生前贈与の7年ルールとは?相続税対策の新常識を解説

山田泰平

山田泰平

テーマ:相続関係

皆様、こんにちは。

株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

「親が元気なうちに、毎年少しずつ贈与を受ければ相続税が安くなる。」

かつて、この暦年贈与(れきねんぞうよ)は、有効な相続税対策として広く知られていました。

暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与額が110万円以下であれば、贈与税がかからないという仕組みを指します。

しかし、その常識が2024年1月から始まった税制改正によって大きく変わり、以前のような節税効果が得られにくくなっているのをご存知でしょうか。

古い知識のまま安易に生前贈与を行うと、節税になるどころか、かえって手続きが複雑になったり思わぬ納税が発生したりする危険性すらあるでしょう。

2026年現在、相続対策は新しいルールに則って進める必要があります。

今回は、この大きく変わった生前贈与と相続税をテーマに、以下の内容を分かりやすく解説してまいります。

  • これまでの暦年贈与が通用しなくなった理由 死亡前7年に延長された生前贈与加算の注意点 新しく使いやすくなった相続時精算課税制度とは
  • これから私たちはどちらの制度を選ぶべきか 贈与を税務署に否認されないための正しい手順


毎年の贈与で節税は過去の話!相続時精算課税制度の活用が鍵 まとめ


これまで有効とされてきた年間110万円までの暦年贈与の効果は、税制改正で大きく制限されることになりました。

その最大の理由は、亡くなる前に受けた贈与を相続財産に足し戻して計算する持ち戻し(もちもどし)の期間が、従来の3年から7年へと大幅に延長されたためです。

持ち戻しとは、生前に贈与された財産を、相続税を計算する際に遺産総額に含めて計算し直すルールのこと。

これにより、亡くなる直前に慌てて贈与を始めても、その多くが相続税の対象となってしまう可能性が高まりました。

一方で、これまで使い勝手が悪いと敬遠されがちだった「相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんかぜいせいど)」という仕組みに、新たに年間110万円の非課税枠が設けられました。

