養老院「三太」
●自然素材にこだわる理由
世の中には本物そっくりの人工物が出回っています。機能面だけで言えば本物以上の性能を示す人工物もあります。
床材に例を挙げると、無垢フローリングは床暖房に適しません。無垢フローリングで床を温めると床材が乾燥し、割れたり反ったり、捻じれたりする為です。しかし、無垢材には人を飽きさせない味わいがあります。汚れの着き難い合板フロアよりも汚れさえ風合いとなる無垢フローリングの方に、愛着を覚えるのです。
●自然素材は高くない
最近は自然素材は高いと云う固定観念が定着してしまっています。確かに無垢のフローリングは高価なものは合板フローリングよりも遥かに高いです。しかし、それは無垢の素材を節の無い希少品で揃えるから高くなるのです。節のある反りも歪もある無垢材なら、合板フローリング以下の値段で手に入れる事も可能です。
節が有っても無垢材に変わりはありません。飽きの来ない風合いは無垢材独特のものです。
昔の名建築はそう云ったありきたりの材料の組み合わせの中から生まれています。
千利休の作と云われている国宝の茶室「待庵」は、唯一無二の傑作ですが、使われている材料に特別なモノは何もありません。壁は地元の土に藁を入れて練り上げただけの土壁ですし、当時支配者階級に普及し始めた瓦なんかも使われず檜皮葺の屋根です。柱もどれ一つ角材は用いられず角に丸みを帯びた間伐材です。
この様なありきたりな自然素材でも使いようによっては、無限の価値を持たせる事も可能なのです。
●シックハウスに強い自然素材
PM2.5や杉花粉等のアレルギー対策は家の外で必要ですが、家の中でも化学物質汚染が深刻です。
合板等に用いられる防腐剤にホルムアルデヒドが含有されています。木材を腐朽から守る効果もありますが、人体に対しても有害で制限が加えられています。無垢フローリングや漆喰は自然由来の製品で、古くから親しまれている建築材料です。古来用いられている製品を用いる事によりシックハウスに強い家を造る事が出来ます。