労働時間と割増賃金のお話(16)
~割増賃金(その2)~
労働基準法37条は、「使用者が、第33条又は前条(36条)第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては」割増賃金を支払わなければならないと規定しているので、その反対解釈として、例えば36協定を締結しないまま時間外労働をさせたような違法な時間外労働については割増賃金を支払わなくてもよいのかという疑問がわきます。
しかし、適法な時間外労働であっても割増賃金を支払わなければならないのですから、違法な時間外労働をさせた場合にはより強い意味で割増賃金を支払わなければないないのは当然ではないのか、というのが常識的な解釈であるし、行政解釈もそのように理解しています。
また時間外労働をさせた場合に割増賃金を支払わなければ、労基法119条違反として刑事罰に処せられることがありますが、違法な時間外労働を行わせた場合に割増賃金を支払わなかった場合にも同条違反の罪が成立するというのが最高裁判所の判例です。
—続—