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手術はぜったいイヤ

野口由美

野口由美

テーマ:症例紹介

「子宮筋腫の手術は絶対いや」という女性の相談を受けました。

話をうかがいますと、子供のころから続く体調不良もあり、手術に対する不安感が強いだけではなく、日常生活から人生にいたるまでさまざまな不安を感じておられる様子です。

その背景には、鉄欠乏、低血糖などの低栄養がありました。

栄養状態にアプローチするうち、強い不安感は軽減し、落ち着いて治療法について考えることができるようになりました。

そして、手術することをご自分で決心されたのです。
その経過をご紹介いたします。

つらい子供時代

40歳の女性です。

生理出血が多く、貧血もあるため、主治医から子宮筋腫の手術を強く勧められています。

けれども、どうしても手術はいやなので、薬以外の方法で小さくできないでしょうか、というご相談で予約を入れていただきました。

今までの経緯や、どのような検査や治療をされたのかなど、お話しを聞かせていただけますか。

「はい…、長年、からだがつらくてたまらなくて、うつもあって…」

言葉につかえながら、硬い表情で話し始めます。

「小学校の時から、からだがしんどくて…、いつも絶望していました。

起立性低血圧とか、自律神経失調症とかって言われて、精神科、心療内科、漢方、整体、鍼灸とさまざまな治療を試しましたが、なにも変わりませんでした」

子宮筋腫の話をされるのかと思ったら、ずーっと以前のこどものころのお話しです。

あれっ?と思いながら、静かに聞いています。

この方が本当に聞きたいこと、不安に感じていることは、手術のことではないのかもしれません。

「中学ではいじめにあって不登校になり、

高校の時は、パニック障害、拒食症になり、

何年間も、起き上がることもできない寝たきりの状態になっていました」

ほんとうに大変な子供時代でしたね。

手術はどうしても嫌なんです。

「はい、それが、この数年、たちくらみや動悸がひどくて、不安になって内科を受診したら、貧血があると言われ、鉄剤をもらったのですが、余計に気分が悪くなってしまって。

そのうち、生理出血が非常に多くなったので、婦人科を受診したら子宮筋腫を指摘されました。

貧血があって、生理出血も多いし、筋腫も大きいので、早めに手術をした方がいいと言われたのです。

でも、わたし、手術は絶対いやなんです。

それが最近は、『手術以外に方法はない』と毎回、強い調子で手術を勧められるようになって、返答に困っていると、先生がすごく機嫌が悪くなるんです」

鉄欠乏では体に力が入らない

「最近は、歩くのもしんどくて、足に力が入りません。

以前はこんなことはなかったように思って、とても不安に思っています」

生理出血が多いと、毎月、大量の鉄が失われてしまうのですね。

失った鉄を補えるほど、赤味の肉や魚をもりもり食べられるような方ではなさそうですから、

「はい、お肉はあんまり食べられません」

ずーっと鉄不足の状態が続いていて、
鉄不足の赤字がどんどん膨らんでしまうのです。

鉄不足だと、エネルギーを作れないんですよ。

そうすると、エネルギーがないから、筋肉を動かせないんですね。

それで、しんどい、体が動かない、力が入らないってなるんです。

鉄欠乏では頭が働かない

「鉄不足を解決するには、やっぱり手術はしないとだめでしょうか。
私はどうしてもしたくないんです」

手術がぜったい嫌なのはどういうところから来ているんでしょうね。

「手術自体がイヤって思っていて、
手術が怖いというのもあると思いますけど…、

うーん、何が嫌なんでしょう?

