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労働時間と割増賃金のお話(21)

竹下勇夫

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テーマ:労働時間と割増賃金のお話

~時間外労働・休日労働(その8)~


 時間外労働の上限規制について話を続けます。

 1か月45時間、1年360時間の上限規制の例外として、特別条項によって1か月100時間未満(時間外労働及び法定休日労働の合計時間)、1年720時間(時間外労働時間)を上限と定めることができる(但し、特別条項を適用できるのは1年間6か月に限る)ことはすでにお話ししました。

 しかし、この場合においても、直近の2か月~6か月の時間外労働及び法定休日労働の合計時間の平均がいずれの月も1か月80時間以内でなければならないことが労働基準法36条6項3号で定められています。これはかなりハードルの高い要件だといえます。

 そのうえで、2024年3月31日まで上限規制の適用が猶予されている業種の話しに戻ります。このような業種の2024年4月1日以降の上限規制の適用関係は以下のようになります。

 (1)工作物の建設等の事業
 2024年4月1日から上限規制が適用されます。但し、同日以降も、災害時における復旧・復興の事業については、複数月平均80時間以内・1か月100時間未満とする規制は適用されません。

(2)自動車の運転の業務
 2024年4月1日から上限規制が適用されます。但し、同日以降の特別条項の年間の上限時間は960時間で、適用できる期間は6か月に限られない。また、複数月平均80時間以内・1か月100時間未満とする規制は適用されません。

(3)医事に従事する医師
 2024年4月1日から上限規制が滴用されますが、具体的な内容は、厚生労働省のホームページ等でご確認ください。

(4)鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業
 2024年3月31日まで、複数月平均80時間以内・1か月100時間未満とする規制は適用されませんでしたが、2024年4月1日から原則どおりとなります。
                                       —続—

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専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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