【面白い心理学】何もする気になれない、やる気がない-心とエンジンの構造

大澤秀行

大澤秀行

「心に火がつかない」「情熱がない」「燃えない」

「何もする気になれない」「やる気がない」「動けない」

「心に傷がある」「気が抜ける」

心を表すのに、こういう表現をすることがありませんか?

心は、構造にエネルギーがプラスしたものです。この二つの組み合わせによって時間空間の中で運動しているのが人間の心です。

自動車のエンジンの構造こそ人間の構造であり、心の構造です。
だから、「心に火がつかない」とか「心が燃えない」などと表現されるのです。
エンジンの構造を知っているだけで心の構造がわかります。

物理学が好きな方や得意な方、必見です。是非その知を心の理解に活かして下さい!

逆に、物理学が嫌いな方や苦手な方にも読んでいただきたい内容です。

「物理や数学が大嫌いだったけど、『精神の科学』を学んだら、心を理解するのに物理や数学が必須だとわかり、勉強しているうちに好きになった!」という方が実際にいらっしゃいます。


地球温暖化、環境破壊、戦争、新型コロナウイルスの脅威、少子高齢化、ストレス社会、性別の混乱などなど、現代人は様々な問題を抱えています。

これらを真に解決し、希望の持てる未来に変えていくためには、まず「人間とは何か?」という知を人類は学ばなければなりません。

「人間とは何かを知らない今の人類に未来はない!」と言っても過言ではありません。

本記事を通して心理学の面白さが伝わり、人間の心に興味を持って下さる方が増えましたら、こんなに嬉しいことはありません。


【予備知識】エンジンの構造、エンジンがエネルギーを発生させる工程


心の構造を説明する前に、予備知識として、ガソリンエンジンについて簡単に見ておきましょう。

自動車のエンジンは内燃機関の一種で、燃料を燃やすことで熱エネルギーを発生させ、それを運動エネルギーに変換しています。

ピストンとシリンダーで構成されています。


エンジンは以下の4つの工程で運動エネルギーを発生させています。

⑴吸気工程
*混合気(燃料の混ざった空気)が吸い込まれる。

⑵圧縮工程
*圧縮された混合気は圧力が高まって、燃焼しやすい温度に上がる。
*圧縮することでピストンの移動する距離が長くなるので、取り出す運動エネルギーを増やすことができる。

⑶燃焼・膨張行程
*点火プラグで着火され、混合気が燃焼する。燃焼ガスと燃焼に使われなかった空気が膨張し、ピストンを押し下げる(運動エネルギーの発生)。
*点火プラグ…混合気に着火を行う。着火は電気火花で行うが、そのために必要な電力は発電装置から供給される。

⑷排気工程
内部の燃焼ガスが排出される。

では、これらの予備知識をもとに、心を構造+エネルギーの組み合わせで見ていきましょう。

心を燃やすための条件や心の傷などを構造的に説明

エンジンが工程を経て運動エネルギーを発生させるように、エネルギーが発生するには時間が必要です。プロセスを経て初めて一つのエネルギーが発生します。それには色々な条件とプロセスがあります。

人間の心もエンジンだと思えば、爆発するためには、まずは圧縮が必要です。

その前に、心の構造に一つ条件があります。それは、ピストンとシリンダーの構造に漏れがないということです。空気が漏れてしまえば圧縮できないからです。

つまり、心の構造はしっかりと密閉されてなければなりません。穴が空いていては心を燃やすことができません。

精神の科学では、自我構造を下図のように表現する場合があります。これを「底抜けの樽」といいます。

この構造では密閉度がないので、圧縮なんかあり得ません。ということは爆発もありません。燃えることがない、いわゆるパッションに欠けます。燃えない、やる気が出ない、もう生きていてもしょうがない、死んだ方が楽だ、となってしまいます。

この底に相当するものを精神の科学では基本的信頼(basic trust)と言います。





どこかに穴が空いてひび割れていると、そこから空気が漏れます。心に傷があるということは、正に亀裂が入ったシリンダーと同じです。これでは圧縮ができません。圧縮ができないということは、爆発する原因を作れないということを意味します。

プス、プス、これは「やる気が抜ける」というやつです。夢(寝ている時に見る夢)ではパンクの夢で見る方が多いです。パンクで空気が抜けるという、それは密閉度がないことを表します。

空気が抜ける、それに加えてプラグで火がつかない。これでよく電池切れといいます。電池切れ(バッテリー切れ)だとエンジンがかかりません。

やる気がない、動く気がない、何もする気になれない、動けないということは、これらの工程に数々問題が生じているということです。今言った全部の工程をチェックしなければなりません。

やる気を出すには、心を燃やして動けるようにするためには、傷を治すのが第一です。漏れをまず止め、そこにエネルギーというものを今度は作ります。このエネルギーを精神の科学では「エス(欲動)」と言います。


人間の心の理解で大事なのは、常にダイナミックな動きとして心を考えることです。静止しているという概念では心を把えないことです。


関連コラム
⇨ フロイトの「エスが語る」動物と人間の間にあるもの

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大澤秀行
専門家

大澤秀行(精神分析家)

合同会社LAFAERO1(ラファエロワン)

精神分析家として34年の臨床実績があり、現在もメールや電話も合わせると、一日平均10名の精神分析によるセラピーを行っている。

大澤秀行プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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