精神分析は精神科学に基づき心の病を癒し人間の謎を解き明かす第五章-2
第三章 精神世界の構築 『6_本能とは』
本能とは

人間と動物の違いは、世界の認識の仕方が異なることである。動物種固有の認識対策と仕方が限定的に存在しその知覚が特化している特徴がある。これを本能と言っている。
鳥には鳥の、魚には魚の、四つ足動物にはそれ成りの特徴があり、それが他の種とは著しく秀でている為、棲み分けられているのである。本能が種分けし、保存している。
ところが人間・ホモサピエンスという直立猿人は、同一種であるため、棲み分けが出来ない。肌の色の差異では民族と文化の差異を作っただけで、種としては一つであるために、同族間の憎悪が発生し、協調し協力して、共に助け合って生きることが出来ない。猿も何種かに分かれ、各々族を形成し、族間では争わない。それぞれ能力が違うため、それぞれのエリアで生活し、他の領域への侵入はしない。いわゆる縄張りを遵守している。人間よりもよほど人間で道徳的である。
絶滅危惧種

人間は国境という縄を越えて、武力と破壊兵器で、勝手に侵入し、蹂躙する。果ては殺人まで平然とやってのける。動物の世界にホロコーストは無い。愛と平和を実現しているのは動物の世界である。剰え、共存共栄し、公害も自然破壊もせず、自然と共に生きている。だから何万年も何百万年も、何千万年も生き延びているのである。
ところが人類は、この地球に出現して数万年ほどしか経っていない。既に絶滅危惧種に入ってしまった。そう言っているのは私だけだが、中でも男はほぼ絶滅種に限りなく近いところに居る。それはΦ(ファルス)を持っていないからである。男が男としてΦを持っているなら、女は女で有り得るし、子は子で有り得る。男がΦを持つとは、父となる意味である。
Φ(ファルス)の復権:言語を持つ、そして対話する
父が居なければ、家族も存在しない。何故ならそこに母が居ないからである。母が居なければ養育される子も居ない。家族がなければ、社会も無い。社会が無ければ、国家も無い。国家が無ければ、地球上の人類も居無い。そうすれば、生物達の楽園へと、地球は生まれ変わる。
その生き物達の楽園が、人類が消えることで、出現すると想像できる事が、唯一の救いである。もし、Φが復権し、男が男に成り、ファルスを取り戻すなら、自然と生き物、そして人類の三者が共存していける可能性が出てくる。如何にして、それを取り戻すのか。その方法とはいかに。
それは簡単なことである。言葉を持つことである。言語を持ち、言葉を通じて、他者と対話し、コミュニケーション能力を持つことで、人類は生き延びることが出来る。何故なら、対話によって物事を解決し、武力による解決方が必要なくなるからである。
本能の欠落

人はその事を知っている。なのに、それがどうして実行できないのか。それはフロイトのいう、人は自己保存欲動という、個を守ることを優先した「自己愛」を持っているからである。他者の利益や利欲のために自我をすてたり、後回しにすることは、自己犠牲になると考えてしまうからである。
人間の無意識には本能が欠落しているために、共存共栄は書き込まれてないのである。最初に書き込まれた文字は「排除」である。この文字が他者を排斥し、排除し、亡き者にしてしまう。
動物は神が書き込んだ本能によって、共存共栄が本能的に実行されるため、戦争せず、皆が生き延びている。動物にとって地球は平和な楽園であろう。
ところが人類は、そこを戦場にしてしまった。人間には動物の本能に変わる神の声が必要なのである。そこで生まれたのが宗教である。人間に宗教・神が必要なのはこの為である。しかし、その声に耳を傾けなかったり、自分成りに受けとってしまう人間は、愛と平和を本能とし、書き込みに失敗した。
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