「住まいを守れ!」防犯診断と有効な対策
住まいの防犯対策は環境づくりが優先
住まいの防犯対策を考えるとき、どんな状況を思い浮かべているでしょうか。住まい(家)で発生する犯罪は、空き巣や忍び込みなど「泥棒(侵入盗)」だけではありません。
ガレージや軒先の車・バイク・自転車を狙った「乗り物盗」「部品ねらい」「車上ねらい」があり、見逃せないのが、人に危害を与える「強盗」「性的犯罪」やすべてを奪われる「放火」です。
多岐に渡る犯罪行為を鍵や防犯カメラなど、物や道具に頼った対策では、キリがないことは明白です。住まいの防犯対策を考えるとき、犯罪行為を許さないという意思表示(環境づくり)が重要で、優先させなければなりません。
防火と防犯の対策は目的と手法が逆さま
大切な住まいや家族を守る目は、犯罪行為だけではなく、火災や地震など自然災害にも同時に向けなければなりません。一般的に防犯対策は、犯罪者の侵入を拒む対策を指します。では、侵入者を拒む対策は、火災や地震の際に逃げやすい対策でしょうか。違います。侵入しにくい対策は逃げにくく、命を脅かす対策でもあります。
住宅火災に於ける死亡原因のトップは、逃げ遅れによるものです。この対策は、住宅用火災警報器の設置義務として示されています。深夜、火災警報器の警報音で目を覚まし、一目散に逃げることを思い浮かべてください。如何でしょうか、ドアや窓に複雑な鍵が取付けてあったら、逃げられますか。子どもや高齢者にはバリアとなって、逃げ遅れを招く恐れがあります。また、ギリギリまで消火活動をしていたら、同様に逃げ遅れてしまいます。
防火対策では避難することが優先され、ドアや窓に鍵が掛かっていないことが最良であり、防犯対策では犯罪者に侵入されないように、複雑な鍵を複数取付けることが最良です。このように、防火対策と防犯対策では、目的と手法が逆さまになります。
つまり、防犯対策は侵入者を意識し過ぎず、家族構成や日常生活の動線(朝起きたら、先ず何をするかなど)を優先させ、火災や地震など災害発生時の行動も視野に入れて施さなければなりません。
環境づくりと暮らし方が大切
防火対策のほかにも、防犯対策の落とし穴はあります。加齢に伴うバリアフリーです。
火災発生時の逃げ遅れでも示したように、高齢者には、複雑な操作がバリアとなってしまいます。平穏な日常の中でも、開かずの窓やドアを作り出し、引きこもりを誘発させます。そして、孤独や孤立が先導役となり、被害妄想などの心疾患を患ってしまうケースもあります。
このように、住まいの防犯対策は様々な危険(リスク)を抱えており、居住する住人(家族)に合わせ、バランスを整えることが不可欠です。まずは、犯罪を許さない意思表示(環境づくり)とその継続(暮らし方)を心掛けることが大切です。
犯罪を許さない意思表示
①植木などの手入れをする。
②ご近所さんとの挨拶を欠かさない。
③整理整頓、美化を心掛ける。
④電灯の球切れを放置しない。
⑤柵などで敷地境界線を明確にする。