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労働時間と割増賃金のお話(10)

竹下勇夫

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テーマ:労働時間と割増賃金のお話

~休日(その3)~


 休日の振替が行われることがあります。

 例えば土曜日と日曜日が休日で、日曜日を法定休日としている事業所において、土曜日又は日曜日に労働をさせて他の本来の労働日に休ませるような場合です。これは本来労働義務のない日に働かせるのですから、就業規則等で休日に労働を命じることができる権限を使用者が有していることが前提であり、さらに法定休日である日曜日に労働させる場合には36協定が締結されていることも前提となります。

 そのうえで 休日の振替について考えてみましょう。休日の振替には、あらかじめ労働させる休日と休ませる労働日を指定する事前の振替と、休日に労働させた後に労働日に休ませる事後の振替とがあります。
 事前の振替の場合、あらかじめ休日と労働日を変更させていますから、本来の休日とされている日は労働日となりますから休日に労働させたことにはなりません。もっとも休日に労働させたことにより週に40時間を超えて労働させた場合には、後に述べるように2割5分以上の割増賃金を支払う必要があります

 事後の振替の場合には、いったん休日に労働させてしまっていますから、法定休日である日曜日に労働させた場合には3割5分以上の休日の割増賃金を支払う必要があります
 
このように、休日の振替といっても、事前の振替と事後の振替ではまったく異なりますので注意が必要です。                        —続—

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専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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