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傷を短期間できれいに治す

野口由美

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テーマ:症例紹介

転倒して、擦り傷などのけがをしてしまったとき、痛いし、慌てますよね。

今回の症例は、朝の通勤途中に、けっこう派手に転んでしまい、かなり広範囲の擦り傷ができてしまった女性です。

早くきれいに治すための方法をお伝えしたところ、
「整形外科医に感心されるほど、早く、きれいに治りました!」
と感激されました。

一般に、傷をきれいに治すには、どのようなことに気を付けるとよいのか、栄養面からも解説しています。

派手に転びました!

55歳、会社員の女性の方が、栄養療法の再診にいらっしゃいました。

それが、なんだか、動きがぎこちなくて痛そうです。

よくみると、両ひざ、両手のひらに絆創膏が貼られ、痛々しいご様子。
何があったのでしょうか?

「今朝、ちょっと、焦っていて…、信号が点滅していたので、走って渡ろうとして…、
そしたら、横断歩道の真ん中で、派手にこけてしまったんです!

もう、ショックで…、恥ずかしいのと、痛いのと…。
でも、電車が来ていたので、猛ダッシュして電車に乗りこみました。

落ち着いてよく見たら、両ひざと両手のひらが血まみれになっていたんです。
それで、出勤してから、病院に行きました」

えぇー! 大変でしたね。そんななか、再診に来ていただいて…、本当に申し訳ないです。

「すごく痛かったのですが、整形外科の先生は、
『骨折はしていないね。打ち身、打撲の痛みだね』
と言われたので、
骨折していなくて、ほんとよかったと思って、安心しました。

でも、『ひざの傷は治るまで時間がかかると思うよ』…って言われたんです。

それで、昔のことを思い出してしまって…。

何年か前にも、今日みたいに、派手にこけて、両ひざを擦りむいたことがあるんです。

その時は、傷が治るのにとても時間がかかったんです。

1か月たっても、治らなくて、じくじくしていて、ずっーと整形外科に通っていました。

今回はあんなことにならないように、はやくにきれいに治したいんです!」

わかりました!
はやく、きれいに治すために、できることは何でもやってみましょう。


転んで怪我した時は、すぐにホメオパシーのarnicaを用います。
arnicaは、けがの痛みを和らげ、傷の治りを助けます。

それと同時に、急に転んでびっくりして、痛い思いをした、その心の動揺にも働きかけます。

傷を治すために必要な栄養素


傷を早くきれいに治すために重要なのは、充分な栄養です。

女性は栄養療法を始めていて、すでにヘム鉄とビタミンB群をとっていただいていました。

傷の治りを促すには、それらに加えて亜鉛が必要です。


亜鉛は、皮膚の材料となるコラーゲンの合成にかかわるなど、
皮膚の細胞が作り変えられるさい、不可欠な栄養素です。

亜鉛が不足すると、傷の治りに時間がかかるため、
海外では、手術を受けた患者に亜鉛を投与するともいわれています。

亜鉛を多く含む食べ物は、牡蠣のほか、のり、きなこ、ゴマなどがあげられます。

「私のからだは、食べたものでできている」

女性は、arnicaを服用し、亜鉛のサプリメントの摂取を続け、
1週間後に整形外科を受診しました。

すると、整形外科医は彼女の傷を見るなり、驚いた様子で首をかしげ、唸りました。

「いやぁー、こういう人、たまにいるよね…、
こういう、すごーく、傷の治りの早い人!

この前来た時から1週間しかたってないよね…?!

1週間で、もうこんなにきれいに治ってるんだよね?!

いるんだよね…、こういう人が…」

整形外科医に、傷の治りがはやいと言ってほめられたというのです。

「ホメオパシー、効果あるんですね。

こんなもので効くのかなって、正直、疑ってました。
すみません…。

今から思うと…、
arnicaを飲んでから、あんまり痛くなかったように思います。

けがした後って、しばらくじんじん痛みが続きますよね。
でも、そういうの無かったなと…、痛くなかったなぁと思って。

arnicaのおかげかなと思います」


「それに、栄養って大切ですね。
今回のことで、本当に身にしみてよく分かりました。

以前の、傷が治るまで1ヶ月以上かかった時の自分に教えてあげたいです。

栄養とらないと治らないよ!って」

女性はうれしそうに話してくださいました。


「私のからだは、食べたものでできている」

このことばを実感したできごとでした。

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野口由美
専門家

野口由美(医師)

クリニック千里の森

患者一人ひとりの個性を重視した「患者ファースト」の治療方針のもと、薬に頼らない医療を提供。近代西洋医学の最前線で培った豊富な知識、自身の体験を裏付けに、幅広い選択肢の中から最適な治療法を提案します。

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