被後見人が亡くなった後の成年後見人の役割とは?終了手続きと注意点を解説

山田泰平

山田泰平

テーマ:契約関係

皆様、こんにちは。 株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

長年、成年後見人(せいねんこうけんにん)として、一身にその方の生活と財産を守り続けてきた。その大切な被後見人(ひこうけんにん)様が、ついに旅立たれた……。

深い喪失感と同時に、後見人には「さあ、これから何を、どこまでやるべきなのか」という、極めて重大で慎重な判断が求められる最後の任務が待ち受けています。

なぜなら、ご本人の死亡と同時に、後見人としての法的権限はすべて消滅してしまうからです。

今回は、この「被後見人の死後、後見人がすべきこと」をテーマに、実務上の注意点を詳しくお伝えしましょう。

  • 権限が消滅した後に、絶対にやってはいけないこと。 最初に、そして最優先で着手すべき「相続人の特定と連絡」。
  • 相続人への正しい財産のバトンタッチ(引継ぎ)の方法。
  • 後見人としての本当のゴールである、家庭裁判所への「終了報告」。
  • 葬儀や片付けなど、死後の事務を円滑に進めるための備え。


【結論】後見人の権限は死亡で“即時”終了。死後、最初の一手は「相続人への連絡」と財産の保全


成年後見人としての法的権限は、被後見人様が亡くなられた、まさにその瞬間にすべて消滅します。これは民法で定められた絶対的なルールです。

したがって、死後に故人の預金を引き出して葬儀費用にあてたり、各種契約を勝手に解約したりといった財産管理行為は、原則として一切できなくなります。良かれと思って行った行為が、後に相続人から「権限のない不当な行為だ」と追及されるリスクすらあるのです。

後見人が死後に最優先でやるべきこと。それは、戸籍などを調査して相続人を確定させ、その相続人に死亡の事実を速やかに連絡することに尽きます。

後見人の最後の任務は、死後の世界にまで介入することではありません。これまで守り抜いてきた財産を、次の正当な権利者である相続人へ誠実に引き継ぐことが、法的に定められた唯一の正しい道筋なのです。

1 権限消滅後に“絶対に”やってはいけない4つの行為


ご本人の死亡後、後見人は法的には「他人」と同じ立場になります。以下の行為は「権限踰越(けんげんゆえつ:与えられた権限を越えること)」とみなされる可能性が高いため、厳に慎まなければなりません。

  • 故人の預金口座から現金を引き出すこと(たとえ葬儀費用のためでも原則NG)。 故人名義の不動産や株式を売却すること。
  • 施設や病院、公共料金などの解約手続きを独断で行うこと。
  • 相続人の一部だけに、同意なく財産を引き渡すこと。


特に、相続人が見つからないからといって、後見人が勝手に葬儀社と契約し、喪主を務めることは大きなリスクを伴います。

後のトラブルを避けるためにも、まずは家庭裁判所や専門家に指示を仰ぐべきでしょう。

2 悲しみに暮れる暇はない!最優先の任務「相続人への連絡」


死後の手続きのバトンを渡すべき相手は、国家が認めた権利者である「相続人」です。

■ 最初の一手:相続人の調査
まずは手元にある住民票や戸籍謄本(こせきとうほん)を確認します。もし情報が古ければ、役所で故人の出生から死亡までの戸籍を一式取得し、最新の法定相続人を確定させる必要があります。

■ 連絡と報告
相続人全員に対し、電話や書面で「被後見人様が亡くなられたこと」を速やかに伝えます。その際、ご自身が成年後見人であったこと、そして今後、財産を引き継いでいただく必要があることを明確に伝えなければなりません。この「連絡」こそが、後見人が死後に行う最も重要な責任ある行動と言えるでしょう。

3 最後の任務①:相続人への誠実な「財産引継ぎ」


相続人との連絡が取れたら、次は財産の引き渡しです。

■ 引き継ぐべきもの

  • 預貯金通帳、キャッシュカード、印鑑。 不動産の権利証、保険証券。 後見業務のために作成した「財産目録(ざいさんもくろく)」。
  • 後見期間中の収支を記録した「収支計算書」。


これらの書類を、相続人の代表者(または全員)に引き渡します。その際、「何を、いつ、誰に引き渡したか」を明確にするため、必ず「受領書(じゅりょうしょ)」に署名・捺印をもらうようにしてください。これが、後見人自身の身を守るための重要な証拠となります。

4 最後の任務②:家庭裁判所への「終了報告」


相続人への引き継ぎが完了したら、いよいよ後見人としての真の最終任務です。

■ 報告義務 後見人は、被後見人の死亡後、遅滞なく家庭裁判所に対し「後見が終了した」旨を報告し、最後の財産目録と収支計算書を提出する義務があります。

■ 報告の受理
この報告書には、前述の「受領書」のコピーなどを添付します。この報告が家庭裁判所に受理されて初めて、成年後見人としてのすべての任務が法的に、そして公式に完了するわけです。

【まとめ】“引き継ぎ”までが後見人の責務。死後の備えは生前に


成年後見人という重責は、被後見人様の死亡と共にその役割を終えます。しかしその終わりは、次の相続人へ「正しく繋ぐ」ものでなければなりません。

では、本日の重要なポイントをまとめます。

  • 成年後見人の法的権限は、被後見人の死亡と同時に完全に消滅する。
  • 死後、後見人がまず行うべきは財産の処分ではなく「相続人の特定と死亡連絡」である。
  • 管理してきた財産を財産目録と共に相続人へ引き渡し、必ず「受領書」を回収する。
  • 家庭裁判所へ「終了報告」を行い、受理されることで初めてすべての任務が完了する。
  • 葬儀や納骨などの死後事務については、生前に「死後事務委任契約(しごじむいにんけいやく)」を別途結んでおくのが最も確実な備えとなる。


ご葬儀の現場で、後見人の先生が「亡くなられた方の遺志を汲んで、どこまで関わってよいものか」と深く悩まれている姿をお見かけすることがあります。その誠実なお気持ちは尊いものですが、同時にご自身の法的立場を守る冷静さも必要です。

私たち葬儀社も、ご依頼主が法的に正当な権限を持つ方であるかを確認することが、故人の尊厳を守り、無用なトラブルを防ぐための重要な責務だと考えております。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀業)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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