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労働時間と割増賃金のお話(28)

竹下勇夫

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テーマ:労働時間と割増賃金のお話

~割増賃金(その7)~


最初に、割増賃金を定額で支払うことができるかという点に関する最高裁の判例をいくつかご紹介しておきましょう。
 まず、労働基準法37条が時間外労働について割増賃金を支払うように求めている趣旨について、

◇ 使用者に割増賃金を支払わせることによって、

   ● 時間外労働等を抑制し、労働時間に関する同法の規定を遵守させること
   ● 労働者への補償を行うこと


であるとしたうえで、

 ◇ 割増賃金の算定方法は、労基法37条等に定められているが、同条は、同条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまり、使用者が、労働契約に基づき、上記方法以外の方法により算定される手当を時間外労働等に対する対価として支払うこと自体が直ちに同条に反するものではない。
としています。

 要するに、労働契約において時間外労働につき固定残業代で支払う旨を合意し、その金額が労基法37条の計算方法によって算定された額を下回らなければ、基本的にそのような定めは有効であるとしています。
                                     -続-

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竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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