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫へ財産を贈与する場合に選択できる制度となります。

重要なのは、この新設された年間110万円の枠は、暦年贈与の7年ルールの対象外になるという点です。

この改正により、どちらの制度を選ぶべきか、個々の家庭の状況や資産の額によって最適解が全く異なる時代に突入しました。

もはや、税理士などの専門家への相談なしに自己判断で生前贈与を進めるのは、極めてリスクが高い行為と言えるでしょう。

1暦年贈与の価値が減少!死亡前7年ルールの詳細


今回の税制改正で最も影響が大きいのが、生前贈与加算(持ち戻し)の期間延長です。

これまでは、亡くなる前3年以内に行われた生前贈与が相続財産に持ち戻されていました。

しかし、2024年1月1日以降の贈与からはこの期間が段階的に延長され、最終的に亡くなる前7年間の贈与が持ち戻しの対象となります。

つまり、ご自身が亡くなる7年前まで遡って、その間の贈与額が全て相続財産に加算されることになるのです。

ただし、延長された4年間分(亡くなる前4年から7年前の間)の贈与については、合計100万円までは足し戻さなくて良いという緩和措置が設けられています。

それでも、ご高齢になってから暦年贈与を始める場合、7年以内に相続が発生すればその節税効果が失われてしまう可能性が非常に高くなったわけです。

これは、およそ10人に1人が相続税の対象になっていることを示しており、決して富裕層だけの問題ではなくなっています。

こうした背景から、より早めに対策を講じる必要性が高まっていると言えるでしょう。

2 新たな選択肢!使いやすくなった相続時精算課税制度


もう一つの大きな変更点が、相続時精算課税制度の大幅なリニューアルとなります。

これまでの制度では、生涯で2500万円までの贈与が非課税になるものの、一度選択すると暦年贈与に戻ることはできませんでした。

さらに、贈与した財産は最終的に全額が相続財産に加算されるため、節税効果は限定的とされていたのです。

しかし新制度では、従来の2500万円の枠とは別に、新たに年間110万円の基礎控除(非課税枠)が創設されました。

この年間110万円の枠内であれば、毎年の贈与税の申告が不要となります。

そして最大のメリットは、この枠内で贈与した財産は相続財産に加算されず、暦年贈与の7年ルールの対象にもならないことです。

つまり、亡くなる直前の贈与であっても、年間110万円までなら確実に非課税で財産を子や孫に移転できるという大きな利点が生まれました。

これにより、相続時精算課税制度は今後の相続税対策において非常に有力な選択肢となったわけです。

3 暦年贈与と相続時精算課税制度のどちらを選ぶべきか


では、私たちは今後どちらの制度を選択すれば良いのでしょうか。

家族の状況や資産規模によって適した方法は異なります。

暦年贈与が向いているかもしれない方は、まだ比較的若く健康に自信があり、長期間にわたって贈与を続けられる見込みがある方です。

また、相続人が多く、それぞれに110万円ずつ贈与することで全体の非課税枠を大きくしたい場合も有効となります。

7年ルールがあるとはいえ、10年や20年といった長い期間で考えれば、まだまだ暦年贈与のメリットを活かすことができるでしょう。

一方で、相続時精算課税制度が向いているかもしれない方は、ご高齢で7年以内に相続が発生する可能性を考慮したい方です。

また、将来確実に値上がりしそうな財産(例えば業績が好調な会社の株式や、開発予定地の不動産など)を、今の価値で先に贈与しておきたい場合にも適しています。

しかし、これらはあくまで一般的な目安に過ぎません。

一度でも相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者からの贈与については二度と暦年贈与には戻れないという大きな制約が存在します。

どちらが有利かは資産状況や家族構成によって全く異なるため、必ず相続に詳しい税理士に相談し、シミュレーションを行った上で判断してください。

4 税務署に否認されないための正しい贈与の手順


生前贈与を行う際、単に口座へお金を振り込むだけでは、税務署から「贈与は成立していない。」とみなされるリスクがあります。

特に気をつけなければならないのが、「名義預金(めいぎよきん)」と判断されるケースです。

名義預金とは、口座の名義は子供や孫であっても、実際には親や祖父母が通帳や印鑑を管理しており、実質的な所有者が親や祖父母であるとみなされる預金のことを指します。

これでは贈与があったとは認められず、相続が発生した際に相続財産として課税されてしまうでしょう。

正しく贈与を成立させるためには、いくつかの点に注意しなければなりません。

まず、必ず「贈与契約書」を作成することです。

お金をあげる人(贈与者)ともらう人(受贈者)の双方の合意があったことを、しっかりとした書面で残します。

毎年110万円の基礎控除内であっても、その都度契約書を作成することが極めて重要となります。

次に、お金の移動は現金の手渡しではなく、必ず銀行振込で行い客観的な記録を残してください。

誰から誰へ、いつ、いくら移動したかが第三者から見ても分かるように口座を通すことが求められます。

そして、もらったお金は受贈者本人が管理し、自由に使える状態にしておくことが法的な贈与の成立条件です。

通帳や印鑑、キャッシュカードは、必ず子供や孫自身に管理させてください。

生前贈与は正しい知識で計画的に行いましょう


生前贈与をめぐるルールは2024年を境に大きく変わり、現在はその移行期にあたります。

古い常識やインターネットの断片的な情報に頼ることは、リスクが大きいためお勧めできません。

では、本日の重要なポイントをまとめます。

  • 暦年贈与は相続財産への持ち戻し期間が死亡前7年に延長され、直前の節税効果が薄れた。
  • 相続時精算課税制度に7年ルールの対象外となる年間110万円の非課税枠が新設された。
  • どちらの制度が有利かは個々の状況によって全く異なり、一度選択すると変更できない。
  • 生前贈与を検討する際は、必ず事前に税理士へ相談し、最適なプランを設計してもらうこと。
  • 名義預金と疑われないよう、贈与契約書を作成し、受贈者本人が口座を管理することが大前提である。


ご葬儀の現場で、相続税の納税資金が足りずに故人が遺した大切なご自宅を売却せざるを得なくなったご遺族を、私たちは何度も見てきました。

生前の正しい知識に基づいた少しの準備が、残されたご家族の未来を大きく左右するという現実があります。

ご自身の財産をどのように遺し、ご家族の負担を減らすかという問題に真剣に向き合うことが、何よりの愛情表現になるのではないでしょうか。

株式会社大阪セレモニーは、ご葬儀後の相続に関するお悩みについても、信頼できる税理士などの専門家をご紹介しサポートさせていただきます。

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株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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