【小論文過去問から読み解こう】大学入試小論文・文学部出題事例~「細かな設問のしばりに対応するには?」~

角野裕美

角野裕美

テーマ:小論文の過去問について

オフィスカタリスト@大阪の角野裕美(カドノヒロミ)です( ..)φ

本日取り上げる小論文過去問は、山梨県の都留文科大学の国文学科で出題されたものです。

都留文科大学 入試過去問試験問題


課題文型ですが、本文の内容を踏まえたものというよりは、押さえた上で、自分なりの問いを立て、答えていくどちらかというと、「テーマ型」に近い出題かと思います。

その問いとは…『課題文は、「別れの言葉」について述べられていたが、「別れの言葉」以外の「挨拶」の言葉にまつわるあなた自身の体験の中から、印象に残っていることを挙げ、なぜそれが印象的であったのか、あなたの考えを具体的に書きなさい。』というもの。
(600字設定)
では、以前にもコラムでアップしましたが、取り組む手順に従って考えてみましょう(^_-)



手順に沿って、考えていこう!


その手順とは、次の①~⑤の通りです。

①課題の要求を正確にとらえる。
→何について述べていく必要があるのか、を捉えること!
→「テーマ型」「課題文型」「資料型」と、出題形式がありますが、いずれにせよ、「出題者の意図」までここで考え、「何をもとめられているのか?」をしっかり、つかむ必要があります。


今回の場合、必ず押さえないといけない、しばりの部分は、次の3点。

・別れの言葉以外の「挨拶」の言葉にまつわる自身の体験から、印象に残っていることを挙げる。
・なぜ、印象的であったのかを述べる。
・具体的に書く。

これらの一つでもはずしてしまっては、問いに答えたことにならず、評価が下がってしまいます(@_@;)


書くネタを準備しよう!


②課題の問いについての自分の意見を明確にしておく!
→いろいろと意見を挙げてみて、最も重要だと思うもの、強く主張した 
 いものを選ぼう。

③なぜ?どのように?どこで?誰が?いつから?…と自分に問いかけながら、いろいろな方向から考察しよう!
 →「3WHAT(定義・現状・結果)/4W(WHY・WHERE・WHEN・WHO(M))/1H(HOW)」
 という切り口で考えて、短文でよいので書き出していこう!

次に、この②と③ですが、これらすべてを必ずしも挙げないといけないわけではありません。ただ、多くのネタがある方が、より深く考察できるということでしょう。

今回の場合は、なによりも、「挨拶の具体例」を挙げないと始まりません!!!
なにがあるでしょうね…?

「おはようございます。」「こんにちは。」「こんばんは。」「お先に失礼します。」「お疲れ様でした。」「有難うございます。」「お待ちしておりました。」「お世話になっております。」
「ようこそ。」などなど。

最後のようこそ、は、まさに今、ホットな「お・も・て・な・し」精神に繋がるものだと思いますが、なかなか、受験生の年代では、言わないかもしれないですね?

社会人なら他にも、「お世話様でした。」「ご苦労様です。」「いらっしゃいませ。」「またどうぞ。」「お疲れの出ませんように。」なども、挨拶といっていいかもしれませんが…<(_ _)>

例えば、挨拶のうち「おはようございます。」を挙げて、考えていきましょう。

・3WHAT(定義・現状・結果)といっても、要は「朝に出会った際、交わす挨拶。」でいいでしょうね。
・4Wでは…WHY~朝だから、言う。もっと言えば、朝、さわやかにスタートするために。
WHERE~日本。身近な生活の中で。普段の場所で。
WHEN~朝に。
WHO(M)~自分自身が。また、朝に出会う全ての人に。

・1H(HOW)~今後の望ましい在り方、という捉え方では、もちろん「おはようございます。」という挨拶は、どなたに対しても言うように心がける、というものでしょう。





いきなり書かず、構成を組み立てよう!


さぁ、少しずつ、書ける感じになってきましたね?如何ですか?
次のステップを必ず踏んでから、書くことが肝要(^0_0^)
いきなり書いても、なんだか論点が定まらなかったり、つながりがおかしくなったり…しがち。だからこその、構成の組み立てなのですね!(^^)!

④構成(文章の全体の流れ)を考え、組み立てよう!
→基本構成は、「序論 ⇒ 本論 ⇒ 結論」という形。
 論理に飛躍がなく、明確に自分の意見が述べられているか、チェック!
 
ここまでのネタを基に、私なりに挙げてみました。
600字なら、「序論 ⇒ 本論 ⇒ 結論」の3段落に分けると丁度いいでしょう。

・序論~設問のしばりを捉えたことをアピールするためにも、まずは、選んだ挨拶とその状況を具体的に示します。
「私が選んだ挨拶は、『おはようございます。』だ。朝に出会った人との挨拶で、これをはずすことはできない。私の通学ルートでは、多くの学友に出会うため、毎朝、欠かさずおこなっている。」

・本論~ここで、序論を受けて、展開していきます。
「しかしながら、朝出会う中で、この挨拶をしにくい人たちがいた。通学途中にある公園にてゲートボールをする高齢者の方々である。」
展開としては、「挨拶をしにくかった理由」を挙げないといけません。何故なのか?
一つは、通学路より一段上がった公園でゲートボールをなさっており、若干声を出して言うには距離があったこと、二つ目は、高齢者の方が身近におらず、なんとなく話しづらいと勝手に思い込んでいたこと、などなど、説明します。

⇒ その上で、ある時、ゲートボールのボールが転がってきて拾って差し上げたら、先に向こうから「おはようさん。気を付けてね。」と言ってくれ、それがきっかけで、通るたびに公園の中から「おはようさん。」といってくれたこと。高齢者の方でも、大きな声でしっかり言ってくれて、自分の方が元気になったことなども挙げてもいいでしょう。

・結論~設問のしばりを踏まえ、「なぜ印象的だったか。」を挙げてまとめていく必要があります。
「向こうから先に挨拶をしてくれた。自分自身が、身近に高齢者年代の方がいないことを理由になんとなく素通りしていたが、挨拶をしてもらうととても気持ちのいいものだった。この体験を基に、今後は、なにより朝から、お互い元気になれるようなおはようございます、を自ら率先して、どなたにも言っていこうと思う。」など、前向きに締めくくるといいのではないでしょうか?

⑤構成に基づいて書き、清書したものを読み返し、推敲する。
実際に取り組む際は、この⑤で終了です。

600字を書かなくとも、せめてこれらの手順を具体的な問題を踏まえ、考えておくと、よいトレーニングとなりますよヽ(^o^)丿
ニッチ(すき間)の時間を、これらのトレーニングで埋めていきませんか?(^_-)-☆


心を込めて…( ..)φ__hiromi KADONO

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角野裕美
専門家

角野裕美(講師)

Office Catalyst(オフィス・カタリスト)

様々な職業体験と予備校講師の実践を基にカウンセリングを行い、個別の要望に沿って指導。総合型・推薦入試で必須の志望理由や自己推薦の書き方、小論文・面接対策を受験生だけでなく保護者にもアドバイスが出来る。

角野裕美プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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