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労働時間と割増賃金のお話(26)

竹下勇夫

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テーマ:労働時間と割増賃金のお話

~割増賃金(その5)~


 労働基準法37条にいう「2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率」については、「労働基準法第37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令」という長い名前の政令が、次のとおり定めています。

 「労働基準法第37条第1項の政令で定める率は、同法第33条又は第36条第1項の規定により延長した労働時間の労働については2割5分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については3割5分とする。」従って、時間外労働の割増賃金は2割5分以上、休日労働の割増賃金は3割5分以上ということになります。

 ただし、時間外労働の時間が1か月について60時間を超えた場合には、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない、とされていることにご注意ください。また、基礎賃金+割増率相当額を支払わなければならないというのが裁判例ですから、時間外労働の場合には実質的には12割5分以上の賃金を支払わなければならないということです。

 さらに、深夜労働(午後10時から午前5時まで)については割増率が2割5分とされています。

 それでは深夜労働と時間外又は休日労働が重複している場合にはどうなるのでしょうか。たとえば時間外労働が深夜に及ぶ場合には5割以上、1か月60時間を超える場合には7割5分以上、休日労働が深夜に及ぶ場合には6割以上でなければならないことが、労基法施行規則20条に定められています。

 ただし、休日労働が8時間を超えても深夜労働にならない限り3割5分以上で差し支えないというのが行政解釈です。

                                        -続-

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竹下勇夫
専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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