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フリーランス保護法 その1

竹下勇夫

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テーマ:フリーランス保護法

はじめに

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が令和6年11月1日に施行されました。これに合わせて、令和3年3月26日に公表されていた「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(以下、単に「ガイドライン」といいます。)も令和6年10月18日に改定されました。なお、ガイドラインは上記法律を「フリーランス・事業者間取引適正化等法」と略して読んでいますが、略称としては長すぎるような気もするので、このコラムでは、上記法律のことを便宜上「フリーランス保護法」と略して呼ぶこととします。

ガイドライン

ところで、ガイドラインによれば、「『フリーランス』とは法令上の用語ではなく、定義は様々であるが、本ガイドラインにおける『フリーランス』とは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指すこととする。」としています。このような意味でのフリーランスは、基本的には労働者として使用者との間で労働契約を締結しているわけではありませんので、労働契約法や労働基準法等の労働者保護法の適用を受けるものではありません。そこで、フリーランス保護法施行以前においては、このようなフリーランスを保護する法律としては専ら独占禁止法や下請法の適用が問題とされていました。

しかしながら、独占禁止法は上記の様な意味でのフリーランス全般について適用されるものの、適用される条項が主として「優越的地位の濫用」という抽象的な規定であるため、取引相手方の具体的な行為がこれに該当するのかどうかという点についての判断の困難さは否めません。

他方、取引相手方の具体的な行為を列挙している下請法は、適用判断についての曖昧さはなくなるものの、取引相手方の資本金についての制限があり、すべての取引相手方とフリーランスとの間で適用されるとは限りません。

このようなこともあって今般新たにフリーランス保護法が施行されることになりました。

                                       -続-

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専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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