ポイントは、

「売却してから税金を考える」のではなく、「売却する前に使える制度がないか確認する」こと。

相続不動産では、これも売却前の大切な準備の一つです。


「売る」と決めてからではなく、少し早めにご相談ください


売る」と決めてからではなく、少し早めにご相談ください


相続した不動産について、

「まだ売ると決めたわけではないので、不動産会社に相談するのは早いかな。」

そう思われる方もいらっしゃると思います。

でも、相続不動産については、むしろその段階で一度ご相談いただいた方が良いと私は考えています。

相続登記、遺産分割、建物の登記、境界や測量、残置物、税金。

すべての不動産でこれらの手続きが必要になるわけではありません。

何も問題がなく、比較的スムーズに売却できるケースもあります。

だからこそ、最初に知っておきたいのは、

「自分の場合は、何が必要なのか」

ということです。

例えば、相続登記を司法書士へ依頼している間に、不動産会社が現地を確認し、査定や境界、建物の状態などを調べておくこともできます。

必要であれば測量の準備をしたり、残置物処分の見積もりを取ったりすることもできます。

一つの手続きが終わるまで何もしないのではなく、できることを並行して進めていく。

これだけでも、売却までの時間が変わることがあります。

そして、いろいろ確認した結果、

「今は売らずに残しておこう。」

という結論になっても、それで構わないと思います。

大切なのは、売却を急ぐことではありません。

現在の状況を把握したうえで、ご家族にとって一番良い方法を考えることです。


まとめ|相続不動産は「売る前の準備」が大切です



まとめ|相続不動産は「売る前の準備」が大切です


相続した不動産は、「売ろう」と思ったらすぐに売却できるとは限りません。

相続登記はもちろん、相続人同士の話し合い、建物や境界の確認、測量、残置物、税金など、その不動産の状況によって必要になることはさまざまです。

そして実際には、買主を探す期間よりも、こうした売却前の準備に時間がかかることもあります。

今回ご紹介したように、私が実際にご相談を受けた中には、最初のご相談から売却まで約3年かかったケースもありました。

もちろんこれは一例ですが、相続は時間が経つことで状況が変わることがあります。

だからといって、相続したらすぐに売却を決める必要はありません。

まず確認していただきたいのは、

「今、この不動産はどのような状態なのか」

ということです。

何が済んでいて、何がまだ済んでいないのか。

売却するとしたら、どんな手続きが必要なのか。

どのくらいの時間を見ておいた方がいいのか。

ここまで分かっていれば、いざ売却することになったときにも慌てずに済みます。

私自身、相続不動産のご相談では、査定価格をお伝えするだけではなく、現在の登記や不動産の状態を確認し、必要に応じて司法書士、土地家屋調査士、税理士などの専門家と連携しながら進めています。

「まだ何も手をつけていない。」

「何から始めればいいのか分からない。」

その段階でも大丈夫です。

早めに動くというのは、早く売るということではありません。

いざというときに困らないよう、今できることを整理しておく。

相続した不動産については、それくらい早い段階から考えておくことが大切だと思います。
相続登記が終わっても、すぐ売れるとは限りません

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

尾崎友則
専門家

尾崎友則(宅地建物取引士)

不動産買取売却センター静岡(株式会社エステージ)

不動産売却の仲介買取、相続不動産の活用、空き家管理、古家再生など、お客様一人一人の状況や要望を考慮し全力でサポート。あらゆるニーズに合わせた最適な解決策を、スピーディーかつ丁寧にご提案します。

尾崎友則プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

静岡の地の利を活かした不動産買取・売却のプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ静岡
  3. 静岡の住宅・建物
  4. 静岡の不動産物件・売買
  5. 尾崎友則
  6. コラム一覧
  7. 相続した不動産、すぐ売れるとは限りません|売却前に必要な手続きとは?

尾崎友則プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