定年後でも働けるアルバイトとは
早期退職後、大きな負担となるのが住民税です。住民税は、前年の所得に課される税金です。たとえ、今年無収入であっても負担しなければなりません。住民税は、「所得割」と「均等割」を合計したものです。
前年の所得が400万円だった場合、「所得割」と「均等割」の合計は約40万円にも達します。起業や転職をする場合、こうした住民税の請求があることを認識しつつ、手元資金の状況を確認しながら進めるのが良いでしょう。
早期退職者を苦しめる住民税
早期退職後に重くのしかかってくるのが住民税です。
住民税(市町村民税と都道府県民税をプラスしたもの)は、前年(1月1日から12月31日)の所得に課される税金です。つまり、早期退職後、無収入の状態であっても前年に所得があれば、住民税を納める必要があります。
みなさんは、毎年住民税をどのくらい納めているのかご存知でしょうか。
こう質問しても、正確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。というのも、会社員でいる間は、住民税は天引きで支払われており、自ら負担している感覚がほとんどないためです。
早期退職後は、会社員でなくなるため、住民税は原則自分で負担することになります。
こうなったときに初めて住民税がかなり高額であることに気づくケースがまま見られます。
住民税の支払いにあわてることがないよう、早期退職前に住民税の仕組みを理解し、どの程度自分が支払うのか押さえておくとよいでしょう。
住民税の仕組みについて理解したい
では、まず住民税の仕組みについて解説します。住民税の中身は「所得割」と「均等割」に大別されます。
「所得割」とは、個々人の税負担能力に応じて課されるものです。具体的に言えば、前年の所得に対して1割(市町村民税6%+都道府県民税4%)を乗じて計算され、通知されます。なお、「所得割」の計算方法は「所得×税率-税控除額」です。
「均等割」は文字通り、所得の過多にかかわらず均等に課税されるものです。標準税率は、市区町村民税で3500円~4400円、都道府県民税で1500円~2500円となっています。
わかりにくいので具体的な数字を出して住民税を計算してみましょう。
例えば、所得が400万円だった場合で考えてみます。このケースでは、「所得割」が40万円(税控除額はゼロ円)、「均等割」が最大6900円となります。つまり、早期退職後には、無収入であるにもかからず、40万6900円を負担する必要があるわけです。
また、住民税は金融商品にも課される「利子割」「株式等譲渡所得割」もあります。
「利子割」とは、文字通り、預貯金などの利子に対して課されるものです。普段、利子に対して税金があることを意識している人は少ないと思いますが、住民税が5%かかります。
「株式等譲渡所得割」は、株取引などで儲けが出た場合に課されるもので、こちらも課される住民税は5%です。ただし、金融商品にかかる住民税は金融機関があなたに代行して支払うケースが大半です。そのため、「金融商品にも住民税がかかっている」ということだけは、しっかりと覚えておくようにしましょう。
早期退職後は納付書によって住民税を支払う
会社員の場合、住民税は会社が天引きして支払っていますが、早期退職後はそうはいきません。
自ら市区町村などから届く納付書を使って支払う必要があります。この方法を「普通徴収」といい、毎年6月に市区町村などがあなたに納付書を発送する仕組みになっています。一般的に、納期は6月、8月、10月、1月の年4期。前述の例で言えば、約40万円の住民税を4回払いで負担することになるわけです。
実は、退職する時期によって、住民税を負担するタイミングは異なってきます。会社員の場合、住民税の支払は6月~5月。例えば、3月に退職した場合、3月分の住民税のほか、4月分と5月分の住民税も併せて天引きされる形になります。そのため、このケースでは、3月の給与は通常月よりも少なくなります。
上記のケースに対し、もし6月に退職した場合、住民税を支払うタイミングはどうなるのでしょうか。
この場合、天引きする給与がないので、早期退職後に市区町村から送られてくる納付書によって、住民税を納めることになります。詳しい説明は省きますが、もし、起業や転職に先立ち、少しでも手元に現金を残しておきたいという場合は、6月~12月に退職するとよいでしょう。
ここまで見てきた通り、前年の所得が高ければ高いほど、早期退職後に負担すべき住民税は高額になります。事業内容によりますが、起業においては多額の資金が必要になるケースもあります。起業したものの、住民税の支払いが大きな負担になるのは、生活にも影響を与えてしまいます。住民税の仕組みをしっかりと理解したうえで、起業などに使う資金を計算し、計画的に実行に移していくことをおすすめします。