吹き抜け断熱材アクアフォームとは
吹付断熱は近年、その高い断熱効果によって注目されています。今回はこの吹付断熱についてお話したいと思います。
吹付断熱の材料
家の断熱材としてはこれまでグラスウールなどさまざまな素材が検討され製品化されてきましたが、近年、その性能の高さから硬質発泡ウレタンフォームが台頭し、一定の評価を得るようになっています。
硬質発泡ウレタンフォームとは、一口に言えば、プラスチックの発泡体ですが、小さな気泡を含み、この気泡の中に熱を伝えにくいガスが封じ込められています。この硬質発泡ウレタンフォームをボード状に整形したものを家の天井、壁、床下にはめ込み、家全体をすっぽり覆う工法が好評を博しています。
吹付断熱は、断熱性の高い発泡系ウレタンを現場で直接吹き付ける方法です。ボード状に整形されたものは、作業前に壁の厚み、幅などを計り、サイズ合わせをする必要がありますが、直接吹き付ける方法の場合その必要がありません。また、天井裏も直接、吹き付けてすっかり覆うことができるため高い断熱効果を発揮します。
吹付断熱の材料に用いられる発泡系ウレタンには、硬質性と軟質性の2種類があります。
吹付け断熱の作業模様はインターネットで見ることができます。YouTubeで「吹付け断熱」で検索してみて下さい。壁に吹き付けられた断熱材が、もこもこと膨れ上がり、壁を覆う様子を見ることができます。もこもこと膨れ上がるのは軟質性、硬質性の材は硬質製に比べ膨れ上がり方が少ないのが分かります。
吹付断熱工法に用いられる発泡系の断熱材として、アイシネン、アクアフォーム、フォームライトSL、アキレスエアロンなどの製品を上げることができます。
このうち、アイシネンとアクアフォームは軟質性、フォームライトSL、アキレスエアロンは硬質性です。
吹付断熱材の価格
吹付断熱は高い断熱効果が実証されていますが、気になるのはやはりその価格ですね。
おおまかなところを言えば、価格は、グラスウール、硬質発泡ウレタンフォーム、吹付断熱の順に高くなります。グラスウールを1とした場合、硬質ウレタンフォームがその1.5~2倍。吹付断熱がグラスウールの2~3倍とお考えになって良いでしょう。
吹付断熱の価格を考える場合、製品そのものの価格はあまり意味がありません。いまあげた製品の中ではアイシネンが比較的高価と言えますが、吹付断熱には、現場に持ち込む発泡機、施工する職人の人件費、また、断熱材を吹き付ける厚さ、面積、難易度等によっても施工費が大きく違ってくるからです。
ちなみに、ある施工会社の例では、アイシネンを使った場合の見積りが95万円、アクアフォームの場合60万円となっています。
また別の例をあげれば(アキレスエアロンの例です)、厚さ40mmで1㎡単価2300円、厚さ90mmで1㎡単価3500円というように。厚みに応じた価格を公表している施工会社もありますが、やはり、あくまでも設計価格であり、実行価格ではないことを断っています。
この例でも厚さ40mmで20㎡施工すれば46万円。厚さ90㎜で10㎡施工すると35万円ですが、家によって、どの部分にどの厚さで吹き付けるか、また、どのくらいの面積に施工するかで費用は違ってきますから、一概に吹付断熱の価格を言うことはできません。条件によるのです。
アクアフォームを推奨する施工会社の中には1坪2~2.5万円という施工費を示している施工会社もあります。この場合、1㎡単価は6000円程度ということになりますが、やはり現場の状況によって変動することがあることを断っています。
吹付工法による家の断熱をお考えの際は、施工会社に条件を示し、具体的な見積りを出してもらいましょう。その際、使用する製品、厚み、面積、人件費等詳細な見積りを出してもらうことをおすすめします。「一括」あるいは「一式」という見積りの出し方をする業者は避けるべきです。
吹付断熱には経験は必要
吹付断熱はその断熱効果が浸透すると共に、住宅販売会社の多くが吹付断熱を標準仕様とするようになりました。自社の住宅の売りの一つになるわけですね。しかし、その反面、施工ミスが目立つようになったとも言われています。特に問題なのは厚さ不足です。
断熱材をどのくらいの厚さに吹き付ければ、どの程度の断熱効果が得られるかは各断熱材メーカーがマニュアル等に示していますが、そこが適切になされていないケースが増えているのです。
あるいはリフォーム時、壁の配線の上に断熱材を吹き付けてしまい、配線を取り出すため吹き付けた断熱材を剥がし取ることになった、というような初歩的なミスも少なくはないようです。
吹付断熱は、夏涼しく冬暖かいという理想的な住まいを実現するためにあるものです。その施工には断熱に関する基本的な知識、そして、現場作業の熟練が欠かせません。施工会社の実績にも注意したいところです。