犬のマーキングは本当にダメなことなんでしょうか
【狂犬病は過去の病気か】
先月、ウクライナからの避難民が連れてきた犬の検疫で、本来は180日間検疫所で経過観察が必要なんですが、特例措置として飼い主の元で180日間観察することになったという話。
これに関してはネットで賛否両論飛び交っていましたが、残念ながら一般の飼い主さんの反応は割に薄く、マスコミでもほとんど取り上げられていなかったようですね。
獣医大学の教授が
「今回の特例措置で国内に狂犬病が蔓延する危険性はない」
と言い切ってますから、誰も異議を申し立てないのかもしれません。
狂犬病は、発症するまでは感染しているかどうかがわからない病気です。
ウイルスは発症した動物の唾液中に出てきますので、その動物に噛まれることで感染します。
このとき、噛まれた側は狂犬病ウイルスに感染したかどうかは血液検査等ではわかりませんので、神田動物が狂犬病ウイルスを持っているかどうかを検査する必要があります。
狂犬病上座位置では、こういう場合噛んだ動物をただちに殺処分して脳を取り出し、ウイルスの有無を確認するケースが多いのですが、飼い犬などで殺処分しない場合は10日〜2週間ほど経過観察し、狂犬病特有の症状が出るかどうかを見ます。
犬の場合、他の哺乳類と比べても狂犬病は進行が早いので、発症したら数日のうちに死亡します。
犬が死亡したら脳を取り出し、狂犬病ウイルスの有無を検査します。
唾液中にウイルスが出てくるのは症状が出る10日〜2週間前と言われていますので、2週間経過観察して症状が出なければ唾液中にウイルスは出ていなかったと考えます。
(狂犬病予防ワクチンを接種している犬は観察期間はもう少し短く、一週間ぐらいのところが多いようです)
【日本ではほぼ誰も見たことがない狂犬病】
狂犬病常在地では、狂犬病に感染した恐れのある動物に噛まれるという事故は頻繁に起きています。
その動物は、犬が一番多いのですが、国によってはアライグマやキツネ、猫やコウモリのこともあります。
したがって、人が動物に噛まれたらまず狂犬病を疑って措置がされるのですが、日本では誰も狂犬病を疑いません。
フィリピンで犬に噛まれ、帰国してから狂犬病を発症したという事例が2006年以降3例確認されています。
一番最近の事例は2020年に起きました。
日本では動物に噛まれても狂犬病に感染するという認識がないため、海外で犬などに噛まれてもきちんとした処置をしないため、数ヶ月の潜伏期間の後、帰国してから発症するということが起きるのです。
私が一番恐れるのは、
「誰も見たことがない病気なので、もし発症したときに適切な対応ができないのではないだろうか」
ということです。
狂犬病は決して過去の病気ではなく、日本にもいつ入ってきてもおかしくないということは国や獣医師だけでなく一般の犬の飼い主も認識しておく必要があると思います。
狂犬病に関する厚生労働省のQ&Aです。
⇒ 狂犬病に関するQ&Aについて
2020年に国内で確認された狂犬病患者に関する国立感染症研究所のキジです。
⇒ 日本国内で2020年に発生した狂犬病患者の報告
今回は珍しく東洋医学の話ではなく感染症のお話をさせていただきました。
必定以上に恐れる必要はないと思いますが、狂犬病はどんな病気かを知り、正しく恐れる必要がありますね。
※ 営業日カレンダーを設置しました
こちらのカレンダーで予約可能な日を見ていただき、LINEまたはメールでご予約していただけます。
⇒ 営業日カレンダー