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学校に行けなくなった

野口由美

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テーマ:症例紹介

17歳の高校生、紗良さんは、ある日突然、学校に行けなくなりました。

最初は朝起きられないことから始まり、次第にその症状は深刻化していきます。

いくつもの病院を受診しても、原因はわからないまま、彼女の不安は増す一方です。

そんな中、意外な原因が明らかとなり、治療を始めたところ、1か月で登校できるようになったのです

その原因とは一体何だったのでしょう?

朝起きられない

紗良さんは、17歳の高校生です。

数ヶ月前から、学校に行けなくなったと言われます。


最初は、朝、なかなか起きられないことから始まりました。

ところが、なんとか学校に登校しても、しんどすぎて、午前中で帰ってきてしまうことが続くようになったのです。

そのうち、朝、まったく起き上がれなくなり、とうとう、学校に行くことができなくなってしまいました。

学校に行けないだけではありません。

急に、心臓がドキドキして苦しくなる、
微熱が続く
激しい頭痛で寝込んでしまう、
生理痛がひどい
といったさまざまな症状に悩まされています。


そして、今一番困っているのは…、
「ひとつのことが気になると、頭から離れなくなってしまう」ことです。

たとえば、包丁をみると、人を傷つけてしまうのではないかと、気になって気になってしかたありません。

そのほかにも、「急になにかが気になると、そのことから頭が離れなくなってしまう」のです。

また、「何かが気になってしまうのではないか」
「気になったらどうしよう」
と思うと、不安で仕方ありません。

困って、内科、脳神経外科、精神科など、いろいろな病院を受診したのですが、異常はないといわれます。

けれども体調不良は悪化するばかりです。

原因のわからないことで、より一層不安を感じています。

血液検査結果から読み取る栄養不足

持ってきていただいた病院での血液検査結果を見てみましょう。

中性脂肪は30と非常に低いことにまず目がとまりました。

AST、ALTはそれぞれ13と8で、低値をとっており、

BUN、γ―GTPはいずれも一桁で低値です。


低血糖、タンパク質不足、ビタミン、ミネラル不足など、栄養不良が考えられる結果です。


低血糖だと、エネルギー不足になるため、しんどくなります。

そのため、「朝、おきられない」「学校に行けない」となってしまいます。

心臓がドキドキする、微熱、頭痛、生理痛なども低血糖から起こりえます。

栄養素不足の原因


お食事内容を聞いてみますと、三食とも、とても気を付けて食べておられることがわかりました。

お菓子もあまり食べないそうです。


高血糖になるお菓子も食べていないし、
毎日、規則正しく、三食を食べていて、栄養のバランスも考えておられるようです。

食事は理想的なのに、これだけの低血糖、低栄養状態になっているとはどういうことでしょう。


ひとつには、胃腸での消化吸収低下が考えられるでしょう。

胃酸、胃液の分泌低下や、消化酵素の分泌低下など、胃腸機能の低下です。

対策としては、消化吸収を助ける食事方法をとるほか、消化酵素サプリメントを利用するという方法もおすすめです。

二つ目は、カンジダの増殖による、腸内環境の悪化の可能性も考えられるでしょう。

カンジダは、人が食べた糖分を横取りして増殖します。
そのため、低血糖におちいりやすくなるのです。

また、カンジダの増殖により腸内環境は悪化するため、腸の重要な働きである、消化・吸収やセロトニンの生産、免疫機能も低下してしまいます。

結果として、栄養状態は悪くなり、不安などの症状につながってしまうのです。


初診では、低血糖について説明したのち、低血糖対策をお伝えし、
さらに、タンパク質不足を補う食事についてもお話ししました。

毎日、学校に行けるようになる

1ヶ月後です。

「教えていただいた通り、食事を続けています。

この数か月は、食事量が減っていたので、診察後は、頑張って食べるようにしました。

そしたら、減っていた体重が2キロ戻りました。

そのうえ、2週間ほどで、朝、起きられるようになったんです。

今は、毎日、問題なく学校に行っています。

学校でも、しんどくて困ることはなくなりました。

ドキドキすることもありません」


毎日、学校に行っているのですね。
よかったです。

頑張って食べている、というのがちょっと気になりますね。

無理ないように、少しずつ増やしていただくとよいでしょう。



「今でもやっぱり、気になってしまうのは、変わりありません。

ひとつのことが気になると、頭から離れなくなってしまいます。

包丁をみると、人を傷つけたらどうしようって、気になってしかたありません」



『気になってしまう点』に変化はない様子です。
やはり、カンジダ増殖や、有害重金属の蓄積なども考えた方がいいかもしれません。

尿有機酸検査や、GI-MAP(腸内環境検査)、重金属検査などの検査を行って、原因を特定した方がいいのではないかと思います。

いかがでしょう。

紗良さんは、「GI-MAP(腸内環境検査)」を希望されました。

腸内環境を改善して、不安を解消

1ヶ月後、GI-MAPの検査結果が判明しました。

紗良さんの結果からは、腸管内カンジダの異常増殖が見られました。

腸内細菌の良性菌のなかには著しく低下しているものも見られ、
悪性菌の増殖も認められました。


カンジダは、正常でも、腸管内にある程度生息しているのですが、
腸内環境が悪化すると、カンジダは増殖し、
そのことで腸内環境はさらに悪化します。


カンジダは、人がとる糖分を横取りして増殖するため、人は低血糖におちいりやすくなるのです。

また、カンジダが吐き出すさまざまな有機物が、人の体や脳によくない影響を及ぼします。


カンジダ対策を始めていただきました。

すると、3か月後には、体調はさらによくなり、不安な気持ちやこだわりもなくなりました。


「食事をかえてから、紗良に笑顔が見られるようになって、ほんとうによかったです。

また、学校にもいけるようになって、安心しました」


「食事を変えたら、元気になってきて、ほんとうによかったです。

ずっと、何が原因なのかわからなかったので、それがとても不安でした。

栄養を整えればいいとわかって、とても安心して、治療を進めることができました」



複数の病院を受診しても、原因のわからなかった体調不良が、

食事を変えることで劇的に改善し、

毎日、元気に登校できるようになった女子高生のストーリーをご紹介しました。




※実際の診察内容すべてを掲載することはできないため、一部のみに掲載にとどまっていることをご了承ください。


※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。

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野口由美
専門家

野口由美(医師)

クリニック千里の森

患者一人ひとりの個性を重視した「患者ファースト」の治療方針のもと、薬に頼らない医療を提供。近代西洋医学の最前線で培った豊富な知識、自身の体験を裏付けに、幅広い選択肢の中から最適な治療法を提案します。

野口由美プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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