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労働時間と割増賃金のお話(16)

竹下勇夫

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テーマ:労働時間と割増賃金のお話

~時間外労働・休日労働(その3)~


 それでは、有効に36協定を締結するにはどのようにしたらよいのでしょうか。

 第一に、36協定の締結当事者は誰かということが問題になります。労働基準法36条は、締結の一方当事者は「使用者」であること、他方当事者は「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者」と記載しています。

 ここでいう「使用者」とは、労基法10条で定める「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」を意味しています。すなわち、当該事業場において時間外・休日労働について責任を負っている者のことをいいます。

 また、労働者側において過半数労働組合が存在しない場合には、「労働者の過半数を代表する者」(「過半数代表者」といいます。)が締結当事者となります。そして、労基法施行規則6条の2第1項は、「過半数代表者」とは、①労基法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと、及び②労基法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと、をいうとしています。

 なお、役員を含めた全従業員によって構成され、「会員相互の親睦と生活の向上、福利の増進を計り、融和団結の実をあげる」ことを目的とする親睦団体につき、仮にこの団体が親睦団体としての活動のほかに、自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を目的とする活動をすることがあったとしても、当該親睦団体の代表者が自動的に36協定を締結したにすぎないときには、「労働者の過半数を代表する者」ではないから、本件36協定は無効というべきである、とした裁判例があることに注意してください。
                                       —続—

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専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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