20年以上の不眠の原因は「食事」だった : 血糖値の乱れが睡眠に与える影響

野口由美

野口由美

テーマ:症例紹介

「20年以上、眠れないんです」
70代の女性のご相談です。

寝つきが悪く、なかなか眠れない。
やっと眠れたと思ったら、2〜3時間で目が覚めてしまう。

そのまま朝まで眠れず、日中は慢性的な疲労感が続いている状態です。

睡眠薬は手放せないものの、「このまま飲み続けていいのか不安」とも感じておられました。

毎朝のウォーキングに潜む意外な落とし穴

詳しくお話をうかがうと、毎朝愛犬と15,000歩のウォーキングをされていました。
一見とても健康的ですが、実はここに原因が隠れていました。

朝食をとらずに運動をしていたのです。

夜寝ている間は食事をしていませんから、朝起床時は血糖値が低い状態です。
そのまま運動すると、さらに血糖値が下がり、低血糖状態に陥りやすくなります。

すると体は血糖値を上げようとして、アドレナリンなどのホルモンを分泌します。
これは本来「戦うためのホルモン」です。

朝から体は緊張状態に入ってしまうと、日中も緊張状態から抜け出しにくくなり、夜になってもリラックスできず、眠れないのです。

食事内容と「隠れ低血糖」

さらに食事内容をお聞きしますと、朝はパンとコーヒー、昼はうどんやパスタ、間食に和菓子とコーヒーといった内容でした。

一見よくある食事ですよね。
けれども、実は血糖値が不安定になりやすい組み合わせなのです。

パンやうどん、和菓子などは血糖値が一気に上がり、そのあと急に下がりやすくなります。

すると体は「血糖値を上げなければ」と、アドレナリンなどを分泌するため、緊張状態になってしまいます。

この状態が続くと、日中だけでなく夜になっても体がリラックスしにくくなり、不眠につながってしまうのです。

体を整えるシンプルな改善

そこで、生活と食事を見直しました。

まず、空腹での運動をやめ、ウォーキングの前におにぎりと味噌汁を少量とっていただきます。

また、主食はパンや麺中心からご飯中心へと変更し、血糖値が安定しやすい形に整えました。

さらに、食事と食事の間には小さなおにぎりを取り入れ、血糖値が下がりすぎないように工夫しました。

不足していたたんぱく質は、味噌汁やスープなどで無理なく補うようにしましょう。

加えて、1日3杯飲んでいたコーヒーもいったん控えていただきます。

3週間後

これらを実践していただいた結果、
「嘘みたいです。
眠れるようになりました」
と話されます。

20年以上続いていた不眠が、わずか3週間で大きく改善したのです。

「こんなに長く悩んでいたのに、食事で変わるとは思いませんでした。

一番効果があったのは、コーヒーをやめたことかもしれません」

また、ご一緒に食事を見直されたご主人も、体調の変化を感じておられるとのことでした。

不眠は「夜の問題」とは限らない

不眠というと、「夜どう過ごすか」に意識が向きがちです。
しかし実際には、日中の血糖値の変動や食事内容が、夜の睡眠に大きく影響しています。

「眠れない=睡眠薬」と考える前に、
一度、ご自身の食事や生活リズムを見直してみることも大切です。

長く続く不眠の背景に、「血糖値の乱れ」が隠れていることは少なくありません。

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野口由美
専門家

野口由美(医師)

クリニック千里の森

患者一人ひとりの個性を重視した「患者ファースト」の治療方針のもと、薬に頼らない医療を提供。近代西洋医学の最前線で培った豊富な知識、自身の体験を裏付けに、幅広い選択肢の中から最適な治療法を提案します。

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