なんか、ぜったいイヤって思っていて、そこで思考停止してしまうんです。

主治医の先生が手術のことを話されると、途端に頭が働かなくなってしまって、考えることができなくて、何を話されたのかも覚えていないんです」

そうですね。
いやだから、頭が拒否しているのかもしれません。

それにね、鉄不足だと、頭がうまく働かなくなるってこともあるんですね。

重要なところほど、頭がフリーズしてしまって、考えがまとまらなくなるんです。

また、自分でもよくわからないところに固執してしまったり、

他の人には理解できないような、自分だけの理論に固執してしまうこともあります。

鉄不足を少しでも解消できると、もう少し落ち着いて考えられるかもしれませんね。

鉄欠乏では不安が強い

それとね、もうひとつ、

手術について感じている、よくわからない不安を解消できると、落ち着いて考えることができるかもしれません。

鉄不足だと、不安を感じやすくなるんです。

気持ちも不安定になって、うつっぽくなったり、不安を感じやすくなります。

手術について、いまひとつよく理解できてないと、
『よくわからなくて不安になる』でしょうし、

『よくわからないので、断固反対』ってなっている可能性もあるかもしれません。

それにね、話を聞いていると、
不安に感じていることは、手術だけではないみたいに感じます。

人生や生活で不安に感じていることがたくさんあって、そのなかのひとつが『手術の不安』ようにも感じたのですが、いかがですか?

「その通りです。

もう、いろんなことが不安です。

いままでも、ずーっと体調がよくなかったし、本当に元気になる日は来るんだろうかって思います。

仕事にもついていないし、経済的なことも不安です。

これからどうなるんだろうかって思うと不安しかありません」

今はとにかく、手術のことを考えただけで拒否反応がでて、頭が停止して、不安マックスになっているので、手術をするかどうかを決める段階ではないように思います。

まず、不安でたまらないところが少しでも楽になれるといいのかなと思いますがいかがでしょう。

「不安感がマシになるととても楽だと思います」

不安感に対してバッチフラワーレメディを紹介したところ、ぜひ、使ってみたいということで、レメディを選びました。

血液検査結果を見てみよう

血液検査結果を見ますと、
鉄欠乏だけでなく、タンパク質、ビタミンB群や亜鉛、マグネシウムなどミネラルの不足もみられます。

さらに低血糖も認められますので、著しいからだの辛さは、栄養素不足が強く関係していることがわかります。

低血糖対策や、

タンパク質を上手摂る方法、

ビタミン、ミネラル不足を解消する日常でできる方法などをお伝えします。

体調良くない中でも、ご自分で毎日料理されていることもあり、熱心にメモされています。

バッチフラワーレメディと栄養療法を続けていくことになりました。

毎月来院されるごとに、日常の様々な不安を話してくださいました。

不安に感じていることがたくさんあるのですが、バッチフラワーレメディを摂ると安心できるのだそうで、とても気に入っていただいている様子です。

「手術したほうがいいのかも…」

低血糖対策も取り入れていただいたところ、以前のような、どうしようもないほどのからだのつらさはなくなったようだと話されます。

そして半年後、手術を受けることを決心されました。

「たしかに、先生の言われていた通り、手術のこと以外にもたくさん不安があって、いろんな不安がごちゃ混ぜになっていたと思います。

落ち着いて考えることもできなくて、『よくわからないけど手術は絶対いや』になってしまっていました。

不安感が軽くなってきたら、落ち着いて考えられるようになって、
『手術してもいいのではないか、したほうがいいのではないか』にだんだん変わってきました。

手術について詳しく教えていただきましたし、自分でも調べたりして、よくわからない恐怖心が薄れていったのもあると思います」

栄養状態が改善され、気持ちが落ち着くと、冷静にものごとを考え、行動するようになり、以前の自分を客観的に見ることもできるようになります。

ここで重要なのは、ご自分で手術を決断されたということです。

あれだけ拒否反応を示していたにもかかわらず、ご自分で決断されたところがとてもよかったと思います。

術後回復には栄養が必要

不安感を軽減するため、および、からだがつらくてたまらない症状を解決する目的で、栄養療法を始めましたが、術前に栄養を充足しておくことは、術後の回復のためにも必要なことです。

初診時のような栄養状態のよくないまま、手術を受けていれば、術後の回復は遅れ、さまざまな問題が起こる可能性もあったでしょう。

術後の回復には、大量のビタミン、ミネラルが消費されます。

栄養状態不良のまま手術をすると、術後、体調不良や不安、うつなどが著しく悪化することも少なくありません。

前に栄養状態をよくしておくことは非常に重要なのです。

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野口由美
専門家

野口由美(医師)

クリニック千里の森

患者一人ひとりの個性を重視した「患者ファースト」の治療方針のもと、薬に頼らない医療を提供。近代西洋医学の最前線で培った豊富な知識、自身の体験を裏付けに、幅広い選択肢の中から最適な治療法を提案します。

野口由美プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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