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相隣関係について

2010年2月19日 公開 / 2014年5月23日更新

コラムカテゴリ:法律関連



  2月もなかばを過ぎました。私の事務所は大阪天満宮の近くにあるので,「てんじんさん」にお参りして,境内の梅の花を愛でるのが毎年の楽しみです。
 「てんじんさん」の梅の木のように,美しく愛でられる木の場合はいいのですが,時として植木が隣家とのトラブルを招くこともあります。隣家の植木の枝が伸びてきて,枯葉が樋に積もったり,虫が落ちてきたりして,せっかくのご近所づきあいに,ひびが入っては大変です。私が事務所のあるビルの管理組合の理事長をしていた時のことですが,隣りのビルの管理人が勝手に当方の敷地内の木の枝を切ってしまったことがありました。枝は敷地をはみ出さないように剪定していたのでクレームをつけたのですが,「落ち葉がうちのビルの入り口付近に飛んでくる」というのが理由でした。
 民法はこのような近所との利害調整のために,「竹木の枝の切除請求権」という制度を用意しています(233条1項)。それは,隣地の竹木の枝が境界線を越えてきたときは,その竹木の所有者にその枝を切ってくれるよう請求できるというものです。
 だだ,この権利を主張する場合には,決して自分で枝を切ることはせずに,お隣さんに枝を切ってもらうように頼まなければなりません。あくまでも,「相手方に切ってくれるように請求できる」権利であり,「自分で切ってしまうことができる」権利ではないことがポイントです。落ち葉が飛んでくるという理由ではかかる要求はできませんし,ましてや自ら枝を切ることはできません。
 それでは,隣の植木の根っこが伸びてきて自分の家の庭にニョキッと生えてきたらどうでしょう。
 この場合,民法は,お隣さんに請求するまでもなく,自分自身で竹木の根の切り取りができると定めています(民法233条2項)。
 枝は「お隣さんに切除してもらうように請求する」,根は「自分で切除することができる」ことになっているのです。
 ただ,根を切ってしまうと,木の本体が傷むこともあることを考えると,トラブルを避ける観点からは「お宅の植木の根が伸びてきて,困っているから切らせてくれませんか」などと,一旦声をかけた上で切るようにした方が,マッチベターと思います。

この記事を書いたプロ

小原望

国際取引・契約を取り扱う弁理士

小原望(小原・古川法律特許事務所)

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