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労働時間と割増賃金のお話(14)

竹下勇夫

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テーマ:労働時間と割増賃金のお話

~時間外労働・休日労働(その1)~


 今回から時間外労働・休日労働についてお話しします。

 ここでいう「時間外労働」とは労働基準法で定める1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超える労働であり、休日労働とは同様に法定休日における労働のことを言います。
 所定労働時間が1日7時間の場合に7時間を超え8時間以下の部分の労働については労基法上の時間外労働ではありませんし、日曜日が法定休日の場合に法定外休日である土曜日の労働も労基法上の休日労働ではありません。

 従って前者の場合に7時間を超えて8時間まで労働した1時間分については労基法上の割増賃金の支払いは不要です。最も就業規則等において所定労働時間を超えて労働させた場合に割増賃金を支払う旨の定めがあれば、就業規則等の規定に従う必要があります。また、法定外休日に労働させた場合にその労働が1週40時間を超えていれば労基法上の時間外労働に関する割増賃金を支払う必要があります。

 なお、公立学校の教員については、給特法によって時間外・休日労働をさせ得る場合を条例で定めるとされ、これに該当する限り労基法所定の時間外・休日労働に関する36協定を要せず、俸給月額の100分の4の教職調整額を支払うことによって割増賃金の支払いを要しないものとされています。給特法については多くの批判があるものの、裁判所はこの法律を根拠として労基法37条の時間外労働等の割増賃金の適用の排除を認めています(例えば、さいたま地裁令和3年10月1日判決、その控訴審である東京高裁令和4年8月25日判決、上告を不受理とした令和5年3月8日最高裁決定)。                        —続—

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専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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