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コラム

国際相続と相続人調査

2010年2月16日

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き



  最近では国際結婚も増えていますが,このようなケースで相続が発生したときに困ることは,海外の相続人の所在が不明な場合です。遺産の分割をする場合,通常は相続人間の話し合いで遺産分割協議書を作成して不動産や有価証券の名義を変更するのですが,遺産分割協議には相続人の全員が参加することが必要です。従って,海外在住の方の所在が不明なときは,協議をすることも遺産分割の調停を申し立てることもできないのです。

 かつて私が受任した国際相続のケースでは,約90才の男性が相当額の遺産を残して死亡されたのですが,4人の子供の内の1人(娘さん)が親の反対を押し切ってアメリカ人男性(日本に駐留していた海軍軍人)と結婚のうえ,長年アメリカに居住し,何人かの子供を生んで死亡されたという程度しかわからず,住所の判明するものとしては1960年に届いた1通のエアメールの住所しか判らないということでした。戸籍にはアメリカ○○州の○○○○と婚姻という記載があるので,主人のカタカナの名前はわかるが正確なスペルも不明でした。被相続人が長生きされたため,他の相続人である子供(3人)も相当高齢で,連絡窓口は長男の息子さんでした。

 私は,まずカタカナ名のご主人の氏名と1960年当時の住所から検索し,それででて来た数百人の中から海軍の軍人,夫人が日本人等で更に絞り,数十人になったところで関係ありそうなところに国際電話をかけてやっとご主人の後妻さんと連絡がとれました。日本人の夫人が3人の子供を残して死亡されたため,ご主人はアメリカ人女性と再婚されたが,そのご主人も既になくなっておられ,後妻さんは老人ホームで暮らされているということでしたが,この方から3人の子供の住所・氏名・生年月日を聞き出すことができました。

 そこで,代襲相続人である3人の子供さんに手紙を書き,遺産分割の後には相当額の遺産が入ること,そのためには遺産分割の手続が必要であること,大阪弁護士会では弁護士紹介制度があること,個人的にも英語のできる弁護士を紹介できること等を連絡し,最終的には日本の弁護士に委任していただき,その弁護士を相手として家裁における遺産分割の調停によって遺産分割を終了することができました。今後はこのようなケースが増えてくるでしょう。在外親族の住所・氏名は常に把握しておくことが,このような場合に役立つと思われます。

この記事を書いたプロ

小原望

国際取引・契約を取り扱う弁理士

小原望(小原・古川法律特許事務所)

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