檀家制度は何故生まれたか
世界三大宗教といわれるイスラム教。日本人の信徒の数は少ないですが、海外の方を中心に、日本にも少なからずイスラム教を信仰している方がいます。
以前、「私はイスラム教を信仰しているのだが、どこかお墓を紹介してもらえませんか?」というご相談を受けたことがあります。ご紹介したいのは山々なのですが、イスラム教の教義の特性上、イスラム教のお墓を日本で建てることは、なかなか難しい問題をはらんでいます。
イスラム教はキリスト教と同じく、「復活思想」という考え方を持っています。死はあくまでも通過点に過ぎず、いずれ復活の時を迎えこの世に再び生を受ける、という考え方です。その為、ご遺体は決して火葬せず、土葬のお墓を作るのが通常で、キリスト教徒の方が火葬を受け入れつつある一方、イスラム教の方は土葬にこだわり続けているそうです。
前にも書きましたが、日本では現在、ほとんどの地域で土葬が認められていません。つまり、イスラム教徒の方が日本でお墓を探そうにも、土葬出来る墓地がないため途方に暮れてしまうというケースが多いのです。聞いたところによると、どうしても日本でお墓が見つからないため、海外にご遺体を移送したという事例もあるそうです。
私にご相談いただいた方は、イスラム教徒の方を受け入れてくれるという、ある寺院(仏教の寺院です)をご紹介いたしました。このお寺には境内地に山があり、土葬の墓地としてイスラム教徒の方の遺体を受け入れてくれるとのことでした。ところが近年、もともとイスラム教徒の方を受け入れていた御住職も代替わりされ、元々のお檀家さんの反対もあり、受入を見直す動きが出ているそうです。もはや日本の慣習には、土葬という埋葬方法がそぐわなくなってしまっている事も影響していると思います。
信仰を取るのか。はたまた、住んでいる地域(国)の慣習を取るのか。イスラム教徒の方が日本でお墓を考える際、困難な課題に直面することになります。