アクセルとブレーキの踏み間違いはなぜ起きる?心理学的に見る二つのペダル

大澤秀行

大澤秀行

車のペダルにはアクセルとブレーキがあります。多くは右がアクセル、左がブレーキで、この二つのペダルが並んで配置されています。

心理学的な視点でアクセルとブレーキを見ていくと、いくつかの心理学的用語がこの二つのペダルに集約されています。実はこの二つのペダルは心理学の塊みたいなものなのです。

本記事では、最初にアクセルとブレーキを心理学的に見ていき、最終的に「アクセルとブレーキの踏み間違いはなぜ起きるのか?」についてまとめています。


心理学的に見るアクセルとブレーキ

厄介なことに、アクセルは「進め」で、ブレーキは「止まれ」です。更に「右」と「左」がこれに加わります。心理学的な見解でいえば左は「無意識」を表します。一方、右は「意識」を表します。

右のアクセルは心理学的には衝動を表します。なぜなら動きだからです。それも瞬発ですから衝動を表します。衝動で進めということは、欲望の放出になります。実際にスロットルを開けてガソリンを放出するわけですから。ということは、アクセルには「開(開く)」という文字があります。一方、アクセルを離すは「閉(閉じる)」という文字があります。

左のブレーキに心理学的言語が更に絡んできます。ブレーキには止まってしまう完全なストップと、スピードダウンがあります。これに相当する心理学的言語は、ストップが「抑圧」、スピードの低下は「抑制」と言います。

抑制はアクセルにも関わります。アクセルを緩めれば、閉じていけば、スピード抑制になります。ブレーキを踏んでスピード抑制もありますので、抑制は二種類できます。ただし、抑圧はブレーキを踏み続けるしかありません。

アクセルも踏むですが、これは前に行くしかありません。ですから前進性のない人はアクセルを踏めません。トロトロ走ります。アクセルワークでその人の欲望が見えるのです。なぜなら、性格通りに運転するからです。

衝動抑圧の強い人は意味のないブレーキを踏みます。無意味にやたらとブレーキを踏む人は抑圧の塊です。

赤信号になってもアクセルを離さないで踏み続ける人は、「前に行きたいんだな」と判ります。日頃抑圧している人は赤でもアクセルを離しません。

そのように抑制、抑圧、そして放出、開放、衝動、意欲、これら全部の心理学的言語がこの二つのペダルに集約されているのです。

人間の中で心理学が最もテーマにするのは、欲望と抑圧です。これこそ正に心理学であり、精神の科学が対象とする心理学的言語です。それが足元にあるのです。

なぜアクセルとブレーキを踏み間違えてしまうのか?

ブレーキの役割は抑圧と抑制です。この抑制と抑圧を心理学的言語でいうと、超自我と言います。超自我の機能がペダルにあるということです。超自我の機能が低下している限りにおいて、止まることができないから、追突や前にぶつかる事故を起こします。判断ミスをします。

抑圧と抑制という超自我、この三つの関係がしっかりと統合されていないと、アクセル操作に影響を及ぼします。ですからブレーキを踏みながらアクセルを踏んでしまう人がいます。

車に乗った時にアクセルとブレーキの機能を間違うということは、しっかりと開放と抑圧、抑制の分化がされていないということです。この時に人はアクセルとブレーキの操作ミスを起こします。

人間の衝動性と抑圧という心理学の二大テーマが、前進と、止まると、後退に表れています。車の持っている機能、そしてそれにまつわる無意識の構造が見事に照応されます。そういうものに日々触れているのです。ですからコンプレックス(観念複合体)が刺激されないわけがないのです。


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大澤秀行
専門家

大澤秀行(精神分析家)

合同会社LAFAERO1(ラファエロワン)

精神分析家として30年の臨床実績があり、現在もメールや電話も合わせると、一日平均10名の精神分析によるセラピーを行っている。

大澤秀行プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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